はまなす行政書士事務所
行政書士 角屋敦士
49. 実家の名義が祖父のままだったら――不動産と相続人を分けて調べる準備
専門記事・実務研究|遺言・相続・終活
作成・参考資料確認日:2026年9月29日
固定資産税を払っていても、登記名義が現在の家族へ移っているとは限りません。古い名義の実家について、何が未了なのかを整理し、司法書士への相談につなげる資料の集め方を説明します。
この記事で確認すること
1. 住んでいる人・税金を払う人・登記名義人を分ける
2. 一つの死亡だけで考えない
3. 古い相続にも登記の期限が関係する
4. 資料は、物件と家族の二組に分ける
5. 売却や解体を決める前に、権利と費用を整理する
6. 行政書士と司法書士の役割を区別する
住んでいる人・税金を払う人・登記名義人を分ける
実家に住んでいる人、固定資産税の納付を続けている人、登記簿上の名義人が一致しないことがあります。税の納付書だけを見て名義変更が完了していると判断せず、不動産の登記事項を確認することが出発点です。
土地と建物は別の不動産です。土地は祖父、建物は父という場合や、敷地の一部だけ共有になっている場合もあります。住居表示だけでひとまとめにせず、所在地・地番・家屋番号、持分、資料の日付を一覧にします。
一つの死亡だけで考えない
架空例として、祖父の名義のまま祖母、父も亡くなっている場合を考えます。誰がどの相続でどの権利を引き継いだのかは、各死亡時点の家族関係、遺言、過去の分割の有無によって変わります。「いま実家に住む子どもが代表で署名すればよい」とは判断できません。
家族関係図には死亡日、婚姻・養子等の関係、資料で確認できた範囲を記載します。相続の順序が違えば検討内容も変わります。親族の記憶と戸籍等の確認結果を分け、判断を要する箇所を専門家へ渡せるようにしてください。
古い相続にも登記の期限が関係する
相続登記は2024年4月1日から申請が義務化されています。原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。施行前に取得と相続を知っていた不動産は、原則として2027年3月31日までの対応が必要とされています。具体的な起算点や義務者は司法書士等へ確認してください。
遺産分割がまだまとまらない場合の制度として相続人申告登記もありますが、所有権の移転や遺産分割を完了させるものではありません。制度を利用した後に必要となる対応も含め、法務局の案内や司法書士への相談で確認する必要があります。
資料は、物件と家族の二組に分ける
物件側は、登記事項、固定資産税の課税明細、権利証等のお持ちの書類、土地建物の一覧です。家族側は、戸籍等の相続関係資料、遺言、過去の協議書、親族への確認状況です。資料がないものは「未取得」とし、同じ証明書を重複して集める前に必要範囲を確認します。
税の資料に載っている範囲が所有不動産の全部とは限りません。別の市町村の土地や、把握していなかった物件がある可能性も含め、調査方法を相談します。通称の「実家」だけで依頼せず、分かっている物件を列挙することが大切です。
売却や解体を決める前に、権利と費用を整理する
誰が住み続けるか、空き家をどう管理するか、売却するかという希望を先に聞くことは有益です。ただし、処分の権限や合意が確認できないまま、売却契約・解体などを急ぐと別の問題を増やすおそれがあります。
希望、権利関係、登記の手続、税金、管理費用を別々の項目にして相談します。意見が食い違う場合は、行政書士が相続人間の交渉を代行するのではなく、弁護士に相談する必要があります。売却の仲介は宅地建物取引業者の領域です。
行政書士と司法書士の役割を区別する
当事務所では、相続関係・財産資料や合意内容の整理を、行政書士の受任可能な範囲で支援します。不動産登記の申請代理や登記申請書類の作成は司法書士等へ相談する事項です。登記専用書類も含め、受任範囲は個別に確認します。
初回は、登記名義が誰になっているか、分かる死亡日、遺言・協議書の有無、将来の希望をお知らせください。資料が全部そろうまで待つより、どの確認が足りないかを早い段階で把握することが、手続の見通しにつながります。
根拠・参考資料
制度の説明と実務上の整理方法の提案を分けて記載しています。架空例は説明のためのもので、当事務所の受任実績ではありません。実際の対応は最新の法令・通知・自治体や提出先の運用と個別事情を確認して判断します。
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状況を整理して相談する
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