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遺言を実行する · 相続・遺言 実務特集 15 / 20
遺言執行者が亡くなった・引き受けられない|遺言を実行する人がいないときの手順
遺言はあるのに、指定された人が動けない。その場合でも遺言が直ちに無効になるわけではありません。空席なのか、就任後の辞任なのかを分けて確認します。
制度確認日:2026年10月17日 / はまなす行政書士事務所・私の相続 / 読了の目安:約6分
まず押さえたいこと
遺言執行者が指定されていない、またはいなくなった場合には、利害関係人の申立てにより家庭裁判所が選任できる制度があります。一方、遺言執行者の選任がすべての遺言で必須とは限りません。遺言の内容と必要な手続きから判断します。[1]
最初の一歩:遺言書の執行者に関する条項と、指定された人が対応できない理由を確認します。
この記事の目次
1.「いない」「返事がない」「辞めたい」は別
説明用の例です。父の公正証書遺言では、友人が遺言執行者に指定されていました。しかし、その友人は父より先に亡くなっていました。長女が「では私が代わりに」と名乗っても、家族の了解だけで当然に遺言上の執行者になれるわけではありません。
指定者が亡くなっている場合、就任を断った場合、既に就任してから続けられなくなった場合では確認すべき手続きが異なります。まず状況を確定し、予備的な指定や第三者への指定委託が遺言にあるかを読みます。[2]
2.家庭裁判所の選任手続きを確認する
裁判所の案内では、遺言執行者がない、またはなくなった場合に、相続人・受遺者・遺言者の債権者などの利害関係人が選任を申し立てられるとされています。申立先は、原則として遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。[1]
| 準備する資料の例 | 確認する内容 |
|---|---|
| 遺言書の写し等 | 執行すべき条項・指定の有無 |
| 遺言者の戸籍等 | 死亡の事実 |
| 申立人の関係資料 | 相続人・受遺者等の利害関係 |
| 候補者の住民票・戸籍附票等 | 候補者の住所等 |
| 対応できない事情の資料 | 死亡・辞退・就任状況など |
必要書類は事情により追加されることがあります。候補者を挙げても、その人が必ず選任されるとは限りません。遠方の財産、対立、専門性、報酬や費用の見通しも確認して候補者を考えます。
3.選任を待たずにできる準備と、勝手にしてはいけない執行
戸籍や財産資料を整理する、手続先へ必要書類を問い合わせる、期限を把握するといった準備は、各人の権限の範囲で進められます。しかし、執行者の権限を持たない人が、執行者として銀行書類へ署名することはできません。
また、遺言があるから相続人が一切の手続きに関与できない、という一律の理解も適切ではありません。取得者自身でできる登記等があるか、遺言執行者が必要な事項があるかを、遺言の条項と手続先に応じて確認します。
4.就任後に辞める場合は、引継ぎだけで済ませない
就任して任務を始めた遺言執行者は、正当な事由があるときに家庭裁判所の許可を得て辞任できます。義務を怠った場合等には解任の問題もあり、単なる就任前の辞退とは異なります(民法1019条)。[2]
辞任・交代では、受領金の残額、原本の所在、通知の履歴、途中の銀行・登記手続き、支払い予定を一覧にします。「後は家族で」と資料を置くだけでは、権限と管理の空白が生じるおそれがあります。裁判所手続きと実務上の引継ぎを並行して確認してください。
5.遺言を作る側は、連絡できる人を指定する
生前の準備では、候補者の意思、年齢・健康、距離、報酬等を確認しておくことが役立ちます。専門家へ依頼する場合も、実際に受任できる業務と費用を確認し、名前だけを記載して終わりにしません。
作成後に指定者の死亡・廃業・連絡先変更等があれば遺言を見直します。複数人や予備的な指定を検討するときは、誰がどの条件で動くのかが曖昧にならないように文面を整えます。
よくある質問
執行者が亡くなっていれば、その遺言は無効ですか。
その事情だけで遺言全体が直ちに無効になるわけではありません。選任等の方法と、各条項を実行するための手続きを確認します。
遺産を受け取る私が、候補者になれますか。
受益者・相続人というだけで一律に候補から除外されるわけではありません。ただし、欠格事由、利害関係、任務遂行の適性等を確認し、選任は裁判所が判断します。
今日の確認メモ
- 指定条項と予備的な指定を読む
- 死亡・辞退・就任後辞任を区別する
- 選任の必要性と申立先を確認する
- お金・原本・進行中の手続きを一覧化する
根拠となる公式資料
[1] 裁判所「遺言執行者の選任」
[2] e-Gov法令検索「民法」
制度確認日:2026年10月17日。日本の一般的な相続・遺言手続きを説明しています。事例・金額は説明用です。作成日・死亡日等による経過措置や個別の事情で結論は変わります。税務は税理士・税務署、登記は司法書士等、紛争・権利行使は弁護士にご確認ください。
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