まず押さえたいこと

公正証書遺言には証人2人以上の立会いが必要です。未成年者、推定相続人・受遺者、その配偶者・直系血族等は証人になれません。証人と遺言執行者は別の役割であり、執行者になれる人が証人にもなれるとは限りません(民法969条・974条)。[1][2]

最初の一歩:候補者と、遺言者・推定相続人・受遺者との関係を、公証役場へ事前に伝えます。

2026年改正と施行時期について

2026年の改正法には遺言制度の見直しが含まれ、成立・公布と施行の時期は異なります。本記事の証人要件は2026年10月17日に確認した現行制度に基づきます。今後の日程で作成する場合は、証人・立会人の欠格事由の改正の適用を、公証役場へ改めて確認してください。[4]

この記事の目次

1.「家族なら安心」でも、証人になれないことがある

説明用の例です。父が公正証書遺言を作るため、財産を受け取る予定の長女と、長男の妻に立会いを頼みました。二人は親切で、父の希望も知っています。しかし、長女は推定相続人・受遺者となり得る人、長男の妻は推定相続人の配偶者として、証人の制限に該当し得ます。

証人の適格性は、仲のよさや口の堅さだけで決まるものではありません。遺言の内容と候補者の関係を確認し、当日になって作成を延期しないよう早めに公証役場へ照会します。

2.証人になれない人を、条文に沿って確認する

民法974条は、未成年者、推定相続人と受遺者およびその配偶者・直系血族、公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人を、証人または立会人になれない人として定めています。相続人に当たるかは、遺言者の家族関係を前提に判断します。[1]

候補者の例確認する点
遺言者の子推定相続人に当たるか
財産をもらう友人受遺者なら証人になれない
推定相続人の配偶者制限対象に当たる
推定相続人の子・親等直系血族として制限対象か
利害関係のない成人の友人他の欠格事由等がないかを確認
専門家資格名だけで判断せず利害関係等を確認

「親族は全員だめ」「行政書士なら誰でも必ずよい」といった一律の説明も正確ではありません。関係と役割を伝えた上で、最終的な手配を進めます。

3.証人は、遺言者の意思と手続きに立ち会う人

日本公証人連合会は、証人の立会いを、遺言者の真意と適式な手続きの確認のためと説明しています。家族の希望を代わりに述べたり、遺言者の返答を先回りして決めたりする役割ではありません。[2]

当日は本人確認や内容確認、署名・電子サイン等について公証人の進行に従います。具体的な参加方法は作成方式により異なるため、来所・出張・リモートの別と必要な本人確認資料を事前に確認してください。内容が聞き取れない、説明を理解できない場合は、そのまま同意したふりをせず伝えます。

4.証人を引き受けることと、死後の手続き担当は別

証人として立ち会っただけで、遺言執行者になるわけではありません。反対に、遺言執行者として指定されているという理由だけで、証人資格が当然に認められるわけでもありません。例えば、相続人は執行者になれる場合がありますが、推定相続人として証人の制限に該当します。

「証人なら遺言内容の法的な有効性をすべて保証する」というものでもありません。役割・必要な確認・守秘への配慮を明確にし、内容に疑問や本人の意思への懸念があれば、公証人へ伝えてください。

5.適任者がいない場合は、公証役場へ相談する

適当な証人が見つからない場合には、公証役場で紹介できることがあります。紹介の可否、費用、日程、本人確認資料を確認します。自分で手配する場合も、住所・氏名・生年月日等の資料を事前に求められるため、候補者の了解を得て準備します。[2][3]

証人は遺言の内容を知る立場になります。資料をどこまで渡すか、写しの保管や返却をどうするかも相談してください。家族の財産情報を、証人候補のグループへ広く配布する必要はありません。公証役場を通じて必要な範囲で取り扱います。

よくある質問

一人だけ証人を頼めば、残りは省略できますか。

公正証書遺言には証人2人以上の立会いが必要です。必要な人数を自分で手配できなければ、公証役場へ紹介等を相談します。

遺言で何ももらわない子なら、証人になれますか。

何も取得しない内容でも、推定相続人に当たれば証人になれません。受取額だけで判断しないでください。

今日の確認メモ

  • 推定相続人・受遺者との関係を確認する
  • 必要人数と日程をそろえる
  • 本人確認資料と参加方式を確認する
  • 執行者との役割の違いと情報の取扱いを理解する

根拠となる公式資料

[1] e-Gov法令検索「民法」

[2] 日本公証人連合会「公正証書遺言の証人は、どのように手配するのですか?」

[3] 日本公証人連合会「遺言公正証書の作成に必要な資料」

[4] 法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)」令和8年法律第45号・施行区分

制度確認日:2026年10月17日。日本の一般的な相続・遺言手続きを説明しています。事例・金額は説明用です。作成日・死亡日等による経過措置や個別の事情で結論は変わります。税務は税理士・税務署、登記は司法書士等、紛争・権利行使は弁護士にご確認ください。

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