はまなす行政書士事務所

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51. 「本人の希望」が書けない個別支援計画――言葉にならない意思を記録する方法

専門記事・実務研究|障害福祉・児童発達支援
作成・参考資料確認日:2026年9月29日

発語が少ない子どもの意向を、職員や保護者の希望で置き換えていませんか。観察した事実と支援者の解釈を分け、本人の選択を計画・会議・日々の支援へつなげる手順を解説します。

実務で使う確認表

情報の種類記録する内容
観察事実いつ・どこで・どんな反応があったか
解釈考えられる意味と、まだ分からない点
次の支援変える条件・担当者・振り返る日

「話せない」と「意思がない」を分ける

個別支援計画の本人意向欄に「保護者の希望と同じ」と書く前に、子ども自身から何を確かめたかを振り返ります。言葉が少なくても、近づく、視線を向ける、手を伸ばす、離れるなどの反応があります。反応の意味を直ちに決め付けず、本人が伝えやすい方法を探すことが出発点です。

こども家庭庁の手引きは、言語だけでなく表情・身体の動き等を踏まえた意思の尊重を求めています。保護者が望む将来像も大切ですが、それは本人のその場の希望とは別の情報です。両方を記録して初めて、両者の違いを話し合えるようになります。

記録を三つの欄に分ける

実務では「観察したこと」「考えられる意味」「次に確かめること」の三欄を設ける方法を提案します。「集団活動が嫌い」と書く代わりに、活動の種類、人数、音、声掛け、直前の出来事と、そのときの反応を残します。日付と観察者を付ければ、ほかの職員も同じ場面を検討できます。

架空例では、音楽開始時に耳を覆って廊下へ出た子について、音量が負担だった可能性、活動の見通しがなかった可能性、体調の影響を候補にします。この時点で「音楽を拒否した」と断定せず、静かな場所や予告のある条件で本人の反応を改めて確かめます。

選択肢と「選ばない」を用意する

絵カードを二枚出して選んでもらうだけでは、カードの意味を理解していたか、片方しか経験がなかったのかが分かりません。短く体験する、実物を見せる、理解できる言葉を使うなど、本人が比べられる条件を整えます。回答を急がせず、休む・後にするという選択も用意します。

選んだ後に気持ちが変わることもあります。一度の指差しを、その日すべての活動への同意として扱わないようにします。安全上そのまま実現できない希望があれば、理由を伝え、近い代替案を示して反応を確かめます。本人の意思の尊重は、危険を放置することとは異なります。

会議では解釈の違いを消さない

担当者が「楽しんでいる」と見た行動を、別の職員が「困っている」と捉えることがあります。議事録を一つの結論へ急いで整えるより、場面と根拠を持ち寄ります。保護者には家庭での様子を尋ね、事業所との環境差も検討します。本人が参加しやすい形で意見を確かめる工夫も必要です。

会議の決定は「次の二週間、始まりの予告を変え、表情・滞在時間・離席後の様子を記録する」など、支援方法と確認時期を具体化します。期間や項目は個別に決める運用例であり、法定の統一様式ではありません。誰が記録を読み、いつ本人の希望を再確認するかまで決めます。

計画には本人の表現と支援条件を残す

本人意向欄は、本人の発言があればその言葉を基本にし、非言語の反応から推測した部分は「○○の場面で近づく様子があり、好む可能性がある」と根拠を添えます。保護者の発言と職員の推測を本人の発言のように書き換えないことが重要です。

支援目標も「集団に最後まで参加する」だけでなく、安心して選べること、嫌なときに伝えられることなどを検討します。活動への参加時間が短くなっても、本人が適切に休息を求められるようになったなら、その変化を評価する視点が必要です。

まず一人、一場面から点検する

全員分の書式を一斉に作り替える前に、意向の把握が難しい一場面を選びます。観察記録、計画の本人意向欄、会議の決定、翌週の支援記録を並べ、つながっていない箇所を確認してください。記録が増えるだけなら、同じ内容の転記を減らす見直しも行います。

当事務所では、意思把握の記録から個別支援計画・会議録へつなげる書類と運用の整理を支援します。相談には個人名を伏せた計画と記録、職員間で判断が分かれた場面をお知らせください。発達評価や医療的判断は各専門職と連携して行います。

根拠・参考資料

こども家庭庁「こどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮の手引き」

制度の説明と実務上の整理方法の提案を分けて記載しています。架空例は説明のためのもので、当事務所の受任実績ではありません。実際の対応は最新の法令・通知・自治体や提出先の運用と個別事情を確認して判断します。

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