はまなす行政書士事務所 / 私の相続 / 実務特集20本
借金と家族の判断 · 相続・遺言 実務特集 04 / 20
親の死から3か月後に借金の請求が届いたら|相続放棄を諦める前に整理すること
突然の請求書に、慌てて払うことも、放置することも避けたい場面です。死亡を知った日、財産の認識、これまでの行動を整理し、急いで相談につなぎます。
制度確認日:2026年10月17日 / はまなす行政書士事務所・私の相続 / 読了の目安:約6分
まず押さえたいこと
相続放棄の熟慮期間は、原則として自分のために相続が開始したことを知った時から3か月です。後から借金を知っただけで必ず期間が再スタートするわけではありません。一方、事情によって3か月経過後の申述が受理される場合もあるため、個別の検討が必要です。[1]
最初の一歩:請求書と封筒を保管し、死亡・相続人となったこと・財産や借金の存在を知った日を、分けて書き出します。
この記事の目次
1.請求書の「到着日」と、熟慮期間の起算点は同じとは限らない
説明用の例です。父と長く別居していた子に、死亡から半年後、カード会社を名乗る請求が届きました。子は「借金を知ったのは今日だから、今日から必ず3か月」と考えました。しかし、既に父の財産の一部を受け取っていたか、父に財産がないと信じた理由などで判断は変わります。
裁判所の案内では、相続財産が全くないと信じ、そう信じたことに相当な理由がある場合などに、後から財産の存在を認識した時を基準として申述が受理されることがあるとされています。これは事情の検討を要する例外であり、借金の発見日だけで決めるルールではありません。[1]
2.まず、三つの日付と行動を一枚にする
長い事情説明を整えるより、日付と資料を対応させます。相続人となったことを後で知った場合、先順位者の放棄を後で知った場合なども、単純に死亡日から数えるとは限りません。事実を分けることが相談の精度を上げます。
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| 死亡・相続人の認識 | いつ、誰から、何を聞いたか |
| 財産・借金の認識 | 通帳、通知、請求書をいつ見たか |
| 財産の取扱い | 払戻し、売却、家財処分、支払いの有無 |
| 調査の経過 | 銀行・信用情報・親族等への確認日 |
| 今回の請求 | 差出人、請求根拠、金額、回答期限 |
3.一部を払う・認める前に、請求の根拠を確かめる
請求には、被相続人の借入れだけでなく、保証債務、契約上の別の支払いなどが含まれることがあります。まず差出人と契約内容を、公式の窓口等で確認します。請求書に記載された番号だけを信用して、個人情報や送金を急がないでください。
相続放棄を検討する間は、相続財産の処分や支払いが法定単純承認等の判断に影響し得ます。何を、誰のお金で、どの目的で支払ったかを記録し、既に行った行為も隠さず伝えます。「少額なら何をしても安全」「葬儀に関係すれば全部問題ない」という一律の説明はできません。[2]
4.相談先と、裁判所へ出す手続きを分けて確認する
相続放棄は、家庭裁判所への申述が必要です。原則的な申述先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。争いのある債務や期間経過後の主張を含む相談は弁護士へ、裁判所提出書類の作成は司法書士の取扱範囲も含めて確認します。[3]行政書士は、相続放棄の申述代理や家庭裁判所提出書類の作成を受任する窓口ではありません。
まだ熟慮期間内で、財産調査をしても判断材料がそろわない場合には、期間伸長の申立てという別の手続きがあります。既に過ぎた期間を当然に復活させる制度ではないため、請求を受けてから先延ばしにしないことが重要です。[4]
5.「受理された」と「債権者との争いが終わった」は別
相続放棄の申述が受理されたとしても、その実体的な有効性が債権者との訴訟等で争われる場合があります。受理通知等を保管し、請求先への対応方法、受理証明書の必要性、今後届く書面の扱いを確認してください。
裁判所から訴状や支払督促等が届いた場合は、相続放棄を相談中であることだけを理由に放置しません。書面ごとの期限があります。届いた書面そのものと封筒を、速やかに専門家へ見せます。
よくある質問
3か月を過ぎていたら、相談しても無意味ですか。
無意味とは限りません。起算点や例外、これまでの財産処分等を検討する必要があります。可能性を保証するものではありませんが、自己判断で諦めず早急に相談してください。
何も相続していないと家族に伝えておけば、放棄になりますか。
なりません。家庭裁判所への申述と、家族の間で財産を受け取らない合意は異なります。
今日の確認メモ
- 請求書・封筒・裁判所書類を保存する
- 認識した日と調査経過を分ける
- 既にした払戻し・処分・支払いを記録する
- 期間経過と債務対応を扱える専門家へ急いで相談する
根拠となる公式資料
[2] e-Gov法令検索「民法」
[3] 裁判所「相続の放棄の申述」
制度確認日:2026年10月17日。日本の一般的な相続・遺言手続きを説明しています。事例・金額は説明用です。作成日・死亡日等による経過措置や個別の事情で結論は変わります。税務は税理士・税務署、登記は司法書士等、紛争・権利行使は弁護士にご確認ください。
続けて読む
- 自分が相続放棄したら、誰が次の相続人になる?|親・兄弟姉妹への影響と連絡の準備
- 「私は何ももらわない」と署名したら借金もなくなる?|相続放棄・相続分の放棄・遺産分割の違い
- 相続・遺言 実務特集20本の一覧
- 相続・遺言・終活の全記事
相続の書類・遺言の準備を相談する
「戸籍をどこまで集めればよいか」「遺言の希望を文章にしたい」。資料がそろう前でも、現在の状況と頼みたい作業をお伝えください。対応範囲と費用をご案内します。
初回の受付・対応範囲・見積りの確認は無料です。資料精査や個別相談・書面回答は、料金をご案内してから進めます。
相続・遺言・終活を、わかりやすく。