相続した土地を国に引き取ってもらえる?国庫帰属の条件と費用
使う予定のない相続土地について、国庫帰属という選択肢があります。申請できる人、土地の状態、費用、売却等との比較を順番に説明します。
監修:はまなす行政書士事務所 · 参照資料確認:2026年10月4日
このページの結論
相続等で土地を取得した一定の所有者は、相続土地国庫帰属の承認申請を検討できます。建物、権利、境界等の条件を確認し、審査手数料、準備費用、承認後の負担金まで見積もります。申請だけで土地が国へ移る制度ではありません。
取得原因、建物、境界、権利の4点を整理して法務局へ相談する。
確認する順番
1.土地の取得方法と所有者を確認する
相続または相続人への遺贈によって土地の全部または一部を取得した人などが申請の対象です。共有地では、共有者全員が共同で申請します。相続等で持分を取得した共有者がいれば、売買等で持分を取得したほかの共有者も一緒に申請できる場合があります。取得経緯と持分を登記や相続資料で確認してください。
一覧には所在地、地番、地目、面積、持分、取得の原因を書きます。共有者の一部が相続で取得している場合等にも制度上のルールがあるため、持分ごとの事情を法務局へ示します。
相続人間で誰が取得するかが未定なら、分割と登記の準備も関係します。国庫帰属を目指すから相続の権利関係を省いてよいということではありません。制度の対象者と名義を先に整理してください。
2.建物・権利・境界などの状態を調べる
建物がある土地、担保権や使用収益権等がある土地、他人の利用が予定される土地、土壌汚染、境界や所有権の争いがある土地等には、申請できない条件があります。登記だけでなく現地の状態も確認します。
崖、地上・地下の物、管理に過分な費用や労力を要する事情等は、審査で承認されない条件に関係します。「土地を持て余している」という事情だけで対象になると考えず、個々の状態を公式の要件と照合してください。
現地の写真、公図等の資料、権利の情報、隣接地との境界の認識を整理します。危険な場所の確認や地下の調査等は、必要に応じて専門家へ相談してください。確認できない項目はそのまま未確認と残します。
3.法務局への相談で必要な準備を確かめる
法務局の相談窓口に、土地の所在、取得経緯、建物、境界、権利の状況を伝えます。事前相談の方法と必要資料を確認し、申請可能性を判断するための調査を進めます。相談の段階の説明と承認結果は区別します。
境界を現地で示せるか、隣地との認識に相違や争いがないかが重要です。制度がいつも測量や境界確認書の提出を要求するという説明とは異なりますが、土地の状況によって調査や専門家への相談が必要になります。
土地家屋調査士、行政書士、司法書士等へ頼む場合は、境界の調査、申請書類、登記等の業務を分けて確認します。依頼先がどの作業を扱い、別の専門家の費用が必要かを見積もりで確認してください。
4.審査手数料と負担金、準備費用を分ける
審査手数料は土地一筆につき14,000円です。二筆なら28,000円で、まとめて申請しても審査手数料は軽減されません。承認後の負担金は20万円が基本ですが、一部の市街地の宅地・農地、森林などは面積等に応じて算定されます。土地の種目と区域を確認してください。
建物の解体、物の撤去、境界等の調査、専門家への依頼などの費用は別に考えます。負担金の代表的な金額だけを見て「全部その額で手放せる」と判断せず、準備から帰属までの総額を比較してください。
取り下げ、却下、不承認でも審査手数料は返還されません。承認後は負担金の通知が届いた日の翌日から30日以内に納付する必要があり、納付時に所有権が国へ移ります。要件を満たす見通しと費用を確認してから、解体や調査等の支出を決めてください。
5.売却・譲渡・保有との比較で決める
手放す方法として、売却等の可能性、相続土地国庫帰属、管理を続ける案を比較します。価格だけでなく、必要な準備、時間、管理負担、税務、家族の合意を確認してください。
承認申請中も、土地の管理や費用の問題は残ります。国庫に帰属する時点とそれまでの管理を確認し、次にする作業と担当者を決めます。建物のある実家の問題は、土地だけの制度として分けて検討します。
相談用の一枚には「誰が取得したか」「何が載っているか」「境界と権利」「年間費用」「手放したい理由」を書きます。公式要件と実際の状態を照合することが、最初の判断の土台になります。
相談で伝える文例
相続した土地を使う予定がありません。登記と公図、現地写真があります。取得原因、建物や権利、境界の状況を示し、申請要件と費用、必要な調査を確認したいです。
ご自身の状況に置き換えてお使いください。記録する項目と記入例
| 確認の種類 | 用意する手がかり | 質問すること |
|---|---|---|
| 取得・名義 | 相続資料・登記・持分 | 申請対象者・共有の要件 |
| 現地・権利 | 写真・公図・権利の資料 | 却下・不承認の条件 |
| 費用 | 準備・手数料・負担金 | 総額と承認されない場合 |
空き家が建った土地を引き取ってほしい場合
家族は建物があることを法務局へ伝え、制度の対象条件を先に確認します。解体費だけを先に払うより、ほかの権利・境界・管理の要件と総費用を調べ、売却等も含めて比較します。
間違えやすい点
- 相続土地なら状態に関係なく引き取られると思う。
- 申請した時点で管理責任や費用が終わると思う。
- 負担金の代表額だけで総費用を判断する。
この記事のFAQ
家が建ったままでも申請できますか?
建物がある土地は申請できない条件に該当します。解体を検討する場合も、ほかの要件と総費用を先に確認してください。
境界は必ず測量しなければなりませんか?
制度が一律に測量や境界確認書を要求するものではありません。現地で境界を示せること等の要件と、土地の事情に応じた調査を確認します。
この手続きの相談先
申請要件は法務局へ、境界や現地の調査は土地家屋調査士等へ、申請書類・登記は各資格の業務範囲を確認して依頼します。権利の争いは弁護士へ相談してください。
参照資料
制度の説明は参照資料に基づき、会話例と整理の方法は当サイトの編集提案です。個別の事情に応じて必要な対応を確認してください。
相続・遺言・終活を、わかりやすく。