保育士・療育職が怒ってしまい、自己嫌悪になるとき
不安・怒り・自信 | 約10分で読む
編集:はまなす行政書士事務所 | 2026年10月12日
思っていたより強い声が出た。帰ってから、その場面を何度も思い出してしまう。自分を責める気持ちがあっても、それだけでは次の行動は決まりません。相手の安全を守ること、起きたことに責任を持つこと、繰り返さないために助けを借りることを、順番に考えます。
最初に、この一つだけ
まず安全と必要な報告。そのあとで、「何をしたか」と「次に誰へ交代を頼むか」を具体的にする。
全部読まなくても大丈夫。目次から、いま気になるところへ。
この記事で読めること

怒りを感じたことと、相手にしたことを分ける
腹が立つ、悔しい、余裕がなくなる。そうした気持ちが生じたことだけで、人として失格になるわけではありません。一方で、大声で威圧する、人格を否定する、物を乱暴に扱うといった行動は、相手を傷つけることがあります。気持ちを否定しないことと、行動をそのまま認めることは別です。
「疲れていたから仕方がない」で終えると、相手の受けた影響が置き去りになります。「私はだめな人間だ」で終えても、具体的に何を変えるかが残りません。その間に、起きた行動を確かめ、必要な対応をし、次の手順を決める道があります。
この記事は、怒りを正当化したり、自分を許すことだけを勧めたりするものではありません。責任を持つために、際限なく自分を罰する以外の方法を探す記事です。読み進めるより先に安全確保や報告が必要なら、そちらを優先してください。
いま繰り返しそうなら、一人で落ち着こうとしない
支援中にまた強く言いそう、手が出そう、子どものそばで自分を抑えられるか不安。そんなときは、子どもの安全を確保できる職員へ交代を頼み、状況を伝えます。子どもを見守りのない状態で残して、その場から立ち去る方法は選ばないでください。
短く伝えるなら、「いま余裕がなく、対応を続けるのが難しいです。安全に引き継げるよう、代わってください」。人が足りない場面でも、危険を隠して続けるのではなく、管理者へ直ちに応援や調整を求めます。差し迫った生命・身体の危険がある場合は、緊急の援助が必要です。
すでに子どもを傷つける行為があった、虐待が疑われる場合は、単なる反省会で済ませません。安全確保、必要な受診・報告などにつなぎます。児発・放デイでは、虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合、市町村への速やかな通報が必要です。内部で確証がそろうまで待つという扱いにはしません。公的な手引きも、この節の参考から確認できます。
この節の参考:こども家庭庁掲載資料「障害者虐待の防止と対応の手引き(施設・事業所従事者向け・令和6年7月、PDF)」 ↗
「怒った」の中身を、行動が分かる言葉にする
安全と必要な初動のあと、何があったかを振り返ります。「少しきつく言った」という表現だけでは、相手がどのような状況に置かれたか分かりません。どんな言葉を、どのような声や距離で伝えたか。その後、相手がどう反応し、自分や周囲がどう対応したかを整理します。
ここからは架空の例です。片付けが進まず、大きな声で「早くして」と繰り返した。子どもは動きを止め、別の職員が対応を代わった。この場合、「子どもが片付けなかったから怒った」という一文にせず、声を重ねた自分の行動と、子どもの反応を分けて残します。
原因を探すときも、「わざと困らせた」と子どもの意図を決めつけないことが大切です。活動の見通し、周囲の音、伝え方、疲れなど、確認する条件があります。自分の睡眠不足や忙しさも、再発を防ぐ材料として扱えます。ただし、それを相手のせいにしたり、傷つけた行動の免責に使ったりしないようにします。
謝るときは、相手に自分の回復を頼まない
謝罪が必要な場面では、何をしたことに対して謝るのかを具体的にします。架空の文例なら、「大きな声で繰り返し言ってしまいました。怖い思いをさせる言い方でした。ごめんなさい」。相手の理解や状態に合う方法を、必要に応じてチームで考えます。
「でも、あなたも片付けなかったから」と理由を付け足すと、責任を相手へ返してしまいます。「もう怒ってないよね」「先生のこと嫌いになった?」と、相手に安心させてもらう言葉も避けたいところです。謝罪を受け入れるか、いつ話したいかは、相手に委ねる部分があります。
子どもへの対応、保護者への説明、組織としての記録や報告は、謝罪一つで代わりになるものではありません。職場の責任者と必要な対応を確認します。謝ったので終わりにするのではなく、相手の安全と安心、その後の関わりを継続して確かめることが必要です。
次のために、怒りの早い合図を見つける
怒りが大きくなってから対処しようとしても、言葉を選ぶ余裕がないことがあります。英国の公的医療情報NHSは、怒りの兆候に早めに気づき、反応する前に時間を置くことなどを紹介しています。決まった秒数だけ待てば解決する、という保証ではありません。
自分の場合は、どんな合図が早く出るでしょうか。声が速くなる、相手の説明を遮りたくなる、肩に力が入る。「今すぐ何とかしないと」と感じ始めることが合図かもしれません。診断するためではなく、行動を選び直すタイミングを知るために振り返ります。
合図と次の動作を組にしておきます。「声が速くなったら、まず短い言葉にする」「強い言葉が出そうなら、決めた相手へ交代を頼む」。休憩や呼吸などが合う人もいますが、苦しくなるやり方は続ける必要がありません。支援中は、子どもの安全を守る体制と一緒に使える方法を選んでください。
この節の参考:NHS(英国の公的医療情報)「Anger(怒りについて・英語)」 ↗
再発防止を「次は気をつける」の一文にしない
同じ時間帯に毎回余裕がなくなるなら、本人の気持ちだけでなく、一日の仕事の組み方を見直す必要があります。送迎と記録と保護者対応が重なる、判断する人が不在になる、交代を頼むと責められる。そうした条件があるなら、管理者と共有する課題です。
相談では、「昨日の行動を繰り返さないために、夕方の分担と交代の方法を決めたい」と伝えられます。誰へ頼むか、その人が不在ならどうするか、どの時点で管理者へ連絡するか。落ち着いているときに決めておくことで、強い感情が出た場面でも手順を使いやすくします。
子どもへの支援方法そのものが合っていなかった可能性もあります。計画と実際の場面を照合し、本人の意思や負担を確かめ、チームで見直します。職員の感情を整える研修だけで、子どもが困っている条件を放置しないことが大切です。実施した工夫が役立ったかを確かめる日も、併せて決めてください。
振り返りの場を、長い叱責の場にしないために
チームで振り返るときは、行為を曖昧にしないことと、人格を責め続けないことを両立させます。「あなたは向いていない」という評価だけでは、子どもの安全をどう確保するか、次の担当をどう調整するかが残りません。本人が反省を語る時間だけで、必要な対応が完了したと考えないことも大切です。
その場で確かめたいのは、子どもへの影響、すでに行った対応、未実施の報告や確認、今後の担当と支援です。子どもや保護者に必要な対応を優先し、職員の状態については別に相談の時間を設けるなど、目的を分けられます。管理者自身が関係する場合も、組織の内側だけで判断を閉じないようにします。
研修を受けた、謝罪したという事実だけで再発しないと決めず、勤務体制や実際の行動を確認します。交代を頼めたか、負担が偏る時間が変わったか、子どもが安心して過ごせているか。気持ちの変化だけでなく、現場で何が変わったかを見続けることが必要です。
自分だけの振り返りで変わらないときは、支援を借りる
同じ行動を繰り返す、怒りが生活に大きく影響する、自分や他人を傷つけることが心配。そうした場合は、一人で記事を読み続けて何とかしようとせず、医療機関や相談先へ伝えてください。相談では、反省している気持ちだけでなく、実際に起きた行動や繰り返す場面を隠さず話すことが大切です。
一方、周囲の人があなたの怒りを受け止め続ける役になる必要もありません。同僚や家族の協力を得ながらも、その人にいつでも気持ちを落ち着かせてもらう前提にはしない。交代の仕組み、専門的な支援、業務の調整など、支えを一人へ集中させない形を考えます。
今日の振り返りの最後には、自分を表す悪い言葉を増やす代わりに、「報告した」「次の交代相手を確認する」「相談を申し込む」と行動を一つ残します。行動の責任を持つことは、長く落ち込み続けることと同じではありません。
今すぐ気持ちが晴れなくても構いません。相手の安全を大切にしながら、次の場面を変えるために動く。その積み重ねを、一人ではなく、必要な支援を借りて進めてください。
落ち着いてからの振り返り
「反省した」で終わらせない、次の準備
- 相手への影響と安全を確かめる
必要な対応や報告を先に行います。子どもへの不適切な対応を、自分の気持ちの問題だけにしないことが出発点です。
- 重なっていた条件を見つける
例えば、送迎前の準備と複数の呼びかけが重なっていた。気づいた事実を、誰かを責める材料ではなく体制の相談に使います。
- 助けを頼む合図を決める
「今、余裕がないので交代をお願いしたい」と言える相手と、引き継ぐ手順を決めます。子どもの安全を確保する分担まで確認します。
これだけで怒りが収まるという方法ではありません。繰り返して苦しい場合は、専門の相談先と一緒に考える選択肢もあります。
今日、持ち帰る言葉
責め続ける時間を、安全と、次の具体的な行動へ。
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参考にした情報・引用元
文例・整理の手順は、保育・療育の場面を想定した広場の編集提案です。公的資料に記された手順や診断基準そのものではありません。
- NHS(英国の公的医療情報)「Anger(怒りについて・英語)」 ↗怒りの兆候への気づき、反応する前の間、対処が難しい場合の相談。英国の窓口情報は日本向けの案内に転用していません。
- こども家庭庁掲載資料「障害者虐待の防止と対応の手引き(施設・事業所従事者向け・令和6年7月、PDF)」 ↗児発・放デイで虐待が疑われる場合の通報と対応について。第Ⅲ章「通報義務」を参照。
- 厚生労働省「こころの耳」「ストレスへの対処」 ↗一人で抱えず、周囲や専門家と対処するという基本的な視点。
出典確認:2026年10月12日。出典の掲載元が、この記事を監修・推薦したことを意味するものではありません。
記事の位置づけ・読む時間について
編集:はまなす行政書士事務所。一般的な考え方を紹介する記事です。文中の場面・文例は説明のための架空例で、実在の体験談ではありません。個別の医療・法律相談や専門家監修の記事として作成したものではありません。職場の手順と状況に合わせてお使いください。
読む時間は、本文・実践例などの文字数を1分400字で計算した編集上の目安です。参照先を読んだり、考えながら読み進めたりする時間は含みません。速さや読み方によって変わります。
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