106. 亡くなった親の不動産を全国から探す――所有不動産記録証明書と、検索漏れを防ぐ準備

地図、家と集合住宅の模型、古い鍵と資料を用いた不動産調査のイメージ

106. 亡くなった親の不動産を全国から探す――所有不動産記録証明書と、検索漏れを防ぐ準備

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AI生成のイメージ画像。実際の事務所・施設・案件の写真ではありません。

資料確認日:2026年10月2日

実家のほかに土地があるかもしれない。しかし場所が分からない。2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度は、こうした相続の調査に使える制度です。ただし、一通の証明書が「故人の不動産をすべて確定する書類」になるわけではありません。検索条件と、他の資料との照合が重要です。

この記事の要点

氏名・住所等を手掛かりに登記記録を検索する制度です。過去の住所や氏名を整理し、結果は納税資料・既知の登記・購入書類と照合します。

目次
1. 何を証明する制度なのかを先に押さえる
2. 現在の住所だけで検索しない
3. 請求の準備は「検索条件」と「請求できる立場」を分ける
4. 結果が届いたら、物件ごとの照合へ進む
5. 想定例:実家と、転居前に購入した遠方の土地
6. 財産一覧では、見付かった状態と手続完了を分ける
7. 調査の後は、登記と税務の担当へつなぐ

1. 何を証明する制度なのかを先に押さえる

所有不動産記録証明制度は、登記簿上の所有者として記録されている不動産を一覧的に把握するための制度です。本人や相続人が請求できます。[1][2] 相続の開始によって名義が自動的に変更される制度ではなく、見付かった不動産にはその後の手続が必要です。

登記記録の調査であるため、登記されていない建物、名義がさらに前の世代のままの財産などは別の調査が必要になります。「結果が少ないから相続財産も少ない」とは判断しません。

2. 現在の住所だけで検索しない

法務省は、指定した氏名・住所等の検索条件と登記記録が異なる場合は、その不動産がリスト化されないと注意を示しています。[1] そのため、転居、結婚等による氏名変更、購入当時の住所を確認しておくことが役立ちます。

本記事の管理提案は、住所と氏名の履歴を表にし、どの資料で確認したかを併記することです。記憶だけで表記を作らず、既知の登記事項証明書、戸籍関係資料、住民票の除票等の取得可能な資料から整理します。履歴を取得できない期間は、その不明点を残します。

3. 請求の準備は「検索条件」と「請求できる立場」を分ける

請求書には検索条件だけでなく、請求者が本人又は相続人等として請求できることの確認資料が必要です。本人確認、相続関係、代理による場合の権限を、最新の法務局案内に従って確認します。条件ごとに証明書が作成されることにも留意します。[3]

すべての戸籍資料が必ず同じ組合せで足りると決め付けず、関係や請求方法に合う資料を確認してください。窓口・郵送・オンラインの選択も、手元の資料と本人確認の方法を踏まえて判断します。

4. 結果が届いたら、物件ごとの照合へ進む

見付かった土地や建物は、所在地、地番・家屋番号、持分、既に把握していた物件との対応を整理します。リストは調査の入口です。権利内容や現在の状況を調べるために、個別の登記事項証明書等を確認する工程を残します。

固定資産税の納税通知書や名寄帳、権利証、売買資料、家族の記憶なども照合します。課税に関する資料だけでは見落とす場合があり、登記の検索だけにも限界があります。二つ以上の系統の資料を照らすことが、調査の取りこぼしを減らす実務提案です。

5. 想定例:実家と、転居前に購入した遠方の土地

以下は想定例です。亡くなった母の最終住所で検索した結果、実家だけが確認できました。しかし古い契約書には、結婚前の氏名と以前の住所で購入した土地が記載されています。この場合、「証明書に出なかったので売却済み」と推測しないことが大切です。

旧氏名・旧住所に対応する登記の可能性を調べ、売却資料があるか、所有権移転の記録があるかを確認します。「検索条件を追加する」「特定できた物件を個別に調べる」という二つの作業を、根拠資料とともに進めます。

6. 財産一覧では、見付かった状態と手続完了を分ける

一覧には、候補、所有者確認済み、相続手続の対象確認済み、専門職へ引継ぎ済み、手続完了のような進捗欄を設けます。古い資料から候補が見付かっただけで、確定した相続財産として遺産分割協議書へ記載しないようにします。

土地と建物が同じ住所にあっても、名義・持分・取得経緯が同じとは限りません。共有地、私道、附属建物などは、主な建物に付随すると思って省略せず、確認すべき物件として管理します。

調査項目管理のポイント
氏名・住所履歴根拠資料と不明期間を残す
検索結果条件ごとに保存し、既知の物件と照合
未確認の候補契約書・課税資料等から追加調査
次の手続登記・税務・権利関係の担当へ引継ぎ

7. 調査の後は、登記と税務の担当へつなぐ

当事務所は、相続関係や財産一覧、遺産分割のための資料整理等を支援します。不動産登記の申請代理は司法書士、表示に関する登記は土地家屋調査士、税務申告は税理士の担当領域です。名義が古い場合や権利に争いがある場合は、必要な専門職と連携します。

初回相談には、故人の氏名・住所の履歴、納税通知書、既知の登記資料、購入・売却の資料を持参すると、どの条件を確認すべきかが見えます。制度を使うこと自体より、結果から次の調査へ進める準備が大切です。

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根拠・参考にした公的資料

制度の説明は下記の公的資料を基にしています。記録・台帳の作り方は当事務所の管理提案です。想定例は受任実績ではありません。

[1] 法務省・所有不動産記録証明制度について

[2] 法務省・あかれんが vol.91

[3] 旭川地方法務局・制度の運用開始案内

個別の事案では、最新の法令・通知と提出先の取扱いを確認します。

行政書士 角屋敦士

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