共生型サービスなら両方できる? 指定の特例と準備すべきこと

福祉と開業の読みもの20 / 制度と指定の違い

公的資料確認日:2026年10月22日 / 読了目安:約6分

共生型サービスは、介護保険と障害福祉の一定のサービスについて、事業所がもう一方の制度の指定を受けやすくする特例です。高齢者と障害のある人を一緒に支える構想を後押ししますが、一つの指定で両制度のすべてのサービスを提供できる仕組みではありません。[1]

「慣れた場所を続けたい」に、事業所側から応える仕組み

説明のため、障害福祉の通所先で長く過ごしてきた人が65歳を迎える場面を考えます。本人にとっては、建物だけでなく、顔なじみの職員、意思の伝え方を分かってくれる人、毎日の活動が生活の一部です。

介護保険との調整が必要になったとき、制度の違いだけを理由に環境が大きく変わることは、本人の負担になり得ます。共生型サービスには、こうした支援の継続を図りやすくする意味があります。一方で、利用者側の介護保険との適用関係や支給決定は、別途確認しなければなりません。[1][2]

「同じ場所で続けられる可能性を広げる指定の仕組み」と、「その人がどの制度で何を利用するかの決定」。この二つを分けて考えると、制度の位置付けが理解しやすくなります。

何でも組み合わせられるわけではない

確認する段階確かめる内容
現在の事業どの法律の、どのサービスの指定を受けているか
追加したい事業共生型の対象となるサービスの組合せか
指定の基準どの基準に特例があり、何を追加で整える必要があるか
利用者側の条件認定・支給決定・計画・契約が整っているか
運営と請求利用時間、職員配置、記録、報酬の区分を管理できるか

厚生労働省は、訪問系、通所系、短期入所系の一定のサービスについて共生型の枠組みを示しています。たとえば訪問介護と居宅介護等、通所介護と生活介護等の関係が取り上げられますが、指定を受ける方向やサービスの組合せによって確認事項が異なります。[1]

「相談支援も就労支援も、共生型なら全部まとめられる」といった拡大解釈はできません。検討段階では、現在の指定通知書を手元に置き、追加したいサービスを正式名称で書いて指定権者へ相談します。

特例があることと、準備が少なくて済むことは同じではない

指定基準の特例は、既存の設備や人材を活用しやすくするものです。しかし、利用者の支援ニーズが変われば、現場の準備も必要になります。制度上の配置を満たしていても、それだけでどのような利用者にも対応できるわけではありません。

説明用に、高齢者中心の通所事業所で、意思疎通に個別の工夫が必要な人を受け入れる場面を考えます。職員が本人の伝え方を学び、音や光への配慮、落ち着ける場所、活動の選択肢を検討する必要があります。反対に、障害福祉の事業所で高齢期の体調変化や移動の困難に対応する場合も、支援方法や関係機関との連携を見直します。

研修や引継ぎを一度行って終わりにせず、本人の反応を見ながら調整する時間を、勤務計画と運営費に含めることが大切です。共に過ごすことを目的化して、本人が望まない活動への参加を求めることがないようにします。

部屋と職員を共用するなら、時間の重なりを見る

同じ部屋を使う計画では、介護保険側と障害福祉側の利用者が同時に何人いるかを確認します。机や椅子を置いた後の動線、休息場所、トイレ、送迎の出入りまで、実際の一日として描いてみてください。

人員についても、複数の制度の仕事を担当できることと、同じ時間を無条件に二重計上できることは別です。共生型の基準・特例に沿って、配置をどう評価するのかを確認します。設備の共用も、既存の面積や区画で足りると自己判断せず、変更後の定員や利用状況を示して相談します。[1]

変更によって建物の使い方や人数が変わる場合には、指定担当だけでなく、必要に応じて建築・消防にも相談します。過去に確認した計画と条件が違えば、その回答をそのまま使わないことが重要です。[3]

収支では「利用者が増える」以外の項目も計算する

共生型の指定を追加しても、通常のサービスと同じ報酬を無条件に請求できるわけではありません。適用される報酬や加算の要件を、制度別に確認します。利用者側の認定・支給決定、サービス提供の記録、請求の区分も整理が必要です。[1]

収支に入れる項目見落としやすい点
職員の準備研修、同行、情報共有にかかる時間
環境調整家具、静かな場所、移動や休息への配慮
事務制度ごとの契約、記録、請求管理
受入れ開始少人数で調整する期間の収入

満員で順調に運営できる場合だけでなく、段階的に受け入れる場合も試算すると、無理な開始を避けやすくなります。指定が取れること、本人に合う支援を提供できること、継続できる収支であることを、それぞれ確認します。

## 一緒に過ごすことを、一つの活動への参加と混同しない

共に過ごせる場所でも、全員が同じ食事時間、同じ活動、同じ音量を心地よいと感じるとは限りません。共通の活動と、一人で休む時間や別の選択肢をどう組み合わせるかを考えます。本人の意思を聞く方法も、それぞれに合わせる必要があります。

準備段階では「全員で行う予定」を一度見直し、参加しない選択をした人がどこでどう過ごせるかを書いてみてください。制度上の共用を確認する作業と、本人にとって居心地のよい環境を作る作業を、一緒に進めるための工夫です。

相談に持参するのは「追加後の一日」

現在の指定内容、追加したいサービス、利用者像、定員、職員の勤務表、平面図をそろえます。そのうえで、到着から帰宅まで誰がどこで何をするかを書いた一日の流れを付けると、特例の確認と実際の運営の検討をつなげやすくなります。

共生型サービスの価値は、制度名を増やすことではありません。本人が望む生活を続けるために、慣れた人や場所を活かせるか。その問いに答えられる計画を作ってから、指定の手続きを進めましょう。

参考にした公的資料

本文中の番号から該当資料へ移動できます。全国共通の制度と自治体の取扱いを区別して掲載しています。申請時には所在地・サービスに対応する最新資料も確認してください。

[1] 厚生労働省:共生型サービス

[2] 厚生労働省:高齢の障害者に対する支援について ②

[3] 大阪市消防局:テナントの入居・建物の増改築をお考えの方へ

開設・指定申請の相談を考えている方へ

開設や指定申請を考えている方は、予定地、サービス名、定員・人員案、候補物件の資料など、分かっている範囲をお知らせください。未定の点も含めて、準備の順序を整理します。

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