株・投資信託を相続する手順|証券会社の調査から口座移管まで

このページの結論

取引先の証券会社へ死亡と相続の事情を伝え、残高・取引資料と必要書類を案内してもらいます。受け取る人と移管先の口座を決め、相続手続きで引き継ぎます。税務用の評価と売却時に使う取得資料も保管します。

最初にすること

証券会社の通知を集め、「会社名・口座の手がかり・保有内容・未確認」の四列の表を作ります。

説明用の場面

この手続きが必要になる場面

父の引き出しから証券会社の封筒が出てきた。通帳のようなものはなく、何を持っていたかもわからない。まず取引先を探し、財産の内容と引き継ぐ方法を調べます。

1.封筒・入出金・端末から取引先を探す

取引報告書、年間取引報告書、配当の通知、郵便物、銀行の振込履歴を調べます。

取引先が見つかったら、証券会社名・支店・口座番号の手がかりを一行ずつ記録します。紙が少ないネット証券では、登録メールの通知や本人が残した資産一覧も役立ちます。

端末にログインできても、本人になり代わって注文や出金を進める前に、会社の相続窓口へ連絡します。信用取引、外貨、未受渡しの取引などがある場合は、対応の期限と損益を先に聞いてください。

取引先の手がかりが乏しい場合は、証券保管振替機構の登録済加入者情報の開示請求を検討します。そこでわかるのは、開示時点の振替株式等の口座管理機関等です。通常の投資信託や国債は対象外で、銘柄・残高・取引履歴もわかりません。開示先への照会と、郵便・入出金等の調査を組み合わせてください。

2.銘柄・数量・残高を相続開始時点で確認する

証券会社へ、保有銘柄と数量、預り金、未収配当等を確認できる資料の発行を依頼します。

死亡日の資料が必要か、手数料、発行日数、取得できる取引履歴の範囲も聞きます。資料の依頼と口座移管の申込みは、作業として分けて管理します。

銘柄名だけでなく、上場・非上場、株式・投資信託・債券、国内・海外、口座区分を記録します。株価が変動する財産なので、死亡日の評価と、分割の話合いで使う価額の基準日を区別します。

例えば株式1,000株を長女が受け取る案なら、株数、銘柄、証券会社、評価の基準日を表にします。「父の株を全部」という記載だけで家族が同じ内容を想定しているか、資料を見ながら確かめます。

3.遺言・分割内容と受取口座をそろえる

遺言や協議の内容に沿って受け取る人を決めます。

証券をそのまま移すか、売却代金を分けるかで手順が変わります。移管後に売る予定でも、誰が売却し、手数料と税をどう精算するかを先に話し合います。

相続人名義の証券口座が必要になることが多いため、既存口座を使えるか、新規開設が必要かを取引先へ聞きます。会社間の移管や外国証券の取扱いは銘柄により異なります。家族全員が同じ証券会社の口座を用意すれば必ず済む、と先に決めないでください。

窓口には「故人の○○銘柄を長女が取得する予定です。長女の既存口座へ移せますか。新規口座が必要なら、いつまでに用意しますか」と聞きます。口座条件と必要書類の回答を記録してから、家族の申込予定を決めます。

4.相続の評価と売却の取得費を分けて残す

相続税で使う評価額と、将来の売却益を計算する取得費は役割が異なります。

購入時の取引資料や取得価額がわかる記録を探し、相続の残高証明と一緒に保管します。取得資料が不足している場合は、その状況を税理士等へ伝えます。

NISA口座の資産にも死亡時の届出と相続手続きが必要です。故人のNISAをそのまま相続人のNISAとして続ける想定で進めず、移管先の口座区分と税務上の取扱いを証券会社・税務の相談先へ確認します。

一般の相続では原則として故人の取得費を引き継ぎますが、NISAから相続で払い出される資産等には別の取扱いがあります。口座区分を一覧に残し、一般口座の取得費の説明を全銘柄へ同じように使わず、資料ごとに税務を確認します。

5.移管完了と家族への報告を照合する

完了通知を受けたら、銘柄・株数・預り金・受取口座を、分割資料と照合します。

手続き中に生じた配当や分配金がどこへ入るかも調べ、入金先と精算方法を記録してください。

最後に取引先別の表へ、依頼日、提出書類、移管完了日、資料の保管場所を記入します。株式の一口座が終わっても銀行や別の証券会社の作業は残るため、財産目録の完了欄と突き合わせます。

相談で伝える文例

父の証券口座が二社見つかりました。銘柄と数量の資料、相続手続きの書類、長女への移管に必要な口座条件を教えてください。購入時の資料も集めたいです。

ご自身の状況に置き換えてお使いください。

記録する項目と記入例

段階そろえる資料決めること
調査通知・取引先・口座の手がかり照会する会社
分割銘柄・数量・評価基準日現物移管か売却か
完了移管・入金通知・取得資料配当等の精算と保管
説明用のケース · 実際の相談事例ではありません

父の株式を長女が引き継ぐ

父の郵便物から二つの証券会社を発見。長女は両社へ連絡し、死亡日の保有資料を集めました。協議の前に移管可能な銘柄と口座条件を聞き、長女が株式を、弟が預金を取得する案を検討。将来の売却に備えて、購入時の資料も分けて保管します。

間違えやすい点

  • 証券保管振替機構の開示だけで全財産が判明したと考える。
  • 故人の認証情報で売却を進め、相続手続きを後回しにする。
  • 相続税の評価額だけを残し、購入時の取得資料を捨てる。

この記事のFAQ

証券会社がわからないときは?

郵便物、銀行履歴、資産一覧を調べます。対象となる口座管理機関の情報を探す方法として、証券保管振替機構の開示請求も検討し、その後に各会社へ照会します。

株を売ってから家族で分けられますか?

分割内容、売却する人、受取口座、税務と精算を先に整え、証券会社へ可能な手順を確認します。価格変動と費用も家族で共有してください。

この記事の確認リスト

  • 取引先の調査と銘柄・残高の確認を分ける。
  • 受取人、移管先、売却・精算の役割を先に決める。
  • 相続評価と将来の取得費の資料を両方残す。
相談内容をメモにする

この手続きの相談先

保有内容と移管手順は証券会社へ、評価・取得費・売却税務は税理士へ、分割の対立や権利の判断は弁護士へ相談してください。

参照資料

証券保管振替機構|登録済加入者情報の開示請求

証券保管振替機構|投資信託・国債の開示対象

楽天証券|相続手続き

国税庁|譲渡した株式等の取得費

制度の説明は参照資料に基づき、会話例と整理の方法は当サイトの編集提案です。個別の事情に応じて必要な対応を確認してください。

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