二つのグループホームは同じ? 認知症の共同生活と障害福祉の共同生活援助

福祉と開業の読みもの20 / 制度と指定の違い

公的資料確認日:2026年10月23日 / 読了目安:約6分

「グループホーム」には、介護保険の認知症対応型共同生活介護と、障害福祉の共同生活援助があります。どちらも地域で共同生活を支える住まいですが、同じ指定ではありません。利用対象、職員の役割、建物に求められる条件を、正式なサービス名から確認する必要があります。[1][2]

物件広告の「グループホーム可」だけでは決められない

説明用に、戸建て住宅の広告に「グループホーム相談可」と書かれている場面を考えます。貸主は共同生活に理解があるのかもしれません。しかし、それだけではどの制度の事業を想定しているのか、何人が暮らすのか、夜間にどのような支援が必要なのかは分かりません。

貸主の承諾、指定基準への適合、建築基準法上の取扱い、消防の条件は、それぞれ別の確認です。名称が同じだから以前の事業と同じ条件で使える、と考えず、正式なサービス名と運営計画を伝えましょう。[3][4]

比較すること認知症のグループホーム障害福祉のグループホーム
正式名称認知症対応型共同生活介護等共同生活援助
主な制度介護保険障害者総合支援法
主な対象認知症があり、要支援2または要介護の要件等を満たす人共同生活の場で支援を必要とし、支給決定等の要件を満たす障害のある人
最初の確認認定、認知症、地域密着型サービスの利用条件支給決定、必要な支援、事業所の類型・体制

障害福祉の共同生活援助では、身体障害のある人について年齢・利用歴の条件があります。対象は、65歳未満の人、または65歳に達する日の前日までに障害福祉サービスかこれに準ずるものを利用したことがある人です。「障害のある人なら年齢や利用歴を問わず対象」とは案内できません。本人の障害の種類やこれまでの利用状況を市町村に示して確認します。[2]

介護予防の認知症グループホームは要支援1では利用できません。また地域密着型サービスなので、原則としてその市町村の被保険者が利用する枠組みです。例外の可否は自治体に確認します。[1][5]

障害福祉の共同生活援助にも類型がある

共同生活援助には、介護サービス包括型、外部サービス利用型、日中サービス支援型があります。名称から「自立している人用」「重い人用」と単純に振り分けず、介護を誰が提供するか、日中を含む支援体制をどう組むかという違いを理解することが大切です。[6]

介護サービス包括型では事業所の職員が介護を含む支援を担い、外部サービス利用型では基本サービスと委託先による受託居宅介護サービスを組み合わせます。日中サービス支援型は、日中も含めた支援体制を備える類型です。いずれも、実際の必要人員、夜間の体制、設備、利用対象の確認が欠かせません。[6]

「外部の人が介護するならホームの責任は軽い」という理解も適切ではありません。連絡がつかなかったとき、予定の支援が受けられないとき、体調が変わったときに、誰が何をするかを運営として組み立てる必要があります。

暮らしの場だからこそ、昼間の見学だけで判断しない

昼の居間が明るく、個室がきれいであることは大切です。それに加えて、朝と夜の暮らしを想像してみてください。出勤・通所の準備が重なる時間帯、入浴の順番、夜間にトイレへ行く動線、眠れないときに落ち着ける場所などです。

説明のため、朝7時に三人が洗面所を使い、一人は介助が必要な場面を考えます。洗面台の数だけでなく、待つ場所、職員が立つ位置、通路が塞がらないかが問題になります。図面では余裕がある住宅でも、共同生活になると同じ時間に同じ場所を使うことが増えます。

支援のしやすさと、入居者の私生活を守ることも両立させたい点です。職員が見通しやすい配置だけを優先すると、居室やトイレでの落ち着きが損なわれる場合があります。「支援しやすい」と「暮らしやすい」の両方を、本人の立場から確かめます。

夜間体制は「誰かがいる」で終わらせない

職員の配置や夜間支援の基準は、制度・類型・住居構成等に応じて確認します。さらに実務では、急な発熱、転倒、災害、職員の欠勤が起きた際の連絡と対応を具体化します。定員が同じでも、必要な介助や住居の分かれ方によって運営上の負担は変わります。[7][6]

消防設備についても、「一戸建てだから住宅用の警報器で足りる」「グループホームは必ず同じ設備になる」と一律には判断できません。建物の用途、構造、規模、入居者の状況等を示し、消防に相談します。設置工事ができるかだけでなく、貸主の承諾、費用負担、維持管理まで確認する必要があります。[4]

## 見学では、住まいの外も歩いてみる

グループホームは地域で暮らす場所です。玄関から通勤・通所先へ向かう道、買物に行く店、交通機関までを、本人の移動方法で考えてみてください。地図で近く見えても、坂道や大きな交差点が負担になることがあります。

家の中の設備が整っていることと、本人が希望する地域生活を続けやすいことは、両方必要です。開業時も、家賃や部屋数の比較に、日中活動や地域とのつながりを加えます。本人がどのような生活を選べるかまで含めて、立地を評価しましょう。

入居前と開業前では、質問の焦点を変える

利用を考える人・家族の質問開業を考える人の質問
自分の希望や生活時間をどう伝えられるか想定する生活を支える勤務体制が組めるか
夜間や休日に困ったら誰に頼れるか欠勤・緊急時にも支援を続けられるか
月々の費用に何が含まれるか給付費と家賃・食費等を区別して説明できるか
通勤・通所や地域とのつながりを続けられるか立地、交通、連携先が生活の継続に合うか

費用の説明では、サービスの利用者負担と、家賃・食材料費など暮らしに伴う支払いを分けます。「月額いくら」という合計だけでは、何が変動し、何が別払いなのか分かりません。見積書や説明書を使い、本人が判断できる形にすることが大切です。

グループホームを選ぶときの出発点は、空いている部屋の数ではありません。どの制度で、誰のどのような暮らしを支えるのか。その答えを具体化すると、必要な職員、建物、地域との関わりが見えてきます。

参考にした公的資料

本文中の番号から該当資料へ移動できます。全国共通の制度と自治体の取扱いを区別して掲載しています。申請時には所在地・サービスに対応する最新資料も確認してください。

[1] 厚生労働省:認知症対応型共同生活介護

[2] 厚生労働省:障害福祉サービスについて

[3] 大阪府:障がい福祉事業を開始するにあたっての注意事項

[4] 大阪市消防局:テナントの入居・建物の増改築をお考えの方へ

[5] 大阪市:介護保険で利用できる居宅サービス

[6] 大阪府:障がい者グループホーム開設ハンドブック 令和6年3月改訂版

[7] 大阪市:障がい福祉サービス事業者 指定申請の手引き 令和8年1月

開設・指定申請の相談を考えている方へ

開設や指定申請を考えている方は、予定地、サービス名、定員・人員案、候補物件の資料など、分かっている範囲をお知らせください。未定の点も含めて、準備の順序を整理します。

はまなす行政書士事務所の福祉事業相談へ

はまなす行政書士事務所をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む