はまなす行政書士事務所
行政書士 角屋敦士
72. 家族支援加算を「面談した」で終わらせない――相談内容・支援・計画とのつながりを残す
専門記事・実務研究 72|障害福祉・児童発達支援
作成・公的資料確認日:2026年9月29日
送迎時に保護者と話した、計画の説明面談をした、保護者会を開いた。その事実だけでは家族支援加算の算定根拠にはなりません。児童発達支援・放課後等デイサービスを対象に、支援の必要性を計画へ位置付け、実施した相談援助と請求を照合する手順を整理します。
この記事で確認すること
最初に、家族支援と加算対象の相談援助を分ける
家族の不安を受け止めることは日々の支援として大切です。一方、家族支援加算は、事前に通所給付決定保護者の同意を得て、個別支援計画に位置付け、計画的に必要な相談援助を行う仕組みです。突発的な電話相談を、月末に「計画的な面談だった」と読み替えることはできません。
令和8年度の留意事項通知で、Ⅰは個別、Ⅱはグループの相談援助として整理されています。Ⅰの居宅訪問・事業所等での対面・オンラインを混同せず、Ⅱも対面かオンラインかを分けます。Ⅰ・Ⅱそれぞれの枠内で、実施方法を合計して1日1回・月4回を上限とする取扱いを確認します。実施方法ごとに月4回ずつ加算できるわけではありません。
サービス提供日以外に相談援助を行うことは可能ですが、当該児へそのサービスを提供しない月は算定できません。Ⅰ・Ⅱを同日に行う場合や多機能型のサービス間では、それぞれの回数・通算の取扱いを現行通知で照合します。子育てサポート加算と同じ時間帯の相談援助を重ねて算定しない点も区別します。
場所・時間・担当者を決めてから予定を組む
居宅訪問は30分以上の相談援助を基本とし、国Q&Aは、子どもや家族の状況から短時間の訪問が必要な場合や、利用者の事情で予定より短くなった場合の例外を示しています。事業所での個別相談援助やグループ相談援助は、30分未満を算定できません。訪問の移動時間を面談時間へ足さず、開始・終了時刻を残します。
オンラインは原則として家族等の表情や相談中の様子を把握できる方法で実施します。Ⅰでは通信環境等によりやむを得ない場合の電話等の取扱いが示されていますが、その理由と実施方法を明確にします。Ⅱへ同じ例外を当然に当てはめず、グループとしての実施条件を確認してください。Ⅰの居宅訪問以外・Ⅱは30分以上という時間要件も照合します。
子どもの支援と同じ時間帯に家族へ相談援助をする場合は、別の職員によって並行して行う体制が必要です。児童発達支援管理責任者が担当しても、個別支援計画のモニタリングを兼ねて算定することは認められません。面談の名称を変えるだけでなく、目的・内容・時間・担当を実際に分けてください。
計画には「保護者支援を行う」から一歩踏み込んで書く
当事務所が提案する整理は、家庭の困りごと、目指す状態、相談援助の方法・頻度、次回の確認事項をつなぐものです。例えば「帰宅後の切替えに親子とも負担がある」という課題に対し、「予告の仕方を家庭で試し、負担の変化を月1回の個別相談で確認する」と記載すれば、面談が必要な理由を説明できます。
これは記載例であり、全家庭へ同じ課題を当てはめるものではありません。家庭が実行できる負担か、きょうだいや生活時間に影響がないかを確認します。支援を断った保護者を非協力的と評価したり、加算のためだけに面談頻度を増やしたりしないことも大切です。
想定例:記録の違いが次の支援を変える
「母と40分面談。助言した」では、何に困り、何を相談し、家族がどう受け止めたのかが分かりません。例えば「予定変更時に泣くことが増えたとの相談。変更を事前に絵で示す方法を説明し、家庭で使える2枚のカードを一緒に選んだ。毎日は難しいため、休日の外出前から試し、2週間後に負担を確認する」と記録すれば、支援内容と次の対応を追えます。
併せて、日時・実施方法・場所・相談相手・担当者・対応する計画の項目を残します。グループ支援では、2〜8人を1組とし同一世帯の複数人は1と数える単位と参加状況、職員の相談援助を確認し、講師の講演や保護者同士の交流だけで終わらせません。参加者全員へ同じ文章を複写せず、各家庭に必要な支援と受け止めを記録します。
月末は、計画・実績・請求をこの順序で照合する
①実施前の計画と同意、②面談の実施記録、③その時間帯の職員配置、④実績記録とⅠ・Ⅱ別の回数、⑤請求区分の順に照合します。「予定が入っていた」と「実施した」を分け、延期・中止・時間短縮を請求担当まで伝えます。きょうだい利用や多機能型の場合も、対象児と対象サービスを明確にして重複を点検します。
不足を見つけたら、当時のメモ等で実施事実を確認できる部分と、確認できない部分を分けます。計画や同意を遡って作ることはしません。算定済みのものは対象月・件数・不足要件を整理し、指定権者等へ訂正や過誤調整の要否を確認します。
相談前に用意する資料と当事務所の支援
匿名化した計画1件、同意の経過、面談記録、当日の配置表、請求上の区分が分かれば、どの照合で止まっているかを確認できます。初回から子どもの診療情報や家庭の詳細を大量に送る必要はありません。
当事務所は、行政書士業務としての届出書類、記録様式、要件と資料の対応整理を支援します。相談援助そのもの、児童発達支援管理責任者の支援判断、医療判断を代替しません。返還をめぐる争い等が生じたときは弁護士へ接続します。
相談前の確認メモ
以下は、資料を整理するための当事務所の提案です。法令上の全国共通様式ではありません。
| 確認する区分 | 資料・事実 |
|---|---|
| 計画・同意 | 相談の必要性、方法、頻度、実施前の同意 |
| 実施記録 | 開始終了、方法、相手、援助、家族の反応 |
| 配置・請求 | 並行支援の担当、Ⅰ・Ⅱ別回数、実績との一致 |
公的な根拠・参考資料
下記は制度の確認に用いた公的資料です。本文中の整理表・運用手順・想定例は当事務所の実務上の提案と区別しています。個別案件では、対象サービス・地域・手続時点に適用される法令、通知、提出先の取扱いを確認します。
こども家庭庁|令和8年度報酬改定・留意事項通知(家族支援加算)
こども家庭庁|障害児支援Q&A一覧(家族支援加算・VOL2問2、VOL4問4等)
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状況を整理して相談する
困っている点、期限、手元の資料、これまでの経過をお知らせください。本記事の相談準備に挙げた資料から必要な範囲を確認し、行政書士が支援できる部分と、他の専門職へつなぐ部分を整理します。