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専門記事・実務研究 93|外国人雇用・入管

外国人社員の配置転換・出向・派遣は、発令前に確認する――契約と実際の職務の変化を読む

はまなす行政書士事務所 行政書士 角屋敦士
制度確認日:2026年9月30日

在留期限はまだ先でも、勤務先や担当業務が変われば確認が必要です。同じ会社内の異動、グループ会社への出向、派遣先の変更は、いずれも「人事異動」と呼ばれますが、入管手続上の論点は同じではありません。本稿では、主に技術・人文知識・国際業務を対象に、発令前に整理すべき事実を検討します。

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法人・契約・職務・就業場所を別々に見る

異動前後を比べるときは、雇用等の契約相手となる法人、実際に従事する職務、指揮命令をする主体、就業場所を別欄にします。場所だけが変わる異動と、別法人との契約や実際の活動が変わる異動を、一つの「住所変更」として処理しないためです。

技人国では、異動後も資格に該当する活動であるかが中心的な論点になります。会社が従来と同じであることは、どの仕事に変更してもよい根拠にはなりません。他方、所在地の変更だけで必ず在留資格変更が必要と決めつけることも避けます。事実の変化と必要な手続を順に結び付けます。[1][2]

同じ社内の異動でも、仕事の内容を再確認する

例えば、海外市場の分析担当を繁忙期の倉庫作業へ長期間配置する想定です。発令上の所属が企画部のままでも、実際に行う活動が変わるなら、元の職務説明書だけでは説明できません。期間、必要性、異動後の業務、元の職務との関係を確認します。

「研修」「応援」「兼務」という名称で活動の評価が決まるわけではありません。現場の勤務表、業務指示、成果物を確認し、当初説明との違いを把握します。活動範囲を外れる可能性があれば、発令・就業を先に進めず、配置計画又は必要な在留手続を検討します。一定の業務割合だけで一律の安全基準を作りません。[2]

出向・転籍は、グループ内という理由で省略しない

親会社と子会社は、同じ企業グループでも別法人です。出向契約、本人の雇用契約、実際の勤務・給与・指揮命令の関係を確認し、本人の所属機関に関する届出等の対象となる事実を整理します。単に給与の振込名義が変わったかだけで判断しません。[3]

また、在留資格「企業内転勤」は、外国にある事業所から日本の事業所への一定の転勤に関する制度です。国内グループ会社の人事異動をすべてこの資格で扱う制度ではありません。[4] 高度専門職1号のように、指定された所属機関との関係を別に確認すべき資格もあるため、技人国についての整理をそのまま全資格へ適用しないようにします。

2026年の派遣形態に関する取扱いを反映する

技人国で派遣形態により就労する場合は、派遣先での実際の活動を説明する必要があります。入管庁の案内は2026年に更新され、7月13日更新の案内を含め、派遣先が確定していることや、派遣元・派遣先に関係する提出資料を確認する構成になっています。[1][5]

派遣元の労働条件通知書だけで完結させず、派遣個別契約、派遣先での職務、所定の誓約書等を現行案内と照合します。案件が取れる見込みだけの段階で、就業先・職務が確定しているように記載しません。どの時点・申請区分にどの資料が必要かは最新の提出資料一覧で確認し、過去の許可時のセットを無条件に再使用しないことが重要です。

派遣と業務委託を、契約の表題だけで分類しない

請負・業務委託という名称の契約でも、実際に誰が業務の指示をしているかによって、労働関係法令上の検討が必要になる場合があります。入管申請のために名称を変更して済ませず、作業の指示、勤怠管理、成果物の責任、配置の決定を確認します。

この点は行政書士による在留書類の整理だけで完結しません。労働者派遣法等の適用、職業紹介、労務上の適法性は、会社の担当者、社会保険労務士、弁護士等と必要な専門領域を分担します。在留資格に合う職務であることと、契約・就業形態が別の法令に適合することを独立して確認します。

異動申請書に、入管確認のための欄を置く

当事務所の提案は、発令予定日より前に、異動前後の法人・職務・場所・契約を比較する欄を社内の異動申請へ設けることです。人事が資格を確認し、現場が実際の仕事を説明し、必要に応じて専門家が手続を整理します。更新の直前に初めて異動を知る仕組みでは、事後の説明だけが増えてしまいます。

既に異動している場合は、発令日だけでなく実際に仕事が変わった日を確認します。未届や申請内容との相違を把握し、実態の是正と提出先への対応を検討します。契約書の日付を遡らせて整合しているように見せることはしません。

顧問相談で確認する範囲を、発令前に決める

継続支援では、異動前の照合、必要資料一覧、入管手続の分担、異動後の職務確認を一連の対象にできます。就労資格証明書による確認が有用か、資格変更や届出等が必要かを、本人の資格と具体的な事実に即して整理します。すべての異動について同じ申請を勧めるものではありません。

当事務所は行政書士業務部分の資料・書類作成と対応可能な申請取次を支援します。人事権の行使、出向命令の有効性、本人との争い等は弁護士の領域として区別します。本人が職務・勤務条件の変更を理解できるよう説明する過程も、会社側の準備として重視します。

確認資料の整理

次の表は、制度の要件と事実を照合するための整理例です。すべての申請に一律に提出する法定書類一覧ではありません。

変わる事項発令前に並べる資料
同一法人内の職務旧・新の職務説明、期間、研修・兼務計画、実際の配置。
出向・転籍法人、雇用・出向契約、指揮命令、給与・勤怠の分担。
派遣先・案件確定した派遣先、個別契約、職務、現行案内の提出資料。
手続と実行日本人の資格、届出等の要否、発令日と実就業日、担当者。

公的根拠・参照資料

制度・行政の公表する取扱いの根拠は以下の資料です。本稿の想定例、照合表、社内の管理方法は当事務所の実務上の提案であり、許可の保証や一律の法定様式を示すものではありません。

[1] 出入国在留管理庁|在留資格「技術・人文知識・国際業務」
活動範囲、申請区分別・カテゴリー別の提出資料。2026年の追加資料案内を含む。

[2] 出入国在留管理庁|「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について
職務と専門性、学歴等との関係。法令そのものと行政の公表する解釈・事例を区別して参照。

[3] 出入国在留管理庁|所属(契約)機関に関する届出
外国人本人の届出事由と14日以内の期限。

[4] 出入国在留管理庁|在留資格「企業内転勤」
海外事業所から日本の事業所への転勤という資格の範囲。

[5] 出入国在留管理庁|技人国で派遣形態により就労する場合の取扱い
2026年の提出資料・派遣先確定等。技人国の案内ページには7月13日更新と表示。

個別の申請では、資格・申請区分・所管窓口ごとの最新案内を確認します。本文の制度確認日以後の改訂は別途確認が必要です。

86. 「技人国」で採用できる仕事をどう説明するか――職務・学歴・事業の実態を結ぶ立証設計

87. 外国人の中途採用は「同じ在留資格なら大丈夫」か――就労資格証明書と転職時の判断を整理する

92. 特定技能の「日本人と同等以上の報酬」をどう説明するか――比較対象・賃金項目・控除の検証

外国人雇用・入管手続のご相談

異動前後の職務、契約関係、勤務場所、予定日をお知らせください。発令前に、在留手続と労務上の検討事項を整理します。

行政書士が対応する業務と他士業へつなぐ事項を整理し、費用と受任範囲を確認してから進めます。

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