2026年10月13日確認|児童発達支援・放課後等デイサービスの経営者、管理者、児発管の方へ
「加配加算が統合されるらしい」「職員が休む日は、児発管が支援に入ればよくなるのか」。令和9年度の報酬改定に向けた情報を目にすると、来年度の採用や勤務表、収支が気になります。ところが、検討案をそのまま来年度のルールだと思ってしまうと、準備のつもりで判断を早めすぎることがあります。
この記事では、改定全体の背景を押さえたうえで、児発・放デイに関係する論点を、現行の取扱い、検討案、事業所での確認事項に分けて整理します。記事後半の事例や点検方法は、当事務所からの実務上の提案です。新しい算定要件を示すものではありません。
最初に押さえたいこと
今回取り上げる加算統合や人員配置の見直しは、検討段階です。新しい単位数を前提に、採用・配置・請求を変える段階ではありません。一方、今の職員体制と支援の実態を整理する作業は、今日から始められます。
最優先は、①職員の配置、②個別支援計画と日々の記録、③加算の届出と請求を、同じ一日の出来事として照合することです。
読みたいところへ
1.改定は今どの段階か / 2.主な検討案の早見表 / 3.加算統合と収支 / 4.休暇と人員配置 / 5.計画作成のチーム協働 / 6.研修・地域連携 / 7.準備する資料と請求ソフト
1.令和9年度改定は、今どの段階にあるのか
本稿で確認した厚生労働省の会議一覧では、最新の掲載は2026年10月5日の第65回検討チームで、議題は障害児支援です。8月27日に改定全体の論点案が示され、その後、訪問系・就労系など、サービス分野ごとの検討が進んでいます。第65回は資料を確認できましたが、議事録は掲載されていません。本稿は公表資料を分析するもので、会議での最終合意を伝えるものではありません。[1]
改定全体の背景には、人材確保や物価・賃金への対応と、支援の質・制度の持続可能性をどう両立させるかという課題があります。令和8年度の臨時改定と、これからの令和9年度改定は区別して読む必要があります。[2]
経営上は、「全体の改定率が何%になるか」だけを見ても、自事業所の収支は分かりません。どの加算を、何人に、何日算定できるのか。そのためにどの配置や業務が必要になるのか。この組合せが変わると、同じ売上でも現場の余力は変わります。
2.児発・放デイの主な検討案を一枚で整理
下表は第65回資料の要点です。すべて検討の方向性であり、確定した新制度ではありません。資料の頁番号を併記しました。[3]
| 論点 | 資料に示された方向 | 該当頁 |
|---|---|---|
| 加算 | 児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算を整理・統合。専門性や経験を生かす事業所全体の体制を評価する案。 | 30–31 |
| 休暇 | 法定休暇時、管理者・児発管の直接支援への関与と必要な支援体制を前提に、配置の取扱いを見直す案。 | 95–96 |
| 個別支援計画 | 児発管が作成責任を担い、一般職員の情報整理・提案等の役割を明確にする案。 | 8–9 |
| 研修 | 研修体系の制度化と、外部研修受講時の人員基準の取扱いを検討。 | 3–4 |
| 強度行動障害 | 就学児サポート調査票と強度行動障害判定基準表の整理・統合、運用の明確化を検討。 | 14 |
| 地域の居場所 | 放デイと放課後児童クラブ等の連携・交流、一体的運用の在り方を検討。 | 71 |
ここからは、こうした論点に対して事業所がどう備えるかを考えます。必要な支援と、収入を支える要件の両方を見ておくことが大切です。
3.加算統合案――まず「今の加算が支えている仕事」を見えるようにする
新しい加算の単位数や詳細要件が示されていない段階では、「統合されれば減収」「専門職の採用が不要になる」とは判断できません。加算の名称より先に確認したいのは、今の配置によって、どの支援が可能になっているかです。
資格一覧だけでは、配置を変えたときの影響が分からない
例えば、理学療法士がいる事業所を考えてみます。個別に支援する時間のほかに、姿勢や移動について他の職員へ助言する、活動の組み方を見直す、保護者へ家庭での配慮を伝える。こうした役割があるなら、「何曜日に何時間勤務しているか」と一緒に整理しておきたいところです。これは新加算の要件の予想ではなく、自事業所の支援体制を説明するための点検です。
逆に、資格者は在籍していても、その人が休むと支援方法が分からなくなるなら、知識が一人に集中しています。短い引継ぎや記録の改善で対応できる部分がないかを見ることは、改定の結論にかかわらず役立ちます。
収支試算は「現在の数字」と「仮定」を分ける
まず、直近の一か月について、加算ごとの算定人数・延べ日数・収入と、その体制を維持する人件費を確認します。将来の試算を行うときは、まだ分からない単位数や対象範囲を、確定値の欄へ入れないようにします。
| 整理する数字 | 使い道 |
|---|---|
| 現在の加算別収入 | どの収入に、どの程度依存しているかを把握する。 |
| 現在の配置と人件費 | 加算だけでなく、基本の支援を維持するための費用を把握する。 |
| 新要件・新単位数 | 公表後に入力する。仮定で試算した場合は、仮定と明記する。 |
| 追加業務に必要な時間 | 会議・研修・地域連携等の時間も含め、実行できる体制かを考える。 |
売上の増減だけを追うと、収入を得るために必要な時間を見落とします。「計算上は黒字でも、その仕事をする職員の時間がない」という状態を防ぐために、収支表と勤務表を一緒に見ます。
加算が支援の維持に果たす役割については、児発・放デイの加算統合案――職員の配置と支援需要を考える記事でも掘り下げています。
4.職員の休暇――「常勤換算」と「その時間にいる人」を分ける
この論点は、現行ルールを先に押さえると読みやすくなります。令和6年5月17日Q&Aの問3は、常勤職員の一定の欠勤について、暦月で1月を超えない場合の常勤換算上の取扱いを説明しています。一方、問4は、対象とする児童発達支援事業所では、常勤職員が休む日も、別の児童指導員又は保育士を配置し、提供時間帯を通じた必要人数を確保することを示しています。[4]
勤務時間の計算に含められることと、実際の支援に必要な職員が配置されていることは、別々に確かめます。さらに、加算を算定できるかも別の確認です。児童指導員等加配加算には、常勤配置職員の病欠・有休と、欠勤等が1月以上続く場合についての個別のQ&Aがあります。基準人員と加算配置で同じ説明を使い回さないようにします。[5]
架空の一日で考える:常勤職員Aが有休を取ったら
ここでは、児童発達支援センターと主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く児童発達支援で、利用児童10人以下、基準の直接支援をA・Bの二人で担当する単純な例を考えます。Aが有休を取り、Bと児発管Cが出勤しているとします。
| 確認すること | この例での読み方 |
|---|---|
| Aの常勤・常勤換算上の扱い | 休暇の種類・期間と該当する取扱いを確認する。これだけでその日の配置を満たしたとは判断しない。 |
| 提供時間中の直接支援 | 現行の問4を踏まえ、休暇を取るA以外の必要な配置を確保する。Cが出勤しているという事実だけで代替可能とは判断しない。 |
| Cの本来の業務 | 面談・計画作成・職員への指導等と、直接支援を担う時間が重ならないかを確認する。 |
これは人数の考え方を整理するための例です。多機能型、職員の兼務、利用人数、職種構成等が違えば、確認する規定も変わります。放デイを含め、自事業所に適用される基準・通知で照合してください。
今後の通知で確認する質問を、先に用意しておく
休暇の見直し案が具体化したら、次の点を確認する必要があります。これは現時点の適用範囲を断定する一覧ではなく、当事務所が考える確認項目です。
| 確認する点 | なぜ必要か |
|---|---|
| 対象となる休暇・職員・事業所 | 有休、病欠、法人独自の特別休暇等を一括りにせず、制度上の範囲と照合するため。 |
| 管理者・児発管の関与の条件 | 資格、兼務、関与する時間、必要な支援体制等を具体的に判断するため。 |
| 複数人の休暇・短時間の不在 | 同時に不在になる場面や時間単位の取扱いを確認するため。 |
| 加算・減算・届出との関係 | 人員基準の取扱いが変わっても、請求への影響まで自動的に同じとは限らないため。 |
休みを取りやすい職場をつくることと、子どもが安心して過ごせる体制をつくることは、両方必要です。新しい取扱いが示されるまでは、現行の配置を守りながら、誰が休むとどの時間帯が足りなくなるのかを把握しておきます。
5.個別支援計画――職員の気づきを、児発管が判断できる形にする
チームで計画を作るという言葉だけでは、実際の分担は決まりません。「みんなで考えた」ことが、誰が何を確かめたのか分からない状態にならないよう、情報を集める仕事と、判断して計画にまとめる仕事を整理したいところです。
「落ち着きがない」を、支援の手がかりに変える
例えば、職員の記録が「今日も落ち着きがなかった」で終わっていると、児発管は具体的な場面をもう一度聞く必要があります。「活動の切替え直前に席を離れた。次の活動を写真で示すと、自分から戻れた」とあれば、何が負担で、どの配慮が役立つかを話し合えます。これは架空の例であり、その方法がどの子にも適するという意味ではありません。
その気づきを受けて、児発管が本人・家族の意向やほかの場面の様子と照らし合わせ、目標や支援内容を検討する。現場の職員が、実施後の変化を伝える。この往復ができると、計画書を作成する時間と、日々の支援がつながります。
| 当事務所が勧める分担の整理 | 記録に残す手がかり |
|---|---|
| 現場職員が具体的な情報を出す | 場面、本人の様子、行った支援、その後の反応。 |
| 児発管が情報を確かめ、計画へまとめる | どの情報を基に、何を優先し、どう支援することにしたか。 |
| チームで実施後を振り返る | 支援が実施できたか、本人の負担はどうか、見直す点は何か。 |
この表は業務整理の提案であり、法令上の職務を一般職員へ移すためのものではありません。説明・同意・交付を含めた現行の作成手続を守り、そのうえで、児発管が判断に使える情報を集めやすくします。
計画書の書き方は、「かばんを置く」という場面から個別支援計画を作る記事、手続の点検は作成日・説明日・交付日の実務記事もご利用ください。
6.研修・地域連携――外へ出る時間も、事業所の仕事として考える
研修や地域連携を充実させようとすると、事業所内の支援に加えて、準備・移動・情報共有の時間が必要になります。担当者を決めるだけでは実行できず、勤務の中に時間を置くことが必要です。
当事務所としては、研修なら「誰が受講したか」に加え、「学んだことをどの支援場面で試し、どう振り返ったか」を短く残す方法を勧めます。会議や研修のたびに大きな報告書を増やすより、既存の支援記録や職員間の引継ぎに結び付けるほうが続けやすいでしょう。
学童等との連携でも、最初に考えたいのは建物や職員を共有できるかではなく、本人がそこでどのように過ごしたいかです。連絡先、困ったときの対応、配慮の伝え方を整理すれば、交流を一度きりで終わらせない土台になります。新たな兼務・共用の可否は、今後の具体的な基準を確認して判断します。
強度行動障害に関する評価の議論に備える際も、将来の点数を予想するより、困りごとが起きる場面、事前の配慮、必要な支援、家庭との共有事項を整理しておくことが実務的です。請求上の評価と、目の前の子どもに必要な支援を、それぞれ説明できる状態を目指します。
7.今から準備する6つの資料と、請求ソフトの確認
最初から全件を点検する必要はありません。直近の一か月から、職員が休んだ日と、利用児童一人分の記録を選び、次の資料を並べる方法を提案します。
| 用意する資料 | 照合すること |
|---|---|
| ① 勤務予定表・勤務実績・休暇記録 | 予定と実績が違った日に、誰がどの時間の支援を担ったか。 |
| ② 職員の資格・経験・担当業務の一覧 | 届出上の配置と実際の役割が一致しているか。 |
| ③ 現在の加算届・体制等状況一覧 | どの要件・配置を前提に算定しているか。 |
| ④ 個別支援計画と説明・同意・交付の記録 | 支援の根拠と手続の経過を追えるか。 |
| ⑤ 日々の支援記録・会議記録 | 計画した支援を誰が実施し、何を引き継いだか。 |
| ⑥ 国保連請求明細・ソフトの設定 | 選択した加算区分や算定日が、届出・配置・支援の事実と合うか。 |
ソフトの更新と、算定できるかの判断は分担を決める
改定対応では、ソフト会社に確認することと、事業所・指定権者に確認することを分けると混乱を減らせます。ソフト会社には、新しいサービスコードへの対応時期、適用月、過去月の再請求、設定引継ぎ、テスト方法を確認します。事業所側では、新要件を満たすか、届出が必要か、いつから算定できるかを確認します。
画面で加算を選べることは、事業所がその加算を算定できる証明にはなりません。新しいコードが配信されたら、設定を変える担当者と、届出・根拠資料を確認する担当者を決め、一人分の明細で照合してから対象を広げると、誤設定に気づきやすくなります。
既存の請求を点検する手順は、支援記録・加算・国保連明細を一人分から照合する記事で具体的に説明しています。
決定後に判断することも、一覧にしておく
新単位数に基づく収支の確定、新加算の届出、職員配置の変更、請求設定の切替えは、それぞれの正式な要件・適用時期・経過措置を確認してから進めます。「情報待ち」を放置にしないため、確認する資料と担当者を書いておきましょう。
準備の成果は、新しい制度を早く言い当てることではありません。国のルールが示されたときに、「うちの事業所では、どこを変えればよいか」を、勤務表と支援記録と数字で判断できるようにしておくことです。
自事業所の加算・配置・記録を整理したい方へ
はまなす行政書士事務所では、障害福祉・障害児通所支援の指定申請、変更届、加算に関する手続や運営書類の整理についてご相談を受けています。「改定情報は読んでいるが、今の体制のどこから確認すればよいか分からない」という段階でも、まず現在の状況をお知らせください。
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出典と情報の確認範囲
確認日:2026年10月13日。第65回の障害児支援資料を中心とする解説で、令和9年度改定の全サービス・全論点を網羅するものではありません。本文の事例・点検表・収支整理は当事務所の分析と提案です。個別の適用は、正式な告示・通知・Q&Aと指定権者の案内で確認してください。
[1] 厚生労働省「障害福祉報酬改定検討チーム」会議一覧。最新掲載回・議題・議事録の掲載状況を確認。
[2] 第62回資料2「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」(2026年8月27日、1–3頁)。改定全体の背景・基本的な考え方。
[3] 第65回資料「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」(2026年10月5日)。本文の頁番号は資料に印刷された番号。PDF閲覧ソフトの表示は1頁ずれる場合があります。会議資料の掲載ページ。
[4] こども家庭庁「障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援)に関するQ&A」(2024年5月17日、問3・問4)。常勤換算と休暇時の配置を区別するために参照。
[5] こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.5」(2024年6月6日、問3)。常勤配置による児童指導員等加配加算と休暇・欠勤の取扱い。
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