訪問介護・居宅介護・居宅介護支援は何が違う? 名前の似た三つの仕事

福祉と開業の読みもの20 / 制度と指定の違い

公的資料確認日:2026年10月23日 / 読了目安:約6分

訪問介護と居宅介護は、主に自宅で日々の暮らしを支えるサービスです。居宅介護支援は、介護保険のケアプランを作り、サービスの調整をする仕事です。「居宅介護」に「支援」の二文字を足すだけで、制度も役割も変わります。開業を考えるときは、この名前の整理が最初の一歩になります。[1][2]

「家に来てくれる人」を一つの仕事にまとめない

説明のため、退院後に自宅で暮らす人を考えてみましょう。入浴時に体を支える人、食事の準備を手伝う人、どのサービスを週何回使うか一緒に考える人が、自宅を訪ねてきます。訪問先は同じでも、担っている役割は違います。

介護保険の訪問介護を行う訪問介護員は、計画に沿って身体介護や生活援助を提供します。居宅介護支援の介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーは、本人の状態や希望を把握し、ケアプランの作成、連絡調整、利用状況の確認などを担います。ケアマネジャーが訪問して面談した時間を、そのままヘルパーの身体介護として扱うことはできません。[2]

名前制度と主な仕事見分ける手がかり
訪問介護介護保険。自宅で身体介護・生活援助などを行う日々の介護を実際に提供する
居宅介護障害福祉。自宅で入浴・排せつ・食事等の介護や家事援助などを行う障害福祉サービスの支給決定を確認する
居宅介護支援介護保険。ケアプラン作成やサービスの調整を行う利用するサービス全体を組み立てる

この表は役割の整理です。利用対象や従事者の資格、実施できる支援の範囲を三者で共通にするものではありません。[1][2]

「掃除を手伝う」も、依頼内容を分けて考える

暮らしの相談では、「掃除ができなくなった」という言葉の中に複数の事情が隠れています。立つことが難しいのか、作業の順番が分からなくなるのか、疲れやすいのか。本人と一緒に行う支援が必要なのか、代わりに行う必要があるのかによって、確認する内容が変わります。

さらに、本人の日常生活のための援助と、家族全員のための家事や大掃除などを区別する必要があります。介護保険も障害福祉も、家事の依頼を何でも引き受ける制度ではありません。相談を受けたら、まず「誰の生活の、どの困りごとに対応する仕事か」を具体化し、計画と制度上の取扱いに照らします。[1][2]

これは断る理由を探す作業ではありません。依頼を分解できれば、給付の対象となる支援、家族や地域で補うこと、別契約のサービスを検討することを整理できます。別契約を行う場合も、保険等のサービスとの区分や説明、料金、記録を曖昧にしないことが大切です。

要支援の訪問サービスも、名前を確かめる

介護保険の「訪問介護」は、要介護者へのサービスです。要支援者等の訪問型サービスは、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業の枠組みで提供されます。大阪市では介護予防型訪問サービス、生活援助型訪問サービスなどの区分があります。[3]

したがって、「訪問介護の指定を取れば、要支援者を含むすべての訪問サービスが同じ手続きでできる」と考えてはいけません。事業計画に要支援者への支援を含めるなら、その市町村の総合事業の指定・従事者要件・サービス内容も別に確認します。

障害福祉の側でも、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護は名前と制度上の要件が異なります。「訪問系を一つ取る」とまとめず、どの支援を行いたいのかを言葉にしてからサービス名へ結び付けましょう。[1]

同じ会社で行えても、指定と勤務時間は別に確認する

同じ法人が介護保険と障害福祉の事業を営むことはあります。ただし、一つの指定が他方の指定を自動的に含むわけではありません。指定の組合せ、人員の兼務、設備の共用には、それぞれの基準や特例の確認が必要です。[4][5]

特に混同しやすいのが、訪問系のサービス提供責任者と、ケアマネジャーです。名前に「責任者」「専門員」が付くからといって、お互いの配置要件を満たすとは限りません。資格証だけでなく、研修、実務経験、配置する職種、常勤・専従や兼務の扱いまで見ます。

説明用の例として、午前中に介護保険の訪問、午後に障害福祉の訪問を行う職員を想定すると、勤務表には移動や記録の時間も必要です。同じ一時間を二つの事業で当然に二時間分として扱う設計はできません。兼務できるという結論と、必要な人員数を満たしているという結論は分けて確認します。

## 受付の一問で、相談の行き先が変わる

電話で「家の介護をお願いしたい」と相談を受けたら、最初から制度名を決めつけず、年齢、現在利用している制度、困っている場面を確認します。手元の書類が分からなければ、表紙の名称を読んでもらう方法もあります。受給者証と介護保険証を取り違えたまま話を進めることを防げます。

そのうえで、「実際に訪問して介助する事業所を探している」のか、「利用全体を相談する担当者を探している」のかを聞き分けます。本人に同じ説明を何度も求めず、次の窓口へ何を伝えればよいかまで案内できると、名前の整理が実際の相談に役立ちます。

開業相談に持っていく一枚のメモ

書いておくこと具体化するための質問
支えたい相手年齢、暮らしの場所、主な困りごとは何か
提供する仕事身体介護、家事援助、計画作成のどれか
制度上の名称訪問介護、居宅介護、居宅介護支援などのどれか
人材誰を、どの職種に、週何時間配置するか
事務所相談、記録保管、職員の業務に必要な区画を確保できるか

事務所の賃貸広告を見る前に、この五点を書いてみてください。「ヘルパー事業をしたい」という相談が、「大阪市で居宅介護を行い、この職員体制で始めたい」という相談に変わります。確認すべき基準が絞られ、物件選びも採用計画も具体的になります。

名称を正しく使うことは、単なる用語の勉強ではありません。利用者に何を約束できるか、どの人材が必要か、何の指定を申請するかを、同じ言葉でつなぐための準備です。

参考にした公的資料

本文中の番号から該当資料へ移動できます。全国共通の制度と自治体の取扱いを区別して掲載しています。申請時には所在地・サービスに対応する最新資料も確認してください。

[1] 厚生労働省:障害福祉サービスについて

[2] 厚生労働省:介護サービス情報公表システム サービス編

[3] 大阪市:介護保険で利用できる居宅サービス

[4] 大阪市:障がい福祉サービス事業者 指定申請の手引き 令和8年1月

[5] 大阪市:指定居宅サービス及び指定居宅介護支援

開設・指定申請の相談を考えている方へ

開設や指定申請を考えている方は、予定地、サービス名、定員・人員案、候補物件の資料など、分かっている範囲をお知らせください。未定の点も含めて、準備の順序を整理します。

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