65歳を迎える利用者をどう支える? 事業所が準備する制度の引継ぎ

福祉と開業の読みもの20 / 認定とサービス利用

公的資料確認日:2026年10月23日 / 読了目安:約6分

障害福祉サービスの利用者が65歳を迎えるとき、事業所が準備するのは単なる請求先の変更ではありません。介護保険との適用関係を確認し、必要な支援が途切れないように、本人、市町村、相談支援専門員、ケアマネジャー等と引継ぎを行います。介護保険優先の原則はありますが、一律にすべてを切り替えるという意味ではありません。[1][2]

優先原則と、一人ずつの確認を両立する

相当する介護保険サービスによって給付を受けられる場合には、介護保険が優先されるのが原則です。ただし、サービス名が似ているだけで、本人に必要な支援をすべて賄えると決めつけることはできません。具体的な支援内容、利用可能性、量などを踏まえて判断されます。[2]

介護保険に相当するサービスがない場合や、必要な支援を介護保険だけでは確保できないと市町村が認める場合などには、障害福祉の給付が関わる余地があります。これは利用者や事業所が自由に制度を選べるという意味でも、必ず希望どおり併用できるという意味でもありません。[1][3]

説明するときは、「65歳で全部終わります」とも、「今までと何も変わりません」とも約束せず、何を確認すれば継続の形が分かるかを伝えることが大切です。

最初に作るのは、現在の支援の一覧

説明用に、朝の身支度、日中の通所、夕方の家事援助を利用している人を考えます。「居宅介護を月何時間」という一覧だけでは、生活のどこを支えているかが十分に伝わりません。時間帯と支援の内容、支援がない場合に困ることを一緒に整理します。

現在の支援引継ぎで伝えること
朝の身支度起床・移動・着替え等のうち、どこにどんな支援が必要か
日中の活動本人の希望、意思の伝え方、休息や医療面の配慮
家事援助本人が行う部分と、支援者が担う部分
見守り・連絡どの状況で何を確認し、変化を誰へ伝えるか

本人が慣れた手順や、うまくいく関わり方も大切な情報です。困難だけを引き継ぐのではなく、「この方法なら本人ができる」という工夫を残すと、新しい支援者が生活の継続を支えやすくなります。

誕生日の直前に、すべてを決めようとしない

要介護認定の申請、調査、結果の通知、利用する事業所の調整には時間がかかります。国の事務処理要領は、状態の大きな変化が見込まれないことなどを前提に、65歳到達日の3か月前以内に要介護認定等の申請を受理し、到達日に認定する運用を示しています。ここでいう65歳到達日は誕生日の前日です。実際の受付開始日や必要書類は、市町村へ前もって確認してください。介護保険の適用除外施設に入所している場合などは前提が変わるため、年齢だけで切替え日を決めません。[3]

事業所の内部では、対象者を把握する時点、本人への説明、自治体への確認、関係者の打合せ、開始前の最終確認という節目を設定すると、準備漏れを減らせます。これは全国共通の法定日程ではなく、支援を途切れさせないための実務上の管理です。

本人への説明は、制度の専門用語を一度に並べるより、「通う場所はどうなるか」「来てくれる人は変わるか」「支払う金額はどうなるか」という生活に近い問いから始めると伝わりやすくなります。まだ決まっていない点は、未確定のまま示します。

相談支援専門員とケアマネジャーの間を、書類だけでつながない

引継ぎでは、本人の了解を得て、生活の状態やサービスの利用状況など必要な情報を共有します。障害福祉と介護保険を引き続き併用する場合には、関係する担当者が継続して連携する必要があります。[3]

計画を送付して終わりにせず、支援の中で変えてほしくない点、まだ調整中の点、急変時の連絡先を確認します。本人が複数の担当者に同じ説明を繰り返さなくて済むよう、役割を整理することも大切です。

ただし、関係者だからという理由で情報を無制限に共有しないようにします。本人に誰へ何を伝えるかを説明し、支援に必要な範囲を確認します。家族の情報を含む記録では、特に共有する内容を整理しましょう。

受給者証、認定、契約、請求の四つを照合する

確認対象開始前に合わせる点
認定・支給決定有効期間、サービス、量、適用関係
計画支援の内容、曜日・時間、担当事業所
契約・説明利用条件、費用、変更点、本人の理解
記録・請求どの制度の、どの決定に基づく提供か

同じ支援について二つの制度へ重ねて請求できるわけではありません。制度の切替え日や併用の範囲を、決定内容と計画に照らして確認します。支給決定や認定の期間がずれている場合も、その空白を現場の判断だけで埋めないようにします。

費用については、障害福祉での負担と介護保険での負担を単純比較するだけでは足りません。所得等による取扱い、負担軽減の対象となるか、食費等の別費用を個別に確認します。軽減制度は条件があるため、「65歳になっても必ず同じ負担」と約束しないことが重要です。[1]

## 引継ぎに「決まっていないこと」の担当者を置く

制度の適用、受入れ先、自己負担など、打合せの時点ですべてが決まるとは限りません。未確定事項には、確認先、確認する人、返答を共有する日を付けます。「自治体に聞いておく」で終わらせないことが、期限の直前に問題が集中するのを防ぎます。

本人への次の説明日も決めておくと、返答待ちの間に不安が膨らみにくくなります。確定した点と調整中の点を短い一覧にして、関係者が違う説明をしないようにします。

共生型の指定があっても、本人の手続きは別

慣れた事業所が共生型の指定を受けていれば、同じ場所で支援を続ける選択肢につながる場合があります。ただし、事業所の指定があることと、本人がそこで介護保険サービスを利用できることは別です。認定、計画、契約、提供体制を確認します。[4]

開始後も、生活時間や支援者の変化による負担がないかを見直します。「請求が通った」だけで引継ぎ完了とせず、本人が安心して暮らしを続けられているかを確かめる。その確認まで含めて、65歳の制度調整を考えることが大切です。

参考にした公的資料

本文中の番号から該当資料へ移動できます。全国共通の制度と自治体の取扱いを区別して掲載しています。申請時には所在地・サービスに対応する最新資料も確認してください。

[1] 厚生労働省:高齢の障害者に対する支援について ②

[2] 厚生労働省:介護保険と障害福祉の適用関係

[3] 厚生労働省:介護給付費等に係る支給決定事務等について 令和8年7月版

[4] 厚生労働省:共生型サービス

開設・指定申請の相談を考えている方へ

認定・支給決定の個別確認は、お住まいの自治体や担当の相談支援専門員・ケアマネジャー等へ。事業所の開設や指定申請については、予定地とサービス名、確認したい点をお知らせください。

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