中途採用から半年。仕事にも慣れ、職場との相性もよい。そんな時、更新の準備で「前の会社では、具体的に何の仕事をしていましたか」と聞かれ、採用担当者が手を止めることがあります。
採用時には在留カードを見た。「技術・人文知識・国際業務」と書いてあり、前職も同じ業界だった。それでも、現在の仕事まで確認したかと問われると、記録が見つからない。今から見直すなら、カードの確認と、仕事の確認を分けて進めるのが出発点です。
先に答えを確認しましょう。転職しただけで、必ず在留資格変更が必要になるわけではありません。ただし、前の会社で許可を受けていたことだけでは、当社の仕事も認められるとは判断できません。今の仕事を確かめること、本人の入管への届出、会社の雇用状況の届出は、それぞれ別の確認です。
確認したい箇所から読む:
転職しただけで、必ず資格変更が必要になるわけではない
確認した後は、どの道へ進む?
本人の入管届出と、会社のハローワーク届出は別
転職しただけで、必ず資格変更が必要になるわけではない
技術・人文知識・国際業務では、転職後も同じ在留資格で認められる活動を行うのであれば、転職という事実だけで必ず在留資格変更が必要になるわけではありません。ただし、今の仕事がその活動に該当するかは、別に確認しなければなりません。
「前職も当社も製造業」という業種の一致では、設計・開発をしていた人なのか、現在は製造ラインの作業を主にしているのかが分かりません。「営業」という肩書が同じでも、海外取引の交渉と、店頭での一般的な接客では、実際の活動を丁寧に確認する必要があります。
在留資格によって確認の仕方も変わります。「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などは職業活動の制限が異なります。「特定活動」は指定書の確認が重要です。特定技能・技能実習を、技人国と同じ転職手順で扱うこともできません。まず社員の在留資格を特定しましょう。
入社後の見直しは、四つを並べる
| 確認するもの | 見るポイント |
|---|---|
| 在留カード・旅券等 | 在留資格、満了日、就労制限、必要に応じ指定書等 |
| 前回の許可に関する資料 | 本人が保管する申請書や職務説明等から、従来の活動を把握 |
| 当社の雇用条件と実際の業務 | 契約上の職種と、配属後の日々の仕事を照合 |
| 本人の学歴・職歴等 | 現在の業務との関係を、該当する要件に沿って確認 |
前の会社の資料が揃わない場合でも、在留カードと現在の仕事を確認する作業は進められます。資料がない部分を推測で埋めず、何が確認でき、何が未確認かを分けましょう。前職の情報も本人の協力のもと、必要な範囲で扱います。
職務説明は「外国語を使う」「専門知識が必要」の二行で終わらせず、誰のために、何を作成・分析・交渉するかを書きます。学歴との関連が必要な業務なのか、職歴等を含めた別の要件で考える業務なのかも、個別に確認します。
確認した後は、どの道へ進む?
| 今、分かっていること | 次に進める確認 |
|---|---|
| 今の在留資格で認められる活動に該当すると確認できる | 判断に使った契約・職務資料を残し、届出と更新予定を確認する |
| 仕事内容が曖昧で、該当するか判断できない | 本人と現場に聞き取り、職務を具体化する。就労資格証明書の利用も検討する |
| 認められる活動の範囲を外れるおそれがある | その活動を続けてよいかを早めに確認し、配置の見直しや資格変更等を検討する |
たとえば本人が「前の会社でも営業でした」と話したら、次は「どのお客様へ、何を、どんな方法で提案していましたか」と聞きます。今の仕事にも同じ質問をすると、肩書では見えなかった違いが分かります。この表は、会社だけで許可の可否を決めるためのものではなく、相談までに何を明らかにするかを示すものです。
就労資格証明書は、判断を明確にする選択肢
新しい会社での業務が現在の在留資格の範囲に含まれるかについて、就労資格証明書の交付申請を検討することがあります。入管が就労できる活動を証明する書類であり、転職後の仕事内容を確認する際に役立つ制度です。
ただし、証明書は新たな就労許可でも、在留期間を延ばす手続でもありません。また、取得がすべての転職で義務になるわけではありません。公式案内は、証明書を提示しないことだけを理由に、就労が認められる外国人を不利益に扱ってはならないとしています。
したがって「持っていないから働けない」と決めつけるのではなく、現在の活動の適合性、期限までの余裕、次の更新との関係を踏まえて、利用するかを検討します。期限が迫っている場合には、証明書を待つことと更新の期限管理を混同しないことが大切です。
本人の入管届出と、会社のハローワーク届出は別
採用後の管理で特に混同しやすいのが、所属機関に関する入管への届出と、会社による外国人雇用状況の届出です。就労資格証明書の申請も含めて、目的と担当を分けると整理できます。
| 手続 | 目的と担当の整理 |
|---|---|
| 所属機関に関する届出 | 技人国等の対象者が、契約の終了・新たな契約締結等を、原則として事由発生から14日以内に入管へ届け出る |
| 外国人雇用状況の届出 | 事業主が雇入れ・離職についてハローワークへ届け出る。雇用保険の対象等により方法・期限が異なる |
| 就労資格証明書の交付申請 | 本人の就労できる活動を証明する任意の手続。新会社での職務の確認にも利用を検討 |
| 在留期間更新・資格変更 | 期間の延長や活動の変更について許可を求める。必要性と申請時期を別に判断 |
会社がハローワークへ届け出たからといって、本人の入管への届出が済んだことにはなりません。外国人雇用状況の届出には「外交」「公用」「特別永住者」等の対象外もあるため、対象と手続を確認します。雇用保険の資格取得・喪失の届出で兼ねる場合も含め、会社の担当部署や社労士等と連携して管理しましょう。
本人の所属機関の届出が遅れていると分かった場合は、日付をさかのぼらせて辻褄を合わせず、実際の退職日や新契約日を確認して、速やかに正しい内容で対応します。届出をすれば、仕事内容の適合性まで認められるわけではありません。
既に働いているからこそ、説明と実態を合わせる
見直しの結果、現在の業務が在留資格の範囲に収まっているなら、その判断に使った資料と、今後の更新・届出の管理を整えます。業務の説明が曖昧なら、実際の仕事を本人と現場から聞き取ります。名称だけを専門職らしく書き換えても、実態が変わらなければ問題は解消しません。
現在の活動が在留資格の範囲を外れるおそれがある場合は、その活動を続けてよいか、配置の見直しや資格変更等が必要かを早めに相談してください。証明書や更新申請をすれば、過去の活動が自動的に適法になるという制度ではありません。
採用から時間がたったことは、確認を諦める理由にはなりません。本人が安心して働き続けるために、会社も「この仕事を任せられる」と説明できる状態を作っておきましょう。
雇用後の確認も、はまなす行政書士事務所へ
既に外国人社員を雇用している会社からのご相談も承ります。在留資格・期限、雇用契約、実際の仕事内容を整理し、必要な入管手続と準備する資料を検討します。資料が揃っていない場合も、まず現在の状況をお知らせください。
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根拠・参考資料
出入国在留管理庁等の公式資料をもとに、2026年10月6日時点の情報で整理しています。表の進め方や確認例は、法定義務そのものではなく、会社での実務管理の提案です。冒頭の事例は説明のための架空の例です。


