はまなす行政書士事務所
行政書士 角屋敦士
30. 「追加分は後で精算」で進めない――追加工事の内容・金額・工期を記録する
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作成・参考資料確認日:2026年9月28日
現場で追加作業を頼まれたとき、誰が何を依頼し、どの条件で合意したかが曖昧だと後の確認が難しくなります。着工前の整理と書面化を解説します。
作業の依頼と契約の合意を分ける
「ついでにここもお願いします」と現場で言われ、完了後に追加代金を請求したところ、当初の範囲に含まれると言われた。この種の行き違いは、作業をした証拠だけでは整理できません。依頼の内容、相手の権限、元の契約範囲、価格と工期の合意を確認する必要があります。
国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインは、追加・変更工事について、災害時等でやむを得ない場合を除き、原則として着工前に書面による契約変更を行う考え方を示しています。「急ぐから後で」で常に省略できるものではありません。
元の契約と追加部分を見比べる
変更する場所、数量、仕様、施工方法を、当初の図面・見積明細の該当箇所と並べます。増える部分だけでなく、不要になった作業、手戻り、資材の取消料、工期への影響も整理します。
現場担当者に変更を約束する権限があるかも確認します。口頭の指示があった事実と、会社として条件が承認された事実を分けて記録することで、確認すべき相手が明確になります。
社内で使う変更確認メモ
メモには「工事番号」「確認日時」「依頼者と権限の確認状況」「変更理由」「変更箇所と数量」「増減額又は算定方法」「工期・他工程への影響」「双方の確認状況」を記入します。図面や見積書は版番号を付け、どれを前提とした話か残します。
これは社内の確認漏れを防ぐための項目例です。このメモ一枚を作れば建設業法上の契約書面の要件を満たすという意味ではありません。正式な変更契約では、元の契約、法定記載事項、必要な相互交付等を確認します。
メール・写真の残し方
メールは相手、日時、添付資料、返信を一連で保管します。写真は工事番号、場所、撮影日、何の変更を示すかを記録し、請求書との対応が分かるようにします。写真があることだけで追加代金の合意を証明できるとは限りません。
電子的な契約には相手の承諾や法令上の要件が関係します。チャットの短い返事だけで十分と判断せず、変更契約をどの方法で成立・記録させるか、事前に決めておくと混乱が減ります。
既に対立している場合の対応
相手が追加代金を否定している、工事の欠陥や損害の主張がある場合は、通常の書類整備から紛争対応へ論点が変わります。契約、指示、施工、請求、相手の回答を時系列に整理し、原資料を保持して弁護士へ相談してください。
当事務所は、紛争になる前の合意内容の整理や、行政書士の業務範囲における契約書類の作成を支援します。争いのある追加代金の交渉・回収代理は行いません。追加工事で金額が変わる場合には、建設業許可の要否や区分への影響も別途点検します。
実務チェックとQ&A
□ 当初範囲と追加範囲の違いを資料で示せるか。
□ 相手の権限、金額、工期、確認方法が決まっているか。
□ メール・図面の版・写真を工事番号で保存したか。
Q. 相手が返信しなければ、こちらの見積に合意した扱いにできますか。
A. 返信がないことだけで合意と決めつけないでください。連絡の経緯と契約条件を確認し、承認状況が分からないまま追加施工を進めない社内手順を設けます。既に争いがあれば、原資料を保全し、弁護士に相談する段階を検討します。
追加工事では、施工前の合意と施工後の記録が両方必要です。金額だけでなく工期への影響も同時に整理します。
根拠・参考資料
国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」第12版・2-2追加工事等
全国制度を基本とし、書類や期限の具体例は大阪府知事許可を中心に整理しています。法令・通知・申請先の最新運用と個別の契約・事実関係によって結論が異なります。記載した社内管理の手順は実務上の提案です。
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自社の状況を整理して相談する
初回は、主な工事、営業所の市区町村、現在の許可、希望時期や困っている点をお知らせください。資格証・通帳等の画像は、受渡し方法をご案内してからお送りください。