保育士が同僚と比べて自信をなくすときに
不安・怒り・自信 | 約10分で読む
編集:はまなす行政書士事務所 | 2026年10月12日
あの人は子どもへの声かけが自然で、保護者とも楽しそうに話している。自分は記録を仕上げるだけで精いっぱい。隣の人のよさが見えるほど、自分には何もないように思う日があるかもしれません。比べない努力をする前に、いま何と何を比べているのかを、ゆっくり見直してみます。
最初に、この一つだけ
「あの人みたいになる」ではなく、その人の仕事から知りたい一つの工夫を選んでみます。
全部読まなくても大丈夫。目次から、いま気になるところへ。
この記事で読めること

見えている一場面と、自分の一日全部を比べていないか
同僚のよさが目に入るのは、活動がうまく進んだ場面や、保護者との会話が弾んだ場面かもしれません。一方、自分については、言葉に迷った時間、準備の遅れ、帰宅後の反省まで知っています。見えている範囲が違う二つを並べると、自分の足りなさだけが大きくなりがちです。
だからといって、相手にも欠点があるはずと探す必要はありません。相手の上手なところは、そのまま上手だと認めてよいのです。ただ、それが自分全体の点数まで決める材料なのかは、分けて考えられます。
「今日の活動説明は、あの人のほうが分かりやすかった」と、「私は保育に向いていない」の間には、かなり距離があります。前者なら工夫を尋ねられます。後者は対象が広すぎて、何を変えればよいかが見えなくなってしまいます。
速さを比べる前に、仕事の条件をそろえる
同じ時間に出勤していても、担当する子ども、途中に入る連絡、初めて扱う書類、引き受けた役割は違います。「あの人はもう終わった」と見えたときは、仕事量や条件まで同じなのかを一度確かめてみます。
たとえば、あなたは記録の途中に電話を受け、別の職員はその時間を記録に使えていたかもしれません。どちらが偉いという話ではなく、終わる時刻の違いだけでは作業の力を比較できない、ということです。児発管の会議調整と、保育士の活動準備も、そのまま同じ尺度では測れません。
自分の遅さが気になるなら、どの工程で時間がかかっているかを見ます。経験を積みたい部分と、分担を変える必要のある部分が混ざっていないでしょうか。練習で補える課題も、仕事が重なっている問題も、具体的にすることで相談しやすくなります。
憧れを、真似できる大きさにする
ここからは架空の場面です。ある職員の活動説明が短く、子どもたちが次の動きへ移りやすいと感じたとします。「話すのが上手ですね」で終わらせず、「最初に伝えることを、どのように選んでいますか」と、その人の準備や判断を尋ねる方法があります。
分かった工夫を使うときも、同じ言葉をそのまま繰り返せばよいとは限りません。子どもの理解や見通しの持ち方、支援方針によって必要な伝え方は違います。「自分の担当場面でも使えるか、一緒に考えてください」と相談できれば、個人技の物真似から、支援を考える学びへ進めます。
一度に声の出し方も、表情も、段取りも変えようとしないでください。次の説明で一つ確認することが見つかれば十分です。憧れる人と同じ人になることより、必要な場面で使える選択肢を一つ増やすことを目標にします。
教わるときは、相手が支援中に長く説明する形にならないよう、勤務中の振り返りの時間を相談します。「今日見ていて気になった工夫を、後で一つ聞いてもよいですか」と予告する方法もあります。質問を持つことと、相手が今すぐ答えられることを分ければ、学びを互いの余裕の中へ置きやすくなります。
目立たない仕事を、評価の外に置かない
活動の中心で話す人は、よさが周囲に見えやすいかもしれません。一方、道具を使いやすく整えた人、伝え忘れに気づいて確認した人、落ち着ける場所を確保した人の仕事は、出来事が起きなかったために目立たない場合があります。
自分を褒める材料を無理に探すより、今日何を担当したかを事実として振り返ります。「落ち着いて待てるよう、使う物を先に並べた」「気になった変化を担当者へ渡した」。大きな成果を証明しなくても、担った仕事を言葉にすることはできます。
ただし、気づく人がいつも準備や調整を引き受ける状態を、美徳だけで固定しないことも大切です。自分の仕事が見えにくいなら、分担表や打ち合わせで担当と時間を共有します。周囲を支える仕事も、余った人が無限に行うものではありません。
褒められなかった日と、仕事に価値がなかった日は違う
別の職員が保護者からお礼を言われると、自分だけ認められていないように感じることがあります。寂しい、うらやましい、悔しい。そう感じたことまで悪い職員の証拠にしなくて構いません。人のよさを認める気持ちと、自分も見てほしい気持ちは、同時にあってよいものです。
ただ、外からの反応は、会話の機会や担当の違いにも左右されます。お礼の回数だけで、支援の質や子どもとの関係を採点することはできません。子どもに好かれたか、保護者に褒められたかを、同僚同士の競争にしないことも必要です。
評価が気になるときは、「よくできていますか」と全体を尋ねるより、「今の担当業務で、続けてよい点と、次に練習する点を教えてください」と、具体的なフィードバックを求める方法があります。曖昧な自己評価から、実際に確かめられる話へ戻します。
支援を振り返るときは、子どもがすぐ従ったかだけを成功の基準にしないことも大切です。本人の意思や状態、活動の条件などを踏まえて、チームの方針に沿って考えます。目立つ反応がなくても、その日の記録や観察から分かることがあります。一場面の印象を、職員同士の優劣へ急いでつなげないようにします。
人と比べる言葉が職場から続くとき
自分の内側で比べてしまうことと、上司から「同じ年数なのに」「あの人はできている」と繰り返し言われることは、同じ問題ではありません。後者では、求める仕事の内容や、教わる機会が明確かを確かめる必要があります。
厚生労働省「こころの耳」の職場環境の案内は、仕事量だけでなく、人間関係や組織のあり方も見直しの対象としています。ここではその視点から、比較する言葉を本人の受け止め方だけの問題にしないことを提案します。
安全に話せる状況なら、「誰と比べるかではなく、この業務で必要な水準と、練習する点を教えてください」と確認できます。説明がなく責められ続ける、威圧されて話せない場合は、別の責任者や相談窓口へ状況を伝える方法を考えます。上手な受け流し方を身につけることだけを、解決にしなくてよいのです。
この節の参考:厚生労働省「こころの耳」「メンタルヘルス対策に関する施策の概要:7 職場環境の改善」 ↗
成長の見方を、順位から次の一歩へ戻す
一週間の振り返りで、自分が何番目かを決める代わりに、「以前より迷わずできたこと」「助けがあれば進められたこと」「まだ教わりたいこと」を一つずつ見ます。すべての欄を埋める必要はありません。変化がなかった週があっても、それだけで後退したことにはなりません。
前よりできない気がする日は、疲れや仕事の増加、初めての担当がなかったかも考えます。自信を取り戻すために勉強時間を足す前に、休息や分担の調整が必要な場合もあります。個人の努力を増やすことだけに結びつけないのが、この振り返りの大事なところです。
同僚のよさは、自分の不足を示すものだけではなく、チームの中で頼れる場所でもあります。互いに何が得意かを知ることが、苦手を黙って補い合う状態ではなく、相談できる分担につながるとよいでしょう。
振り返りの記録を増やすことで疲れるなら、打ち合わせで一つ話すだけでも構いません。学ぶための整理が、退勤後に毎日つける新しい宿題にならないようにします。
自分を見る目が厳しい日には、判断を預けてもよい
何を思い出しても、自分が劣っている証拠に見えてしまう日があります。そんな日は、一人で長く自己評価を続けるより、信頼できる人と具体的な一場面だけ確認するほうが話しやすいかもしれません。「今日の説明で、分かりにくかった点を一つ教えてください」と、尋ねる範囲を狭められます。
相談する際は子どもや家庭の個人情報を必要以上に持ち出さず、自分の困り方と仕事の状況を中心に伝えます。眠りや食事に影響が出るほど自分を責める状態が続くときには、職場での振り返りとは別に、医療機関や公的な相談窓口も利用してください。
今日、同僚のよさが見えたからといって、あなたの仕事が消えたわけではありません。気持ちをすぐ前向きに変えなくても、明日教わりたいことを一つ選ぶ、今の負担を一つ伝える。それくらいの具体的な行動へ戻るところから始められます。
短い振り返りに
比べた場面を、次の相談へ変える
浮かんだ言葉:あの人は全部うまい
具体的に確かめるなら:どの場面の、何が分かりやすかったのか。準備の工夫を一つ聞けるか。
浮かんだ言葉:自分だけ遅い
具体的に確かめるなら:同じ作業量か。途中で別の担当が入り、中断していないか。
浮かんだ言葉:自分は役に立っていない
具体的に確かめるなら:今日引き受けた仕事は何か。目立たない準備や共有も含めて見る。
浮かんだ言葉:もっと頑張らないと
具体的に確かめるなら:練習が必要なのか、説明・時間・分担を整える必要があるのか。
自分を肯定する答えだけを探す表ではありません。改善点があれば具体的に学び、仕事の条件に問題があれば職場で調整するための整理です。子どもを特定する情報を書き込む必要はありません。
今日、持ち帰る言葉
誰かの得意は、あなたの失格を意味しない。比べる視線を、学べる一つの工夫へ。
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参考にした情報・引用元
文例・整理の手順は、保育・療育の場面を想定した広場の編集提案です。公的資料に記された手順や診断基準そのものではありません。
- 厚生労働省「こころの耳」「メンタルヘルス対策に関する施策の概要:7 職場環境の改善」 ↗仕事量、作業方法、コミュニケーション、人間関係などを職場全体で見直すという基本的な視点。各記事の職種別の場面・文例は編集部による提案です。
- 厚生労働省「こころの耳」「相談窓口案内」 ↗こころの健康、仕事、職場のハラスメント等、相談内容に合った窓口を探すための公的案内。受付条件等はリンク先で確認します。
出典確認:2026年10月12日。出典の掲載元が、この記事を監修・推薦したことを意味するものではありません。
記事の位置づけ・読む時間について
編集:はまなす行政書士事務所。一般的な考え方を紹介する記事です。文中の場面・文例は説明のための架空例で、実在の体験談ではありません。個別の医療・法律相談や専門家監修の記事として作成したものではありません。職場の手順と状況に合わせてお使いください。
読む時間は、本文・実践例などの文字数を1分400字で計算した編集上の目安です。参照先を読んだり、考えながら読み進めたりする時間は含みません。速さや読み方によって変わります。
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