遺言を変更・撤回したくなったら|古い遺言を残す前に確認すること

このページの結論

遺言は作成後も変更・撤回できます。ただし、思いを変えたというメモだけでは足りません。新旧の遺言の関係を整え、保管場所と実行する人への連絡まで見直すことが大切です。

まずすること

以前の遺言の作成日・方式・保管場所と、今回変えたい点を一枚に並べてください。

説明用の架空例 · 実際の相談事例ではありません

新しい遺言を書いた。では、古い一通はもう無関係?

母は十年前、公正証書遺言で自宅を長男に渡すことにしました。その後、自宅を売り、次女と暮らすようになりました。今度は預金を二人に分けたいと思い、自分で遺言を書きます。

新しいものを書けば前のものは全部消える、と考えると危険です。二通の内容がどう重なるか、変更しなかった条項はどうなるか。家族が二通を見つけた場面まで考えて、書き直しを進めます。

1.遺言は、作成した本人が見直せます

遺言は、遺言者が遺言の方式に従って撤回・変更できます。以前が公正証書遺言だったからといって、新しいものも必ず同じ方式でなければならないわけではありません。ただし、新しい遺言自体が方式を満たす必要があります。[1]

家族全員から書き直しの許可をもらう、という仕組みではありません。一方、本人の意思や遺言をする能力は大切です。家族が代わりに決めたり、本人の署名だけをもらったりする進め方を避け、本人の希望を確認してから文案を整えます。

2.「後の日付があるから全部置き換わる」と決めつけない

前の遺言と後の遺言が抵触する部分では、後の遺言による撤回が問題になります。しかし、二通があるときに、前の遺言のすべてが自動的になかったことになるとは限りません。財産の条項だけでなく、遺言執行者の指定なども読み比べる必要があります。[1]

全体を作り直したいのか、一部だけ変えたいのかを最初に決めましょう。全体を置き換える場合は、その意思が文書で明確に分かるよう専門家と確認します。一部変更では、残す条項と変える条項を特定する作業が必要です。古い遺言の写しを持たずに、記憶だけで進めないでください。

3.保管をやめることと、遺言を撤回することは別です

法務局へ預けた自筆証書遺言について、保管の申請を撤回し、返還を受けても、それだけで遺言が無効になるわけではありません。『預けるのをやめる手続き』と『内容の法的な撤回』を区別します。[2]

また、公正証書遺言の手元の謄本や正本を捨てることだけで撤回したつもりになるのも避けます。書類をなくす方法で済ませようとせず、どの遺言をどう変えるのかを明示した、有効な方式の遺言を準備する方が、後の確認につながります。

4.変更したい項目を、財産・人・役割で点検する

財産は、売却した自宅、解約した口座、新しく取得した資産を確認します。人は、受取人の死亡、家族構成や関係の変化、氏名の変更など。役割は、遺言執行者が今も引き受けられるかを確かめます。配分を変える理由だけでなく、今の資料を集め直す作業です。

前の遺言を読んだ家族へ『新しくした』と連絡する必要があるかも検討します。全内容を伝えるかは別として、必要な人が最新の書類の存在と保管先を把握できるようにしておくと、古い一通だけで手続きを始めることを防ぎやすくなります。

5.自筆の訂正に迷ったら、書き直す方法を検討する

自筆証書遺言は、訂正の仕方にも法定のルールがあります。二重線を引いて印鑑を押せば必ず足りる、と考えないでください。変更箇所が多いときは、全文を改めて作る方法も含めて確認します。方式上の問題と、配分内容の問題を分けて点検します。[3]

保管中の文書の内容を変える場合、法務省は一度保管申請を撤回して内容を変更し、再度保管を申請する方法などを案内しています。新しい一通を追加で保管する場合にも、新旧が分かりにくくならないかを考えます。窓口で保管したことだけで内容の有効性が保証されるわけではありません。[2]

6.最後は「最新の遺言へたどり着けるか」を確認する

新しい遺言を完成させたら、作成日、方式、保管先、撤回・変更した範囲を自分の管理メモへ残します。メモは遺言の代わりではありませんが、家族が確認する入口になります。古い写しの取扱いも整理し、新旧が混ざったファイルを放置しないようにしましょう。

場面の母なら、自宅売却後の預金、二人への配分、遺言執行者、前の公正証書遺言との関係を一緒に確認します。『新しく書いた』から『後の人が迷わず確認できる』まで進めて、見直しは一区切りです。

似ている手続きでも、変わるものは違います
行動意味次の確認
新しい遺言を作る有効な方式と新旧の関係が問題になる全体の撤回か、一部の変更か
法務局から返還を受ける保管をやめる遺言の効力は別に確認
保管中の住所変更を届ける保管情報を更新する配分の変更にはならない

よくある質問

公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回できますか。

方式を満たした遺言であれば、異なる方式でも撤回できます。ただし、内容や作成能力などの問題は別に確認が必要です。[1]

新旧二通が見つかった家族は、古い方を捨ててよいですか。

日付だけで判断して処分せず、二通を保存して専門家へ確認してください。内容が抵触する範囲や方式、執行者の指定などの検討が必要になります。

今日できる準備

  • 以前の遺言の写しと保管場所を確認した
  • 変える条項・残す条項と最新の財産を並べた
  • 新しい遺言の方式と、家族が見つける方法を確認する

参照資料・編集方針

  1. 日本公証人連合会|遺言の取消し・撤回・変更
  2. 法務省|遺言者の手続
  3. 日本公証人連合会|遺言

公式資料確認:2026年10月6日。制度・手続きは上記資料を参照し、架空の場面、会話例、確認表、準備の順番は当サイト独自の編集例として作成しました。個別の取扱いは、状況と利用先に応じて確認してください。

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