はまなす行政書士事務所

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08. 相続手続は何から始めるか――相続人・財産・期限を別々に調べる

専門記事・実務研究 | 参考資料確認日:2026年9月28日

通帳の名義変更だけを先に進めると、全体像や期限を見落とすことがあります。遺言、相続人、財産と負債、期限を分けて調査する手順を解説します。

この記事の内容
1. 最初の目標は、手続を終えることより全体像をつかむこと
2. 遺言の有無を早い段階で確認する
3. 相続人調査は、家族の記憶を戸籍で確かめる
4. 財産は、資産と負債の両方を見る
5. 三つの期限を同じ起算日だと思わない
6. 処分する前に確認したいこと

最初の目標は、手続を終えることより全体像をつかむこと

相続が発生すると、葬儀や生活上の対応に加え、金融機関や役所の手続が重なります。目の前の窓口から順に進めたくなりますが、誰が相続人か、遺言があるか、負債があるかが不明なまま財産を分けると、後で見直しが必要になる場合があります。

まず、遺言の確認、相続人の確認、財産・負債の調査、期限の管理を四つに分けます。担当する家族が複数いる場合も、調査結果を一か所に集め、「確認済み」と「未確認」を区別します。

遺言の有無を早い段階で確認する

自宅の書類だけでなく、公正証書遺言や法務局の保管制度を利用していた可能性も確認します。遺言を見つけた場合は、保管の形態と必要な手続を確かめ、封印のあるものを家族だけで開封しないようにします。検認の要否は遺言の種類や保管方法で異なります。[1]

複数の遺言があるときは、一つだけを選んで他を処分せず、作成日と内容を比較できるように保管します。内容や効力に争いがある場合は、弁護士への相談を検討します。

相続人調査は、家族の記憶を戸籍で確かめる

必要となる戸籍の範囲は家族関係により変わります。現在の戸籍一通だけで、過去の婚姻、子、養子縁組等を確認し切れるとは限りません。途中で転籍や改製がある場合も、つながりが確認できるよう収集を進めます。

法定相続情報証明制度は、戸除籍謄本等に基づく法定相続関係を一覧図として利用する仕組みです。[2] ただし、その一覧図だけで遺産の分け方や各手続の必要書類がすべて決まるわけではありません。提出先ごとの確認を続けます。

財産は、資産と負債の両方を見る

調査の手がかりとして、通帳、金融機関からの郵便、固定資産税の資料、保険・証券の書類、借入れの返済記録、契約書を整理します。電子明細やオンライン契約がある場合は、紙の郵便だけでは把握できないこともあります。

一覧には、財産の種類、名義、確認資料、基準日、未確認事項を記入します。税金の資料に載った金額を、そのまま売却価格や分割の合意額とみなさないようにします。相続財産に含まれるか判断が難しいものは、独断で分類を確定せず専門職へ確認します。

三つの期限を同じ起算日だと思わない

相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。調査が終わらない場合の期間伸長も裁判所の手続です。[3] 単に家族へ「受け取らない」と伝えることとは違います。

相続税の申告が必要な場合の期限は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。[4] 不動産の相続登記には、相続による所有権取得を知った日から3年以内という基本的な義務などがあり、過去の相続への経過措置も確認が必要です。[5]

これらは手続ごとに起算点や例外が異なります。期限が迫る場合は調査完了を待たず、裁判手続は弁護士・司法書士、税務は税理士、登記は司法書士等へ早めに確認します。

処分する前に確認したいこと

負債が不明な場合や相続放棄を検討する場合、預貯金の払戻しや財産の処分が判断に影響する可能性があります。支払いの必要があるときも、何の費用をどの資金から支払うかを記録し、個別に相談してください。

当事務所では、相続人・財産の調査や手続全体の整理をご相談いただけます。資料が未整理でも、死亡時期、遺言の有無、把握している財産と借入れ、迫っている期限から伺い、対応できる範囲をご案内します。

参考資料

[1] 裁判所「遺言書の検認」

[2] 法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」

[3] 裁判所「相続の放棄の申述」

[4] 国税庁「相続税の申告手続」

[5] 法務省「相続登記の申請義務化について」

本記事は一般的な解説です。実際の対応には、最新法令・通知・自治体運用・個別事情の確認が必要です。想定例は説明のためのもので、当事務所の受任実績を示すものではありません。

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