子どもと家族
「お兄ちゃんだから」を少し減らす。きょうだいの気持ちを置き去りにしないために
先に押さえる、3つのこと
- きょうだいも、うれしさや不満、心配をそのまま話してよい存在です。
- 手伝いと、子どもが背負いすぎている役割を分けて考えましょう。
- 家族だけで解決しようとせず、学校や地域の相談先につながれます。
この記事の目次
病院の日だから、今日もお迎えは後。弟が疲れているから、遊びの予定は変更。家族の事情をよく分かっている子ほど、「大丈夫」と言ってくれることがあります。その言葉に助けられながら、何度も頼ってしまうこともあるでしょう。
きょうだいを大切にすることは、親が毎日同じ時間を全員に配る、という難しい課題ではありません。その子にも、自分の気持ちや予定を持つ権利があることを、日々の関わりの中で確かめていくことです。
優しい気持ちと、嫌な気持ちは一緒にあってよい
家族を大切に思う気持ちと、予定が変わって悲しい気持ちは両立します。「弟が好きなら我慢できるはず」とまとめてしまうと、子どもは不満を言いにくくなります。
話してくれたときには、すぐ事情を説明して納得させるより、「楽しみにしていたのに残念だったね」と、その子に起きたことを受け止める時間を取ってみましょう。親がすべての希望をかなえられなくても、気持ちを話したことで叱られない経験は残せます。
反対に、話したがらないときに無理に聞き出す必要もありません。「今じゃなくても、聞いてほしいときは言ってね」と、話せる入口を置いておく方法もあります。
「いつも助かる」を、役割の固定にしない
手伝ってくれたことに感謝するのは大切です。ただ、「あなたがいないと家が回らない」「将来は全部お願いね」と伝え続けると、断ることが難しくなる場合があります。
具体的なお願いをするときは、時間や内容を区切り、断れる余地を残します。「今日は10分だけ一緒に待っていてもらえる? 難しければ別の方法を考えるね」というような伝え方です。長い見守りや危険を伴う介助を、子どもだけの責任にしないことも必要です。
家族の手伝いをしているから、すべてヤングケアラーに当たるわけではありません。一方、世話の負担で学校生活、睡眠、友人関係などに影響が出ているなら、外部の支援を相談する目安になります。
予定表に、その子自身の予定も書く
通院や通所の予定は大きく書かれていても、きょうだいの遊びや習い事は後回しになりやすいものです。同じ予定表に、その子の楽しみも書いてみましょう。変更が必要なときも、黙って消さずに説明します。
親と二人で過ごす時間は、特別な旅行でなくても構いません。買い物の帰りに好きな飲み物を選ぶ、寝る前にその子の話だけ聞く。頻度や長さを無理に約束するより、守れる小さな時間を一緒に決める方が続けやすいこともあります。
その時間を「本音を話させる面談」にしないことも大切です。何気ない話や遊びだけで終わっても、子ども自身に向けられた時間であることに意味があります。
障害について、全部説明しなくても、秘密にはしない
年齢や理解に合わせ、分かっていることを短く伝えます。「大きな音がつらいことがある」「言葉で伝えるのに時間がかかる」など、生活とつながる説明は理解の手がかりになります。本人のプライバシーも大切にし、診断や医療の情報をどこまで共有するかは慎重に考えます。
分からないことは「今はまだ分からない」と言って構いません。「あなたが気をつければ全部うまくいく」と、きょうだいに解決の責任を負わせないようにしましょう。
将来の生活について尋ねられたら、「大人や地域の支援も使って考える。あなた一人に決めてもらう話ではない」と、家族以外の支えも一緒に伝えます。
家族の外に、話せる相手を持つ
こども家庭庁の案内では、ヤングケアラーの相談先として学校、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、自治体の窓口等が紹介されています。地域によって窓口や支援内容は異なります。「該当するか分からない」段階でも、役割の負担や生活への影響を相談できます。
通所先へも「きょうだいのことを含め、家族全体の負担を相談したい」と伝えられます。きょうだい向けの交流の場がある場合も、参加を本人に強制する必要はありません。家族の話をしたい日も、したくない日も尊重しましょう。
そのまま使える、伝え方の例
家のことを手伝ってくれて助かっているけれど、あなた自身の時間も大切にしたい。今、減らしたい役割や、できるようにしたいことはあるかな。
子どもの相談を、ひとつずつ
根拠資料・記事について
制度・法律に関する記述は、上記の公的資料と照合しています。全国の制度と、堺市・大阪市などの地域の取扱いを区別して記載しています。個別の利用可否、費用、手続きは、お住まいの自治体等へご確認ください。
制作:福祉の集い / 運営:はまなす行政書士事務所。文中の場面や会話は、説明のための想定例です。