102. 創業計画は黒字なのに資金が足りない――売上・入金・返済を分けた融資準備

店舗の机の電卓と見積資料から資金計画を考えるイメージ

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102. 創業計画は黒字なのに資金が足りない――売上・入金・返済を分けた融資準備

店舗の机に電卓と見積、予算資料、観葉植物を置いて現実的な資金計画を表したイメージ

専門記事・実務研究|資料確認日:2026年10月2日

月次の利益はプラスなのに、通帳の残高は減っていく。創業融資の準備では、利益計画だけでなく実際にお金が出入りする月を整理することが欠かせません。借入希望額を先に決める前に、資金使途、入金時期、返済をつなげて確認する方法を説明します。

この記事の要点

借入希望額は、必要な支払と回収の時期から算定します。利益が出ても現金が不足する場面を、月別の資金繰りと条件を変えた計画で確認します。

目次
1. 売上の発生月と、入金月を分ける
2. 必要資金は、使う目的と支払時期から積み上げる
3. 利益と現金残高が違う理由を、数値で確かめる
4. 開業前後の支払を、月ごとに並べる
5. 売上が遅れた場合の計画を、別に作る
6. 借入を申請する前に、数字の根拠をそろえる
7. 融資後も、計画と実績を月ごとに照合する
確認表|よくある疑問

売上の発生月と、入金月を分ける

売上はサービスを提供した月に立っても、代金の入金は翌月以降になることがあります。利益計画の売上欄を、そのまま当月の入金欄へ写すと、支払が先行する期間を見落とします。取引先ごとの締日と支払日、売上見込みの根拠を確認します。

請求の遅れ、返品や値引、カード決済等の手数料、入金のずれも資金の動きに影響します。制度報酬や補助金を見込む事業では、申請・請求・入金の条件を調べ、未決定のお金を確定入金として扱わないようにします。

必要資金は、使う目的と支払時期から積み上げる

設備資金は見積と支払時期、運転資金は仕入・人件費・家賃等の支払と売上入金のずれから整理します。日本政策金融公庫は、必要資金と調達方法、売上・経費の計算根拠などを記載する創業計画書や、資金繰り表を提供しています。[1][2]

「とりあえず500万円」ではなく、どの支払にいくら使い、自己資金でどこまで賄い、何月に不足するかを示します。過去の支払や資金移動についても、資金使途として認められるかは制度・金融機関によって確認が必要です。

利益と現金残高が違う理由を、数値で確かめる

説明のための想定例です。月初現金100万円、当月売上100万円、当月入金60万円、現金経費70万円、設備支払40万円、借入元金返済10万円なら、月末残高は40万円です。売上と経費の差だけを見ると30万円でも、現金は60万円減っています。

計算は100+60−70−40−10=40万円です。この例では利息・税・減価償却等を省略しています。実際の計画では、元金返済と利息、設備購入と費用計上を区別し、会計上の利益の計算は税理士等に確認します。利益があることだけで返済余力を判断しません。

開業前後の支払を、月ごとに並べる

開業前の保証金・内装・設備、開業直後の仕入と給与、数か月後の税や保険の支払を一覧にします。返ってくる可能性のある保証金でも、預けている期間は自由に使える資金とは違います。支払時期の重なりが月末残高を押し下げることがあります。

少なくとも資金が安定するまでの月ごとの見通しを作り、最低残高とその月を確認します。売上を増やすために仕入や人員が先に必要なら、成長するほど先行支払が増える構造も考えます。期間の長さは事業の回収周期に合わせて設定します。

売上が遅れた場合の計画を、別に作る

通常の見込みだけでなく、開業が遅れる、来客が計画より少ない、入金が一か月ずれるなど、実際に起こり得る条件を一つずつ変えて確認します。数字を悪く見せることが目的ではなく、不足を早く把握して手を打つことが目的です。

想定例として、入金が一か月ずれたら何月に最低残高になるか、延期できる設備があるか、固定費をいつ見直すかを記録します。希望的な追加融資や未決定の助成金で穴を埋めず、確定している資金と検討中の資金を分けます。

借入を申請する前に、数字の根拠をそろえる

見積書、自己資金の形成過程が分かる資料、契約・受注等の見込み、売上単価と数量の算定、既存借入と返済予定を整理します。見せる資料同士で金額や説明が一致しているかを確認し、借入希望額と資金使途の対応を明確にします。

点検メモの例:内装費は見積取得済み、設備納期は確認中、売上は単価×想定客数で算定、未契約の取引先は見込みとして表示、最低残高が出る月は計画上3か月目。書類をきれいに整える前に、根拠の弱い箇所を見つけて確認します。

融資後も、計画と実績を月ごとに照合する

借入が実行されたら、実際の資金使途、売上・入金・支払の差、次月以降の不足を更新します。返済日を過ぎてから相談するより、計画との差が見えた時点で金融機関へ状況を伝えられる資料を整えます。

当事務所は事業計画と申請準備のための事実・資料整理を支援します。融資審査や実行は金融機関が判断し、承認を保証するものではありません。税務・会計や法的整理が必要な場面は、税理士・弁護士等の専門家と役割を分けて対応します。

相談前に使える確認表

次の表は、事実と未確認事項を分けるための実務上の整理例です。法定の様式ではありません。

項目確認すること手掛かりとなる資料
売上単価と数量の根拠は何か受注見込み・販売計画
入金代金は何月に入るか締日・支払日・回収条件
支出いつ、何に支払うか見積・支払予定
返済元金と利息はいくらか既存借入・返済予定表
予備計画売上や入金が遅れるとどうか条件を変えた資金繰り表

よくある疑問

利益が出る計画なら、返済できると説明してよいですか。

利益だけでは不十分です。入金のずれ、設備支払、元金返済、税等の支払を含めて、現金残高と返済後の余力を確認します。

創業計画書を整えれば、融資は通りますか。

書類の整備は準備の一部です。金融機関は計画、資金、経験、事業の状況等を確認して判断します。資料の品質を高めることと、融資の承認保証は別です。

参考資料

[1] 日本政策金融公庫・創業計画の書き方

[2] 日本政策金融公庫・創業計画書、資金繰り表等の書式

制度上の説明と、記録・確認表等の実務上の提案は区別して記載しています。具体的な対応は最新法令・通知・自治体運用・個別事情を確認してください。想定例と生成画像は、実在の相談者・受任実績を示すものではありません。

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