外国人社員の仕事、採用時と変わっていませんか?――異動・応援・現場業務の確認点

社内異動、別法人、派遣先の三つの仕事場の小景のイメージイラスト

「海外取引の担当として採用した社員に、繁忙期だけ倉庫を手伝ってもらう」。最初は週に一度の応援だったのに、欠員が埋まらず、いつの間にか現場作業が日常になっている――。職場では珍しくない変化でも、在留資格との関係では確認が必要です。

採用時に確認した在留カードは、将来のあらゆる仕事を認めるものではありません。採用時の説明と、今の一日の仕事がつながっているか。人事担当者と現場の責任者が、同じ資料を見ながら確かめたいところです。

この話の出発点は、異動を禁止することではありません。現在の在留資格で認められる仕事かを、変更前に確認することです。部署名が変わっただけの場合と、仕事の中心が変わった場合を分ければ、何を調べるべきかが見えてきます。

この記事は、主に「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国)の社員を想定しています。「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などは就労活動の制限が異なり、特定技能・技能実習も別の制度です。外国人社員全員を、同じ基準で判断しないようにしましょう。

確認したい箇所から読む:
「営業部の社員です」だけでは、仕事内容は見えない
「少しだけ応援」を、五つの質問に置き換える
「研修だから大丈夫」には、研修の中身が必要

「営業部の社員です」だけでは、仕事内容は見えない

技人国では、自然科学・人文科学の専門的な知識を必要とする業務や、外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務などが対象になります。社内で「営業」「技術職」と呼んでいても、その名称だけで対象になるわけではありません。

ここでいう「専門的」は、単に「慣れるまで時間がかかる」「社内では資格者に任せている」という意味とは同じではありません。どんな知識を使い、何を判断・設計・分析するのかまで、仕事の中身を確認します。本人の学歴・職歴等との関係も、該当する要件に沿って確かめます。

たとえば海外営業なら、取引先との交渉、輸出入の調整、海外市場の調査などを、誰に対して、どのように行うのかを説明します。「外国語を話せる社員だから」という理由だけで、商品の運搬や一般的な現場作業まで一括して説明することはできません。

同じ倉庫にいる二人でも、海外向け商品の出荷計画を分析する人と、商品の梱包を継続して担当する人では、説明する仕事が違います。場所よりも、そこで何をしているかに目を向けましょう。外国語を少し使うことや、専門部署に所属していることだけで、日々の仕事全体が対象になるとは限りません。

一方で、業務の一部に補助的な作業が含まれるからといって、それだけで直ちに結論が決まるものでもありません。中心となる活動、専門業務との関係、期間や頻度を、実態に沿って確認します。「現場作業が何%以下なら必ず大丈夫」という一律の数字には頼れません。

「少しだけ応援」を、五つの質問に置き換える

確認すること現場に聞きたい具体例
何をしているか翻訳、顧客対応、機械操作、梱包など、動詞で書く
いつから・どのくらいか開始日、週の回数、一日の時間、終了予定
本来の仕事との関係専門業務に必要な付随作業か、人手不足の穴埋めか
どこで・誰の指示で働くか自社内の異動か、別会社への出向・派遣等か
採用時の説明との違い雇用契約、職務説明、申請時の資料と照合する

最初の一歩は、大げさな報告書より、直近の仕事を一週間分並べることです。「午前は海外顧客との商談、午後は出荷データの分析」と「一日中、商品のピッキング」では、同じ部署でも説明する活動が変わります。割合を出す目的は、合格ラインを作ることではなく、仕事の中心を見えるようにすることです。

「研修だから大丈夫」には、研修の中身が必要

入管は、技人国で許容される実務研修についても考え方を示しています。入社当初の研修として、将来の専門業務に必要な現場経験を積む場合と、恒常的に現場要員として配置する場合を区別して考える必要があります。

研修という名称だけでは足りません。なぜ必要か、期間は合理的か、日本人の同等の新入社員にも行う研修か、研修後にどの専門業務を担当するのかを説明できる計画が大切です。日本人と同じ作業をしているという一点だけで、在留資格との適合性が決まるわけでもありません。

計画に終了日がない、延長を繰り返している、研修後の配属先が未定という場合は、一度立ち止まって確認しましょう。書類を後から整えても、実際の仕事が計画と違えば、その違いは残ります。

部署異動、出向、仕事内容の変更を分けて考える

同じ会社内で異動したからといって、必ず在留資格変更の申請が必要になるわけではありません。現在の在留資格で認められる活動の範囲に収まるかが出発点です。一方、別会社への出向や派遣では、契約関係、実際の業務、勤務先も確認する必要があります。

新しい仕事が今の在留資格の範囲を外れる場合は、変更許可等の要否を、業務を始める前に検討します。「次の更新で説明すればよい」として、そのまま配置を続けてよいとは限りません。既に変更している場合も、開始時期と実際の業務を正確に整理し、早めに相談してください。

なお、2026年4月15日以降の技人国の取扱いでは、カテゴリー3・4の申請について提出資料が追加されています。言語能力を主に用いる対人業務については、転職や配置転換に伴う更新でも、業務で使用する言語についてCEFR・B2相当の能力を示す資料が必要になる場合があります。すべての技人国社員に一律に日本語能力試験N2が必要になった、という意味ではありません。担当業務と申請区分に合わせて、最新の案内を確認します。

会社に残したいのは、仕事の変化が追える資料

異動の発令書に加えて、変更前後の職務説明、開始日、勤務先、指揮命令の関係、業務の成果物を整理します。顧客や取引先の情報は必要な範囲で扱い、本人の説明とも照合してください。申請書だけ整えるより、現場の仕事をそのまま説明できる状態にすることが大切です。

「あの社員は何でも頼める」。その信頼が、本人にも会社にも無理のない配置につながるように、任せる仕事が増えた時こそ確認の機会にしましょう。

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既に外国人社員を雇用している会社からのご相談も承ります。在留資格・期限、雇用契約、実際の仕事内容を整理し、必要な入管手続と準備する資料を検討します。資料が揃っていない場合も、まず現在の状況をお知らせください。

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根拠・参考資料

出入国在留管理庁等の公式資料をもとに、2026年10月6日時点の情報で整理しています。表の進め方や確認例は、法定義務そのものではなく、会社での実務管理の提案です。冒頭の事例は説明のための架空の例です。

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