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専門記事・実務研究 89|外国人雇用・入管

外国人の入社・退職届は誰が出すのか――本人・会社・ハローワークの手続を切り分ける

はまなす行政書士事務所 行政書士 角屋敦士
制度確認日:2026年9月30日

会社がハローワークへ届け出たので、本人の入管への届出も終わったと思っていた。本人は行政書士に更新を頼んだので、会社への報告は不要だと思っていた。こうしたすれ違いは、「外国人雇用の届出」という一つの名前で複数の手続を扱うことから生じます。本稿は民間企業の人事担当者に向け、義務の主体と届出対象を整理します。

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同じ退職でも、制度ごとに記録する相手が違う

外国人本人が入管へ行う所属機関等の届出、事業主がハローワークへ行う外国人雇用状況の届出、一定の受入れ機関が入管へ行う届出は、根拠・対象・期限が異なります。特定技能にはさらに所属機関としての随時・定期届出があります。[1][2][3][4]

本稿では「誰の義務か」「どの出来事で発生するか」「誰が提出作業を担当するか」を分けて考えます。提出作業を外部へ依頼しても、制度上の届出主体が同じ意味で置き換わるわけではありません。社内の引継ぎ表にも、この三つを別欄で記載することを提案します。

本人の所属機関届出は、対象資格と出来事を確認する

技人国等の対象となる中長期在留者には、契約機関の名称・所在地の変更、消滅、契約の終了、新しい契約の締結等について、14日以内に届出を行う制度があります。対象資格によって活動機関の届出と契約機関の届出に分かれます。全ての外国人に同じ所属機関届出を求めるのは正確ではありません。[1]

会社が本人へ案内する際は、法人名、所在地、契約締結・終了の事実が分かる情報を用意します。単なる出勤開始日と契約の締結日を混同しないことも重要です。本人が手続を理解できる方法で案内し、本人の同意を得て提出済みの確認を行います。会社の届出で本人の届出を代替したと思い込まないようにします。

民間事業主の外国人雇用状況届出を整理する

外国人雇用状況届出は、原則として外国人を雇い入れ、又は離職させる事業主が行います。特別永住者、在留資格「外交」「公用」の人は対象から除かれます。一方、「永住者」は特別永住者と同じ除外ではありません。就労活動の制限がないことと、この届出の対象であることは別です。[2]

雇用保険被保険者となる場合は、必要事項を記載した資格取得届・資格喪失届で外国人雇用状況の届出を行ったことになります。雇入れは翌月10日まで、離職は翌日から起算して10日以内という期限を確認します。被保険者とならない場合の様式第3号は、雇入れ・離職とも翌月末日までです。国・地方公共団体向けの「通知」の案内とは区別します。[2]

会社が入管へ出す届出との重複・取り違えを避ける

入管の中長期在留者の受入れに関する届出では、対象となる資格・機関が定められ、外国人雇用状況届出が義務付けられている機関は除かれます。すべての会社が、雇入れのたびに同内容を二重に届け出るという制度ではありません。この機関側の届出は努力義務として位置付けられ、本人の所属機関等に関する届出とは別に扱います。[3]

ただし、この除外を特定技能の所属機関としての随時・定期届出まで不要という意味に広げてはいけません。特定技能の雇用契約・支援計画・受入れ状況等の変化は、特定技能の制度に従って確認します。一般の雇用届出一覧と特定技能の届出一覧を区別して管理する必要があります。[4]

想定例:入社担当と退職担当が別の会社

採用時の担当者は本人の届出を案内したものの、退職時は給与担当だけで処理し、本人への案内が抜けるケースを想定します。人事システムに「外国人手続完了」とだけ表示されていると、雇用保険なのか、本人の入管届出なのか判別できません。

対策は、手続ごとの完了記録を残すことです。「本人の届出は本人から控えを確認」「ハローワークへの届出は社内又は社会保険労務士が受付記録を確認」「特定技能の変更事項は担当者が別表で確認」と分けます。退職の事実が更新申請中に発生したときは、届出と申請内容の変更連絡の双方を検討します。

事実の発生日を、帳尻合わせで作らない

契約締結日、退職日、会社の名称変更日、給与計算上の処理日がずれている場合は、まず根拠資料を確認します。届出期限に間に合うように発生日を後ろへずらすことはしません。未届を見つけたときは、実際の経過、対象者、未了の手続を整理し、提出先の案内に沿って対応します。

届出事項の確認のためにカード等の提示を求めることと、写しを添付することも別です。厚生労働省は外国人雇用状況届出にカード等の写しの添付は不要と案内しています。社内で保存する情報も、目的・権限・必要な範囲を定めます。[2]

行政書士・社会保険労務士・会社の分担を先に決める

当事務所は、入管手続に関する事実・資料整理と、対応可能な届出書類等の支援を行います。外国人雇用状況届出や雇用保険等の労働社会保険関係手続は、会社自身又は社会保険労務士の担当として整理し、行政書士が一括して代理提出できるような説明はしません。

継続支援で整えられるのは、担当者をまたいでも未了が残らない届出一覧です。提出そのものだけでなく、本人へ案内した日、誰が確認するか、控えをどこへ保存するかを決めます。退職をめぐる争いがある場合は、届出の事実整理と紛争対応を分け、弁護士へ接続します。

確認資料の整理

次の表は、制度の要件と事実を照合するための整理例です。すべての申請に一律に提出する法定書類一覧ではありません。

主体・制度対象・期限の整理
本人の所属(契約)機関届出技人国等の対象者。契約終了・新契約等の事由から14日以内。
民間事業主・雇用保険被保険者雇入れ翌月10日まで/離職翌日から10日以内。資格取得・喪失届で処理。
民間事業主・雇用保険の被保険者以外雇入れ・離職とも翌月末日まで。外国人雇用状況届出書。
特定技能所属機関一般の雇用届出に加え、特定技能の事由別・定期届出を別管理。

公的根拠・参照資料

制度・行政の公表する取扱いの根拠は以下の資料です。本稿の想定例、照合表、社内の管理方法は当事務所の実務上の提案であり、許可の保証や一律の法定様式を示すものではありません。

[1] 出入国在留管理庁|所属(契約)機関に関する届出
外国人本人の届出事由と14日以内の期限。

[2] 厚生労働省|外国人雇用状況の届出について
民間事業主の雇入れ・離職の届出。国・地方公共団体の「通知」と区別。

[3] 出入国在留管理庁|中長期在留者の受入れに関する届出
対象となる機関と外国人雇用状況届出義務のある機関の除外。

[4] 出入国在留管理庁|特定技能所属機関・登録支援機関による届出
定期届出の年1回への変更と随時届出。

個別の申請では、資格・申請区分・所管窓口ごとの最新案内を確認します。本文の制度確認日以後の改訂は別途確認が必要です。

87. 外国人の中途採用は「同じ在留資格なら大丈夫」か――就労資格証明書と転職時の判断を整理する

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外国人雇用・入管手続のご相談

対象者の在留資格、入社・退職等の出来事と日付、既に行った手続をお知らせください。本人・会社・専門職の担当を整理します。

行政書士が対応する業務と他士業へつなぐ事項を整理し、費用と受任範囲を確認してから進めます。

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