働く・備える
就労移行・A型・B型、どれが自分に合う? 働き方を『順番』で選ばないために
先に押さえる、3つのこと
- 就労移行・A型・B型は、能力の順位や必ず上がる階段ではありません。
- 雇用契約の有無と、何を支えるサービスかを分けて理解しましょう。
- 仕事内容だけでなく、通勤、体調、費用、相談しやすさも選ぶ材料です。
この記事の目次
「働きたい」と思って調べたら、就労移行、A型、B型。聞き慣れない名前が並び、どれを選べばよいか分からなくなった。そんなとき、「B型からA型、その次に就職」と階段のように考えると、分かりやすく見えるかもしれません。
けれど、その順番を全員がたどる必要はありません。大切なのは、今の希望と生活にどんな支援が合うかです。得意な作業ができることも、無理なく帰宅して翌日を迎えられることも、働き方を選ぶ立派な材料です。
三つの違いは、目的と雇用契約にある
ここでは比較しやすい三つを取り上げます。このほか、選択を助ける就労選択支援や、就職後の継続を支える就労定着支援もあります。
| サービス | 主な役割と契約の違い |
|---|---|
| 就労移行支援 | 一般企業などへの就職を目指し、必要な知識や技能、求職活動などを支援します。サービス利用そのものは雇用契約ではありません。 |
| 就労継続支援A型 | 一般企業で働くことが難しくても、雇用契約に基づく就労が可能な人に、働く機会や支援を提供します。原則として事業所と雇用契約を結びます。 |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約に基づく就労が難しい人に、作業や生産活動の機会と必要な支援を提供します。事業所とは雇用契約を結ばない形です。 |
利用できる人の条件や必要な手続きは、サービスごとに異なります。この表だけで自分が対象かを判断せず、市町村や相談支援の窓口に確認してください。
賃金と工賃は、同じ言葉として読まない
A型で雇用契約を結ぶ場合は、労働者として賃金や労働条件を確認します。B型では、生産活動に対して支払われる工賃を確認します。どちらも「月に受け取るお金」だけで比べると、働く時間や仕組みの違いが見えなくなります。
広告に平均額が書かれていても、それが自分の毎月の受取額になるとは限りません。通う日数、作業時間、支払いの計算方法を聞きましょう。サービス利用の自己負担や、交通費、食費なども別に確認すると、暮らしの中での見通しを立てやすくなります。
就労移行支援も、通うこと自体が給与の出る仕事ではありません。生産活動の有無などによって扱いが違うため、お金について遠慮せず説明を求めて構いません。
見学では「仕事内容」以外の時間も見る
パソコン作業が好きでも、朝の満員電車で疲れきってしまえば、続けるのが難しいことがあります。逆に、初めは興味の薄かった作業でも、教え方や環境が合うことで取り組みやすくなる場合があります。
- 一日の予定は見える形になっているか。変更はどう伝えられるか。
- 休憩できる場所はあるか。音、におい、人との距離は負担にならないか。
- 分からないとき、誰に、どの方法で質問できるか。
- 体調が悪い日や通院の日には、どのように相談するか。
- 本人が目指すことと、事業所が提供する支援は合っているか。
「頑張れば慣れます」という励ましだけでなく、具体的にどんな調整ができるのかを聞くことが大切です。
体験で疲れたら、自分のせいだけにしない
体験の一日には、知らない場所へ行く緊張も重なります。「作業はできたけれど、帰宅後は何もできなかった」という結果にも意味があります。作業時間、通勤、説明の量など、何が負担だったかを分けて振り返りましょう。
短い時間から相談できるか、別の日程で確かめられるか。調整の可能性と利用条件を事業所に聞きます。無理を隠して採用や利用だけを目指すと、続けるために必要な支援が伝わらないことがあります。
迷っていることを整理する支援もある
就労選択支援では、作業の体験などを通して、本人の希望、得意なこと、必要な配慮を整理し、働き方の選択を支えます。2025年10月から始まった制度で、B型の新規利用などには事前の利用が原則となる場合があります。例外や地域での手続きがあるため、窓口で確認します。
選択に迷うことは、意欲がないという意味ではありません。「何が自分に合うか、まだ分からない」と伝えるところから相談を始められます。選んだ後も、体調や希望の変化に合わせて見直せるよう、相談相手を持っておくと安心です。
そのまま使える、伝え方の例
「作業には興味がありますが、毎日の通勤と疲れ方が心配です。体験では仕事内容だけでなく、休憩の取り方や帰宅後の様子も含めて相談できますか。」
必要な支援を相談する
根拠資料・記事について
制度・法律に関する記述は、上記の公的資料と照合しています。全国の制度と、堺市・大阪市などの地域の取扱いを区別して記載しています。個別の利用可否、費用、手続きは、お住まいの自治体等へご確認ください。
制作:福祉の集い / 運営:はまなす行政書士事務所。文中の場面や会話は、説明のための想定例です。