はまなす行政書士事務所

行政書士 角屋敦士

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75. 移行支援を「就学前だけ」の仕事にしない――園・学校・地域との連携を支援計画に落とす

専門記事・実務研究 75|障害福祉・児童発達支援
作成・公的資料確認日:2026年9月29日

「まだ年少なので移行支援は不要」「学校へ資料を送ったので完了」。この捉え方では、子どもの今の地域生活を支える機会を見落とします。児童発達支援・放課後等デイサービスの移行支援を、退所や就学直前の作業に限定せず、本人が他の場所でも安心して過ごせる支援として組み立てます。

移行は、サービスを卒業させることだけではない

こども家庭庁のガイドラインは、移行支援に、園への移行だけでなく、併行利用先や学校での生活の充実、同年代の子どもとの関係づくり、地域社会への参加を含めています。事業所をやめる予定がない子どもにも、移行の視点は必要です。

個別支援計画の参考記載方法では、本人支援・家族支援・移行支援を記載することが示されています。ただし、「移行支援」という欄を設け、全員に「就学に向けて連携する」と記入するだけでは、その子の支援になりません。本人や家族が望む暮らし、今の負担、参加したい場を確認して具体化します。

本人の希望と、受入先の条件を同時に調べる

最初に、本人が何を楽しみ、何に不安を示すかを、言葉・表情・行動・選択から確認します。保護者の希望だけで進路や利用回数を決めず、本人の意向を把握した方法も残します。家族が移行に不安を持つ場合は、何が心配なのかを分けて聞きます。

次に、園・学校・放課後児童クラブ等の人数、時間割、休憩場所、意思表示の方法、担当窓口を確認します。「事業所ではできる」と伝えるだけでは不十分です。一対一の静かな部屋でできたことと、大人数の環境でできることの条件差を説明します。

想定例:年少児の園での参加を計画へ落とす

例えば、園と児童発達支援を併行利用し、騒がしい場面で固まってしまう子どもを想定します。目標を「集団に慣れる」とするだけでなく、「苦手なときに休む場所を選び、安心したら好きな活動へ戻れる」と置き、そのために園と共通の意思表示を検討します。

支援内容には、事業所が本人と合う伝え方を試す、保護者の同意の下で園へ環境条件を共有する、園での反応を担当者から確認する、という役割を記載します。「来月中に連絡機会を設け、実施後2週間の様子を確認する」などの予定は内部運用例です。相手先の体制や本人の負担に応じて調整します。

渡す資料は「できないこと一覧」から変える

引継ぎ資料は、本人の好きなこと、安心できる条件、意思表示、困った場面の前後、効果のあった支援、避けたい対応、緊急時の連絡先を中心にします。診断名や苦手さの列挙だけでは、受け取った側が具体的に動けません。事業所の専門用語を、園や学校が使える言葉に置き換えます。

本人支援と移行支援が重なる場合は、目標を無理に二つへ分けず、両方の視点を併記する整理も示されています。ただし、同じ文章を複数欄へ複写して支援量が増えたように見せるものではありません。担当者・連携先・確認時期が読み取れる形にします。

連携の同意と、加算の算定を混ぜない

情報提供前に、誰へ、何の目的で、どの資料を、どの方法で渡すかを保護者等と確認し、必要な同意を得ます。日常連絡の同意があることだけで、家族の機微情報や記録一式を無制限に送らないようにします。相手方の窓口と受領も確認し、安全な方法で共有します。

園や学校と連絡した事実だけで、関係機関連携加算や保育・教育等移行支援加算が当然に算定できるわけではありません。会議、情報共有、計画への反映、実際の移行等、算定する項目ごとの要件を別途確認します。通常の移行支援を行う責任と、報酬上の評価は区別してください。

連絡後の変化を確認して、支援を閉じる

連携は資料の送付で終わりません。受入先が実行できたこと、難しかったこと、本人の負担、家族の受け止めを聞き、必要なら計画を修正します。事業所で有効な方法が相手先で実行できないときは、相手の協力不足と決めず、人員や時間割の条件を再確認します。

確認資料は個別支援計画、本人・家族の意向記録、情報共有の同意、連絡・会議記録、引継ぎ資料、連携後の評価です。当事務所は、これらの対応関係、説明・同意の様式、行政手続上の整理を支援します。就学先の決定、学校の教育判断、個別の発達支援は担当機関・専門職が担います。相談時は連携先と、どの段階で止まっているかをお知らせください。

相談前の確認メモ

以下は、資料を整理するための当事務所の提案です。法令上の全国共通様式ではありません。

確認する区分資料・事実
目的本人がどの場でどう過ごしたいか
準備環境条件、担当窓口、同意、共有資料
検証相手先で実行できた支援、本人の負担、計画修正

公的な根拠・参考資料

下記は制度の確認に用いた公的資料です。本文中の整理表・運用手順・想定例は当事務所の実務上の提案と区別しています。個別案件では、対象サービス・地域・手続時点に適用される法令、通知、提出先の取扱いを確認します。

こども家庭庁|児童発達支援等ガイドライン(移行支援・計画記載方法)

こども家庭庁|教育と福祉の連携等の推進

こども家庭庁|令和8年度報酬改定・留意事項通知

45. 就学・転園の引継ぎで支援を途切れさせない――「できる条件」が伝わる資料の作り方

51. 「本人の希望」が書けない個別支援計画――言葉にならない意思を記録する方法

74. モニタリング時期を機械的に決めていませんか――状態変化と計画見直しのタイミングを整理する

状況を整理して相談する

困っている点、期限、手元の資料、これまでの経過をお知らせください。本記事の相談準備に挙げた資料から必要な範囲を確認し、行政書士が支援できる部分と、他の専門職へつなぐ部分を整理します。

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