法定相続情報一覧図は、戸籍から確認した相続関係を一枚にまとめ、法務局の認証文付きの写しとして利用する制度です。複数の銀行や登記などを進めるとき、同じ戸籍の束を何度も提出する負担を減らせる場合があります。
専門記事・実務研究|公式資料確認:2026年10月6日
架空の家族が、父の預金を三つの銀行で相続することになりました。最初の銀行に戸籍一式を渡すと、次の銀行へ進める日が分かりません。「同じ説明を、同じ書類で三回するのか」。そこで検討したのが法定相続情報一覧図でした。ただし、先に戸籍を集める工程は必要です。
この記事で確認できること
1. 一枚にする前に、相続関係を調べる
2. 向いているのは、同じ証明を何度も使う場面
3. 必要書類は、必須と条件付きに分ける
4. 作図では、名前と日付を戸籍へ戻す
5. 『無料』の範囲を理解しておく
6. よくある質問:外国籍の家族がいる場合は?
一枚にする前に、相続関係を調べる
この制度は、戸籍収集を不要にするものではありません。出生から死亡までの被相続人の戸除籍謄本、相続人の戸籍などを集め、その内容を法定相続情報一覧図に表します。登記官が戸籍に基づく相続関係を確認し、認証文付きの写しを交付します。
家族が手書きで作った家系図や、戸籍を添付していない相続関係図が、それだけで認証された一覧図になるわけではありません。戸籍の連続性と相続人の範囲を確認することが、作図より先に来ます。
向いているのは、同じ証明を何度も使う場面
銀行が複数ある、不動産登記と預金の手続を並行したい、相続税や年金等の手続にも使いたい、という場面で検討しやすい制度です。ただし、利用できるかや必要な追加書類は提出先へ確認します。
逆に、提出先が少なく、手元の戸籍で手続をすぐ進められる場合は、一覧図の取得を必ず先にする必要はありません。戸籍の返却方法、手続の日程、一覧図を取得する準備の負担を比べて考えます。
| 手元の資料 | 次の確認 |
|---|---|
| 現在の戸籍だけ | 出生から死亡まで連続しているか |
| 相続人の戸籍 | 相続関係に必要な範囲を満たすか |
| 住民票等 | 住所記載・除票等の要否 |
| 一覧図の案 | 戸籍と氏名・日付・続柄が一致するか |
| 提出先の一覧 | 利用可否・部数・追加書類 |
必要書類は、必須と条件付きに分ける
代表的な資料は、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本、被相続人の住民票の除票、相続人全員の戸籍、申出人の本人確認書類です。相続人の住所を一覧図に記載する場合などは、別途住所を証する書類が必要です。住民票の除票を取得できない場合の取扱い等も公式案内で確認します。
子がいない場合、兄弟姉妹が相続人になる場合、代襲相続がある場合などは、相続関係を裏付けるために収集範囲が広がります。「最低限の一覧に載っている書類を取れば、どの家族でも同じ」ということではありません。
作図では、名前と日付を戸籍へ戻す
氏名、生年月日、死亡年月日、続柄などを、記憶や家族の通称ではなく戸籍と照合します。公式の様式・記載例を出発点にし、相続関係に合う図を選びます。文字を読みやすく配置しても、相続人の欠落や日付の誤りがあれば手続が止まります。
続柄を「子」とだけ記載すると、相続税申告等では利用できない場合があるため、利用目的に合わせて戸籍上の続柄を確認します。相続人の住所記載は任意ですが、記載すると後の手続で住所を証する資料を省略できる場合があります。取得後の住所変更による再申出はできないため、提出先での利用も考えて準備します。
申出先も自由にどこでも選べるわけではありません。被相続人の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産所在地を管轄する登記所など、公式案内の選択肢から確認します。郵送の可否や返送の準備も合わせて確認しましょう。
『無料』の範囲を理解しておく
認証文付きの一覧図の写しの交付は無料です。一方、戸籍や住民票等の取得費用、郵送料、専門家へ依頼する場合の報酬は別です。「法務局で無料だから、準備も全部無料」とは限りません。
行政書士は委任を受けて、この制度の申出代理を行うことができます。戸籍収集や作図も含めて依頼するか、一部だけを頼むか、見積りの対象を確認しましょう。不動産登記そのものの代理は司法書士へ依頼する範囲です。
よくある質問:外国籍の家族がいる場合は?
被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、必要な戸除籍謄抄本を提出できない場合は、この制度を利用できません。外国の証明書を添付すれば同じ一覧図が当然に取得できるわけではないため、法務局と手続先に確認します。
相談の最初には、亡くなった方との関係、分かっている相続人、利用予定の銀行等、戸籍がどこまで集まっているかをお伝えください。申出の準備から、取得後にどう使うかまで一緒に整理できます。
参考資料
[4] 法務局:一覧図の様式と記載例
事例と金額は説明のための架空例です。個別の手続では、対象時期の制度と提出先の取扱いを確認してください。
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