児発・放デイの加算統合案――「職員を増やす」と「支援が届く」の間にあるもの

児童発達支援や放課後等デイサービスの加算が見直されると聞くと、まず「職員の配置をどう変えればよいのか」「今の体制を維持できるのか」が気になります。加算は請求書の数字ですが、その先には職員の勤務があり、子どもたちの一日があります。

2026年10月5日の障害福祉サービス等報酬改定検討チームで、児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を整理・統合する案が示されました。個々の職員の資格や配置だけでなく、支援ニーズの高い子どもの受入れ状況なども含め、事業所全体の支援体制を評価する方向です。要件や単位数は、まだ決まっていません。[1]

私は、体制を全体として見るという方向には意味があると考えています。ただ、何を「よい体制」とするかによって、現場に起きる変化は違ってきます。職員の数から少し離れて、一日の動きを思い浮かべると、その難しさが見えてきます。

一人増えた職員は、どこで必要になるのでしょうか

例えば、ある日の午後。集団活動が始まったところで、一人の子が落ち着かなくなり、職員が別室で付き添います。残った子どもたちへの支援は続きますし、その後には保護者への説明もあります。

ここで職員に余力があれば、一人への対応を丁寧にしながら、ほかの子の活動も続けられます。余力がなければ、誰かが二つの役割を抱えることになります。これは想定例ですが、同じ人数の配置でも、必要な支援が重なる時間によって、現場の余裕は変わることが分かります。

常勤換算で複数の職員の勤務を組み合わせられる仕組みは、こうした需要に合わせて配置を考えるうえで役立ちます。もちろん、職種、経験、配置形態などの算定要件は別にあります。その要件を満たすことと、毎日の支援需要に十分対応できることは、重なる部分があっても同じではありません。

広く使われている加算は、役割を終えたのでしょうか

会議資料では、加配加算の算定率が児童発達支援で約8割、放課後等デイサービスで約9割に達していることが示されています。支援強化を促す加算として機能しているのか、という予算執行調査の指摘とともに、新規採用や配置転換の実態、人材確保の難しさも紹介されています。[1]

ここは、丁寧に分けて考えたいところです。加算には、職員を増やすきっかけになる働きと、増やした職員を雇い続ける費用を支える働きがあります。

例えば、加算を見込んで職員を採用し、その配置が数年続いているとします。毎年さらに採用していなければ効果がない、と評価すると、既に確保した支援を維持していることが見えなくなります。広く普及した仕組みを見直す際にも、維持のための財源をどう扱うかは残ります。

一方で、算定する事業所が多いというだけで、十分な支援が届いているとも言えません。配置が増えたことで、どの対応が可能になったのか。専門職の助言が、ほかの職員の関わり方にも生きているのか。確かめたいのは、数字の後ろにある変化です。

「成果」を見ようとするときにも、注意が必要です

では、子どもの変化を評価すればよいのでしょうか。ここにも難しさがあります。支援の出発点は、一人ひとり違います。短期間で目に見える変化が現れる子もいれば、安心して通い続けることや、状態を安定させることに多くの支援が必要な子もいます。

もし短期間の改善だけで評価が決まるなら、変化を示しやすい子を受け入れるほうが有利になりかねません。支援の質を高めるための評価が、支援を必要とする子の受け皿を狭める。そのような結果は避けたいと思います。

新しい評価では、子どもの支援ニーズを踏まえ、その配置によって支援をどう継続できているかを見る方法が考えられます。職員が足りなくなる場面を勤務表と支援記録から確かめ、チームで対応を変える。専門職の助言を共有し、その後の支援を振り返る。既にある記録を生かせれば、評価のためだけに別の書類を増やさずに済む余地もあります。

事業所の外にいる子どもにも目を向けたい

事業所の中の体制をよくすることは大切です。ただ、通える先が見つからない子どもは、その事業所の評価には現れません。地域に専門職が少ない場合も、評価項目を増やすだけでは採用できるようになりません。

自治体や児童発達支援センター等とともに、地域で不足している支援を把握し、人材育成や専門的な助言を得られる体制を整える。報酬の見直しと並行して、こうした取り組みも必要だと考えます。

加算を統合することで、現場が配置を組みやすくなり、これまで難しかった受入れや支援を続けられるようになる。その変化につながるのであれば、統合には意味があります。制度の名称が変わった後、子どもたちの一日がどう変わるのか。そこまで見据えながら、今後の議論を追っていきたいと思います。

出典

[1]厚生労働省・こども家庭庁「障害児支援に係る報酬・基準について」(2026年10月5日、30〜32頁)。

制度・ニュースの確認時点:2026年10月7日|はまなす行政書士事務所 行政書士 角屋敦士