まず押さえたいこと

法務局の自筆証書遺言書保管制度には、保管の有無を確認する「遺言書保管事実証明書」と、内容を確認・手続きに利用する「遺言書情報証明書」があります。保管された遺言書は検認不要ですが、有効性が保証される制度ではありません。[1][2]

最初の一歩:亡くなった方の氏名・住所・本籍・戸籍の筆頭者、保管を示す書類や通知を確認します。

2026年改正と施行時期について

この記事は現在の自筆証書遺言書保管制度を扱います。2026年6月公布の改正法が創設する「保管証書遺言」とは区別してください。新制度等の施行は公布から3年以内の政令で定める日とされており、改正法の公布だけで、現在の証明書・通知の手続きがすべて置き換わるわけではありません。[4]

この記事の目次

1.通知が来たら、まず「何の通知か」を読む

説明用の例です。母の死亡後、長女の家に遺言書を保管しているという通知が届きました。長女は、その紙を銀行へ持っていけば払い戻せると思いましたが、通知に遺言の内容は記載されていません。遺言の存在を知らせる連絡と、手続きで使う証明書は別です。

通知には、遺言者が希望して指定した人への指定者通知と、相続人等の閲覧・情報証明書の交付をきっかけに他の関係相続人等へ送られる関係遺言書保管通知があります。後者は、死亡届を出しただけで必ず即時に一斉送付される仕組みではありません。[3]

2.2種類の証明書を、目的で選ぶ

保管されているか分からない場合と、内容を知って実行したい場合では、必要な証明書が異なります。請求者の立場により確認できる範囲も違い、誰でも他人の遺言を自由に調べられるわけではありません。[2]

書類・方法できることできないこと
遺言書保管事実証明書請求資格に応じ保管の有無を確認遺言の全文を読む
遺言書情報証明書遺言の画像を含む内容を確認し手続きに利用あらゆる有効性を保証する
保管の通知遺言が保管されていると知る通知だけで預金等を受け取る
閲覧所定の方法で内容を確認単なる閲覧を銀行提出書類の代用にする

3.請求資格と必要資料を確認して予約・請求する

相続人、受遺者、遺言執行者等が、遺言者の死亡後に所定の手続きを行います。保管事実証明書と情報証明書では必要資料が異なるため、戸籍を何通集めるか決める前に、目的と立場を法務局へ伝えて確認します。

指定者通知の送り先として指定された人でも、相続人・受遺者等に当たらなければ、通知を受けたというだけで閲覧等ができるわけではありません。保管制度の通知先と、遺言を実行する権限を持つ人を区別します。[1][3]

4.情報証明書を取得すると、他の相続人への通知も関係する

相続人等が遺言書の閲覧または情報証明書の交付を受けると、他の関係相続人等に保管の通知がされます。自分だけが内容を確認し、誰にも存在を知らせないまま独自に処理できる制度だとは考えないでください。[3]

この通知は、遺言執行者の法定の通知等と同じものではありません。遺言執行者が就任する場合には、民法上の任務・通知・目録の作成等を別に確認します。複数の遺言が疑われる場合も、法務局保管分だけで判断を閉じません。

5.銀行・登記へは、遺言の条項ごとにつなぐ

情報証明書は、従来原本を用いていた相続手続きで、その代わりに添付して利用することが想定されています。原本を家族が持ち帰って使うことを前提とした制度ではありません。金融機関等に、証明書以外の必要書類、原本返却、執行者の関与を確認します。[2]

法務局保管の自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が不要ですが、財産の特定、相続人の確認、税務・登記まで自動的に完了するわけではありません。また、保管時の形式確認が、意思能力や内容を含む有効性を保証するものではないことにも注意してください。

よくある質問

通知が来ないので、遺言はなかったと考えてよいですか。

通知の条件や連絡先等の事情があります。通知が届かないことだけで遺言がないとは判断せず、法務局、公証役場、自宅等の調査を検討します。

家族全員の同意がないと、内容を調べられませんか。

制度上の請求資格・必要書類を満たすかで判断します。常に全相続人の同意が必要な制度というわけではありません。自分の立場で何を請求できるか確認してください。

今日の確認メモ

  • 保管通知と証明書を区別する
  • 請求者の立場と目的を伝える
  • 本籍等の情報と必要資料を確認する
  • 銀行・登記・執行者の手続きを別途進める

根拠となる公式資料

[1] 法務省「相続人等の手続」自筆証書遺言書保管制度

[2] 法務省「証明書について」自筆証書遺言書保管制度

[3] 法務省「通知」自筆証書遺言書保管制度

[4] 法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)」令和8年法律第45号・施行区分

制度確認日:2026年10月17日。日本の一般的な相続・遺言手続きを説明しています。事例・金額は説明用です。作成日・死亡日等による経過措置や個別の事情で結論は変わります。税務は税理士・税務署、登記は司法書士等、紛争・権利行使は弁護士にご確認ください。

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