遺留分とは?遺言で財産を残す前に確認すること
遺言に「一人にすべて渡す」と書いても、ほかの相続人から遺留分侵害額を請求される場合があります。財産の配分を決める前に、対象者と請求の仕組みを確認します。
監修:はまなす行政書士事務所 · 参照資料確認:2026年10月4日
このページの結論
遺留分は、一定の相続人に保障される最低限の取り分です。現在の制度では、侵害された額に相当する金銭の支払いを請求できます。兄弟姉妹や、その代襲相続人である甥・姪には遺留分がありません。
1.相続人かどうかと遺留分を分ける
相続人の範囲と、遺留分を持つ人の範囲は同じではありません。遺留分を持つのは、相続人となる配偶者、子などの直系卑属、父母などの直系尊属です。
家族の関係、相続放棄などの事情を確認してから考えます。兄弟姉妹が相続人となる場合でも、子どもと同じ遺留分があると扱わないでください。
2.財産を渡す希望と支払負担を考える
現在の制度での遺留分侵害額請求は、侵害額に相当する金銭の請求です。遺言で家を取得する人に、現金での支払いの問題が生じる場合があります。
「家を残したい」という希望だけでなく、ほかの財産や支払資金も含めて検討します。遺言の文面が整っていても、残された人の資金負担まで解決するわけではありません。
3.請求できるかと金額は個別に計算する
相続財産、生前の贈与、債務、取得した財産などの事情が関係します。財産の合計額に一定の割合を掛ければ、どの場合も同じように請求額が出るとは限りません。
関係者、資料、贈与等の経緯を整理し、専門家へ確認します。配分を決める段階で検討する場合と、すでに請求の争いがある場合では相談の内容も異なります。
4.権利行使の期間を確認する
裁判所は、相続開始と侵害する贈与・遺贈を知った時から1年行使しないと時効で消滅し、相続開始から10年経過でも消滅すると案内しています。具体的な起算点は個別確認が必要です。
調停の申立てだけでは相手方への権利行使の意思表示にならないと案内されています。通知の内容、相手、方法、証拠の残し方は、早めに弁護士等へ相談してください。
5.過去の相続と現在の制度を混同しない
2019年7月1日より前に亡くなった人の相続は、現在の遺留分侵害額請求制度をそのまま当てはめないでください。死亡日を確認して相談します。
これから遺言を書く人は、家族関係、財産、残したい配分を整理します。請求を受けた人や請求を考える人は、遺言、贈与資料、通知、受領日を保存し、紛争の相談先へ伝えます。
自宅を配偶者に全部残したい場合
住まいを守る希望と、ほかの相続人の遺留分を分けて検討します。家だけを渡し、現金がほとんどないなら、請求が生じたときの負担が問題になり得ます。配分と支払資金を相談事項にしてください。
間違えやすい点
- 遺言があれば遺留分の請求はないと思う。
- 調停を申し立てれば通知も完了したと思う。
この記事のFAQ
兄弟姉妹にも遺留分がありますか?
兄弟姉妹や、その代襲相続人である甥・姪には遺留分がありません。ただし、相続人かどうかやほかの関係者の権利は別に確認します。
記事だけで請求額を計算できますか?
この記事では個別の請求額は計算しません。財産や贈与等の資料と家族関係を整理して専門家へ確認します。
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