福祉と開業の読みもの20 / 認定とサービス利用
公的資料確認日:2026年10月23日 / 読了目安:約6分
要支援・要介護の認定は、病名の重さだけで決まるものではありません。心身の状態から、介護にどの程度の手間が必要かを判定する仕組みです。同じ病気でも日常生活の状況が違えば、認定結果が異なることがあります。また、認定に使う時間の指標は、そのまま利用できるサービス時間を表すものではありません。[1]
この記事の目次
歩ける人にも、見えにくい介護がある
説明のため、二人の暮らしを考えてみましょう。一人は足腰に不自由があり、移動のたびに体を支える必要があります。もう一人は歩けますが、予定や場所が分からなくなり、外出時や服薬時に継続的な確認が必要です。
見た目だけなら、前者のほうが介護が必要に見えるかもしれません。しかし、介護には身体を支える行為だけでなく、認知機能や行動に応じた対応などもあります。「歩けるから介護は要らない」「診断名が重いから必ず要介護5」という説明はできません。[1]
認定の場面で伝えたいのは、印象や病名だけでなく、普段どのような支援が行われているかです。本人ができることも、支援があって成り立っていることも、両方を具体的に伝えます。
要支援1・2と要介護1〜5をどう読むか
| 認定の区分 | 読み方の基本 | 誤解しないための注意 |
|---|---|---|
| 要支援1・2 | 生活機能の維持・改善等を支える予防給付や総合事業につながる区分 | 「支援がほとんど不要」という意味ではない |
| 要介護1〜5 | 介護の必要度を段階的に示す区分 | 病名や障害者手帳の等級から自動換算しない |
| 非該当 | 要支援・要介護の認定に該当しないという結果 | あらゆる地域支援が利用できないという意味ではない |
要支援2と要介護1は、一次判定の基準時間が同じ帯に入る場合があり、介護の手間の増加につながる状態の変化や、認知機能等も踏まえて判定されます。「数字が1だから要介護1のほうが要支援2より軽い」と、数字だけで並べることはできません。[1][2]
非該当であっても、地域の相談、介護予防の取組、総合事業の対象となるかなど、別に確認できることがあります。利用条件は市町村に相談してください。[3]
申請から認定までは、複数の情報を組み合わせる
一般的には、市町村へ申請し、認定調査や主治医意見書をもとに一次判定が行われ、介護認定審査会での二次判定を経て市町村が認定します。調査の選択肢だけでは表しにくい事情を記す特記事項なども、判断の材料になります。[1]
主治医には、診察室だけでは見えにくい生活上の困りごとも伝えておくと役立ちます。たとえば、夜間の対応がどれくらいあるか、薬を自分で管理できるか、家で転びそうになる場面があるかなどです。医師の医学的な判断を誘導するのではなく、普段の事実を共有することが目的です。
申請前後に急な入院や退院がある場合、状態が変化している場合、主治医が決まっていない場合などは、窓口へ早めに相談します。申請すれば希望する日から予定どおりサービスを使える、と自己判断せず、開始までの支援を関係者と調整しましょう。
認定調査では「一番悪い日だけ」でも「できる日だけ」でも足りない
本人が調査当日に頑張り、普段よりできることが増える場合もあります。反対に、その日だけ体調が悪いこともあります。どちらか一日を全体像として示すより、日頃の状態、頻度、支援の内容を具体的に伝えるほうが正確です。
| 曖昧な説明 | 具体化するための記録例 |
|---|---|
| よく転びそうになる | いつ、どこで、何をするときに、誰が支えたか |
| 薬が飲めない | 飲み忘れか、重複か、取り出せないのか。確認の頻度はどうか |
| 一人では不安 | どの場面で何が起き、どんな支援が必要になるか |
| 家族が大変 | 昼夜の対応内容と回数、仕事や睡眠への影響はどうか |
上の表は説明を整理する例であり、認定を重くするための答え方ではありません。事実を誇張したり、できることを意図的に隠したりせず、支援が必要な状況を伝えます。家族が本人の前では話しにくい内容は、調査担当者に伝え方を相談できます。
「基準時間」と「ヘルパーを使える時間」は別
認定に用いられる要介護認定等基準時間は、介護の手間を推計するための尺度です。家庭で実際に介護している時間そのものでも、その人に支給される訪問介護の時間でもありません。[1]
サービスの利用は、認定結果を踏まえた計画、サービスごとの条件、支給限度額等の枠組みの中で調整します。「認定の説明に何分と書いてあるから、毎日その分だけヘルパーを頼める」と結び付けないことが大切です。[4]
65歳以上の人と、40〜64歳の医療保険加入者では、介護保険サービスを利用する原因に関する条件も異なります。40〜64歳では特定疾病により要支援・要介護状態となることなどが条件です。障害があることだけで、年齢に関係なく介護保険を使えるわけではありません。[4]
## 家族の記録は、負担の一覧と本人の希望を分ける
「夜に三回起きて対応した」という家族の記録と、「夜も自宅で安心して過ごしたい」という本人の希望は、どちらも大切ですが役割が違います。出来事、行った介助、本人の希望を分けておくと、認定の説明と支援計画の相談に使いやすくなります。
家族が代わりに行っていることについても、単に「できない」とまとめず、本人が行う部分と手伝う部分を記録します。正確に伝えるために特別な文章を書く必要はなく、日時と場面が分かる短いメモから始められます。
結果が出た後も、生活の変化を伝える
認定結果に疑問があれば、まず市町村に判定や手続きについて説明を求めます。状態が変わった場合の区分変更申請と、処分への不服申立ては別の手続きなので、目的と期限を確認してください。記事だけでどちらを選ぶか決めず、通知書を手元に窓口へ相談しましょう。
認定は支援を考える入口です。結果の数字だけで暮らしを組み立てず、「この生活を続けるために何が必要か」を担当者と話し合い、実際の支援につなげていきます。
参考にした公的資料
本文中の番号から該当資料へ移動できます。全国共通の制度と自治体の取扱いを区別して掲載しています。申請時には所在地・サービスに対応する最新資料も確認してください。
[1] 厚生労働省:要介護認定はどのように行われるか
[2] 厚生労働省:介護認定審査会委員テキスト
[3] 大阪市:介護予防・日常生活支援総合事業
[4] 厚生労働省:介護サービス情報公表システム 介護保険とは
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