はまなす行政書士事務所の解説記事|公式資料確認:2026年10月6日

この記事の目次
このページの結論
内縁のパートナーは、法定相続人には含まれません。一緒に暮らしてきた事実だけに頼らず、遺言による遺贈、住まいの権利、当面の生活費、手続きを担う人を分けて準備します。
まずすること
家の名義と、パートナーがすぐ使える生活費を、先に確認してください。
二十年暮らした家なのに、名義は一人のままだった。
健一さんと美奈さんは、婚姻届を出さずに二十年暮らしています。二人とも『いずれ相手に全部残したい』と思っていますが、家も主な預金も健一さん名義。健一さんには、前の結婚で生まれた子がいます。
日々の生活では共有しているように感じる財産も、相続では名義や法律上の関係が問題になります。互いを大切に思っていることを、実際に暮らしを支えられる準備へつなげましょう。
1.一緒に暮らすことと、法定相続人になることは別です
国税庁の案内では、内縁関係の人は相続人に含まれないとされています。長く同居している、住民票に関係が記載されている、介護を担っているといった事情だけで、法律上の配偶者と同じ相続権が生じると考えないでください。[1]
最初に、相手に子がいるか、父母が存命か、兄弟姉妹がいるかなど、相続人の候補を整理します。『自分以外に近い家族はいない』という感覚と、戸籍で確認する関係は違うことがあります。前婚の子との関係も、暮らしている場所だけでは判断できません。
2.遺言で渡す財産を具体化し、実行する人を考える
法定相続人でない人へ遺言で財産を渡す方法が、遺贈です。パートナーの氏名などを特定し、渡す財産や残りの財産の扱いを明確にする準備が必要です。互いに残したい場合も、二人で一通の遺言を作るのではなく、それぞれの遺言を準備します。[2]
誰が金融機関や関係者へ連絡し、遺言を実行するかも考えます。遺言執行者の指定を含めて相談すると、気持ちと手続きがつながります。ただし、相続人の遺留分への対応などは別の検討事項です。『全部遺贈すると書けば必ず全部受け取れる』とは限りません。
3.住まいは、持家か賃貸かで確認することが変わります
持家なら、土地・建物の所有者、共有持分、住宅ローンの有無を確認します。『ここに住んでいい』と口頭で話していただけでは、死後の権利関係まで整ったとはいえません。家を渡すのか、売却して別の住まいを用意するのか、維持費も含めて話し合います。
賃貸なら、契約者、同居の届出、契約内容、管理会社への確認を別に進めます。内縁だから一律に継続できる、または必ず退去になる、と結論を急がないでください。名義の変更や契約継続は、契約と個別の法律関係に応じて確認する問題です。
4.財産を受け取るまでの生活費を、切れ目なく考える
遺言があっても、死亡直後に預金がすぐ自由に使えるとは限りません。払戻し等の手続きの間、家賃、光熱費、食費を誰の資金で支払うかを確認します。二人それぞれの口座と普段の支払いを見直し、当面必要な金額を見積もるところから始めましょう。
生命保険の受取人や契約の取扱いを確認することも候補ですが、保険会社の条件と税務は別に検討します。生前の資金移動や不動産の名義変更にも税金や費用が関係します。思いついた方法をすぐ実行する前に、税理士や登記の専門家へ確認する順番が大切です。
5.病気のときの連絡と、死後の手続きも別に準備する
遺言は、亡くなった後の財産の承継を準備するものです。生前に病院へ誰が連絡するか、療養の希望をどう共有するか、判断が難しくなったときに財産管理をどうするかまでは、一通で解決できません。緊急連絡先、医療・ケアについて話す相手、必要な契約を分けて考えます。
葬儀や住居の片付けなども、『財産を受け取る人だから全部できる』と考えず、何を誰へ頼むかを書き出します。パートナーが引き受けたいこと、負担が大きいこと、親族と協力したいことを、生前に話せる範囲で共有しておきましょう。
6.相手より先に亡くなる場合と、後に残る場合を交互に考える
場面の二人なら、健一さんの財産を美奈さんへ渡す準備に加え、美奈さんが先に亡くなった場合の受取人も確認します。遺言を一度作った後も、受取人の死亡、住まいの変更、預金の増減で内容が今の生活とずれることがあります。
話し合いは『全部あげる』という約束から、家・生活費・連絡先の三つへ進めてみてください。お互いが守りたい暮らしが見えてから遺言の文案に進むと、抽象的な約束を、具体的な備えへ変えやすくなります。
| 守りたいこと | 最初の確認 | 相談につなぐ資料 |
|---|---|---|
| 財産を残す | 相続人候補・財産の名義 | 家族関係のメモ、財産一覧 |
| 住まいを続ける | 持家・賃貸・ローン | 登記事項、賃貸借契約 |
| 当面の生活費 | 毎月の支払と使える資金 | 家計表、保険の契約内容 |
| 療養・死後の対応 | 連絡する人・頼む作業 | 緊急連絡先、希望と依頼のメモ |
よくある質問
遺言があれば、他の相続人との問題はなくなりますか。
遺留分や遺言の有効性などの問題が残ることがあります。対立や交渉を伴う相談は弁護士へつなぎ、財産の渡し方と負担できる資金を合わせて検討します。
法律婚の配偶者向けの税の扱いも使えますか。
内縁関係を法律婚の配偶者と同じものとして税の適用を判断しないでください。遺贈や保険金など、取得する財産の内容を示して税理士へ個別に確認します。
今日できる準備
- 財産と住まいの名義、相続人候補を確認した
- 当面の生活費と、遺言を実行する人を考えた
- 互いが先に亡くなる場合と、生前の連絡体制を話した
参照資料・編集方針
公式資料確認:2026年10月6日。制度・手続きは上記資料を参照し、架空の場面、会話例、確認表、準備の順番は当サイト独自の編集例として作成しました。個別の取扱いは、状況と利用先に応じて確認してください。
相談するときに伝えたいこと
家族関係と財産の整理、遺言の希望整理・文案作成の支援について相談できます。登記は司法書士、税務は税理士、権利関係の争い・交渉は弁護士へ相談します。
分かっている資料と、まだ確認できていないことを分けてお伝えください。作業の範囲と費用を確認してから、依頼を検討できます。

