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遺言を実行する · 相続・遺言 実務特集 14 / 20
遺言執行者になったら、最初に何をする?|就任・通知・財産目録・手続きの順序
遺言に自分の名前がある。銀行へ行く前に、遺言の内容、就任の判断、相続人への連絡、管理する財産の範囲を確かめます。
制度確認日:2026年10月17日 / はまなす行政書士事務所・私の相続 / 読了の目安:約6分
まず押さえたいこと
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために権限と責任を持つ人です。原則として就職承諾後は直ちに任務を始め、遺言内容の通知や財産目録の作成・交付などを行います。単なる家族の連絡係や、自由に分け方を決める役割ではありません(民法1007条・1011条・1012条)。[1]
最初の一歩:遺言書全体、作成日、被相続人の死亡日、指定された執行者、就任について返答した内容を確認します。
この記事の目次
1.名前が書いてあったら、まず引き受けられるか確認する
説明用の例です。長男は、母の遺言で執行者に指定されていました。自分も財産を受け取るため、当然に進めてよいと思いましたが、遠方の不動産や複数の銀行、妹への遺贈もありました。就任前に、必要な作業と自分が対応できる範囲を把握することが重要です。
指定を受けたからといって、どんな事情でも無条件で引き受けなければならないわけではありません。ただし、利害関係人から相当期間を定めた就職の催告を受けて返答しないと、承諾したものとみなされる規定があります。放置するのではなく、就任の可否を明確にします(民法1008条)。[1]
2.遺言の方式と、検認の要否を確かめる
自宅で保管されていた自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所の検認が必要です。封印のある遺言書を勝手に開封せず、手続きを確認します。公正証書遺言や法務局の保管制度で保管された自筆証書遺言は、検認が不要です。検認は遺言の有効・無効を確定する手続きではありません。[2][3]
複数の遺言がある場合、最新の一通だけを見れば足りるとは限りません。撤回や抵触の範囲を確認し、内容が争われる場合には弁護士へ相談します。遺言作成日・死亡日の違いで経過措置が関わることもあります。
3.通知と財産目録を、分配の前に整える
現在の民法では、任務を開始したときは遅滞なく遺言の内容を相続人に通知し、遅滞なく相続財産の目録を作成して相続人へ交付することが定められています。自分に都合のよい取得条項だけでなく、遺言全体と必要な情報を適切に扱います。[1]
| 段階 | 確認する作業・記録 |
|---|---|
| 就任の判断 | 遺言の内容、作業量、報酬・費用、返答 |
| 通知 | 相続人の確認、通知内容、送付・到達の記録 |
| 財産目録 | 財産・債務・未確認事項、調査資料 |
| 執行 | 条項と手続先、権限、必要書類 |
| 終了時 | 実施内容、入出金、残務・原本の所在 |
4.できることは、遺言の内容と法律で決まる
遺言執行者は、遺言の執行に必要な財産管理等の権限を持ちます。しかし、遺言にない理由で取得者や金額を変更したり、特定の相続人のために紛争交渉を自由に行ったりできるわけではありません。遺言執行者自身の専門資格の範囲にも注意します。
特定財産を相続させる遺言、遺贈、預貯金の解約・払戻しなどで、手続きに必要な権限や書類が異なります。登記申請の代理は司法書士、税務は税理士、対立する権利関係は弁護士など、業務ごとに連携・依頼を検討します(民法1014条等)。[1]
5.受け取ったお金と、自分のお金を混同しない
払戻金、専門家費用、振込手数料、分配額を明細で記録し、遺言や法律上の権限に沿って扱います。自分も受益者である場合ほど、自分への交付と他の人への交付を同じ基準で記録し、説明可能にしておくことが大切です。
終了した手続きと残っている作業を一覧にして報告し、原本の保管先を明確にします。就任後に続けられなくなった場合は、書類を家族に渡すだけで辞任が完了するとは限りません。家庭裁判所の許可等、必要な手続きを確認してください(民法1019条)。[1]
よくある質問
相続人は遺言執行者になれませんか。
相続人であること自体は欠格事由ではありません。未成年者・破産者に関する欠格規定や、実際に任務を行えるかを確認します。
通知をすると家族が反対しそうなので、省いてよいですか。
反対が予想されることだけを理由に法定の通知等を省くことはできません。対立が懸念される場合は、連絡方法と執行の進め方を弁護士へ相談します。
今日の確認メモ
- 就任の可否を明確にする
- 遺言の方式・全文・他の遺言を確認する
- 相続人通知と財産目録を整える
- 執行の権限と専門家への依頼範囲を分ける
根拠となる公式資料
[1] e-Gov法令検索「民法」
制度確認日:2026年10月17日。日本の一般的な相続・遺言手続きを説明しています。事例・金額は説明用です。作成日・死亡日等による経過措置や個別の事情で結論は変わります。税務は税理士・税務署、登記は司法書士等、紛争・権利行使は弁護士にご確認ください。
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