はまなす行政書士事務所
96. 個別支援計画の署名があれば十分?――説明・同意・交付を別々に管理する

専門記事・実務研究|資料確認日:2026年10月2日
計画書には署名がある。しかし、誰に何を説明し、どの版に同意を得て、いつ渡したかは説明できない。個別支援計画の管理では、この三つの行為を一つの署名欄に押し込めないことが大切です。紙と電子を併用する事業所にも使える、記録の組み立て方を整理します。
この記事の要点
署名の有無だけで完了にせず、対象の版・説明・同意・交付の四つを結び付けます。電子化では、利用の承諾と計画内容への同意を区別してください。
目次
1. 署名欄からではなく、実際の手続の順番から確認する
2. 制度で求められることと、事業所の管理方法を分ける
3. 「今回のどの計画か」を確定する
4. 電子化は「送信できた」で完了させない
5. 後から未交付や説明不足が判明したときの整理
6. 一枚の管理表で、確認済みと未確認を分ける
7. 点検を児発管一人の記憶に頼らせない
確認表|よくある疑問
署名欄からではなく、実際の手続の順番から確認する
説明は内容を伝える行為、同意はその内容への意思表示、交付は計画を相手が保持できるように渡す行為です。同日に行うことはありますが、同じ行為ではありません。署名があるだけで、説明や交付の状況まで自動的に確認できるわけではありません。
まず一人分の直近の計画を取り出し、原案の作成、会議、説明、同意、交付、運用開始の順に日付を並べます。書類の日付と実際に行った日が違う場合は、どちらの意味の日付なのかを明らかにします。整合させるために過去の日付を作る方法は取りません。
制度で求められることと、事業所の管理方法を分ける
国の運営基準第27条には、計画の説明、文書による同意、保護者及び障害児相談支援事業者への交付が規定されています。実際の対象や手続は、提供サービス、関係する相談支援の状況、指定権者の条例・運用も確認してください。[1]
以下の版番号や管理表は、事実を確かめやすくするための実務上の提案であり、国が一律に指定した様式ではありません。国の基準を満たすことと、事業所独自の管理項目を増やすことを混同しないようにします。
「今回のどの計画か」を確定する
想定例として、面談で目標を変更した後、修正前の計画書に署名が残っている場面を考えます。この場合、署名済みという表示だけでは、変更後の目標について同意を得たのか分かりません。説明に使った資料と、最後に保存した版を照合する必要があります。
計画の作成日、対象期間、版番号、主な変更点を一組で管理します。例えば「第2版/目標Bと支援方法を修正/説明に使用したファイル名」を記録し、署名・電子同意・交付履歴を同じ版に結び付けます。ファイル名だけで本人名や支援上の情報が外部に漏れない命名にも配慮します。
電子化は「送信できた」で完了させない
第83条は、書面による交付等について、相手方の承諾と障害の特性に応じた適切な配慮の下で電磁的方法を用いる取扱いを定めています。電子化しても、説明や同意そのものを省略することはできません。[1][2]
電子交付の利用承諾、相手が閲覧・保存できる方法、対象の版、説明内容、同意の意思表示を確認する記録を残します。既読表示は説明理解や同意と同じ意味にはなりません。共有アカウントの操作だけで本人確認が足りるかも点検し、紙を希望する家庭には利用可能な方法を案内します。
後から未交付や説明不足が判明したときの整理
未交付が分かった場合は、判明日、対象版、未実施だった行為、現時点で確認できた事実を記録し、必要な説明・同意・交付を実際に行った日で残します。紛失なのか、渡していなかったのか、記録だけがないのかは分けて調べます。
過去の支援や請求に影響する可能性があるときは、管理者・児発管で対象期間を整理し、指定権者への確認を検討します。「今署名をもらえば過去の問題も全て解消する」とは扱いません。利用者に不利益が出ないよう、説明の言葉と今後の支援の継続も同時に考えます。
一枚の管理表で、確認済みと未確認を分ける
管理表には、利用者識別番号、対象期間、版、説明日と説明者、同意日と確認方法、交付日と相手、交付方法、証拠の保存先、未了事項、次の確認日を設けます。日付が分からない欄を一律に作成日で埋めず、「未確認」として担当者を決めます。
記録例:第2版を10月2日に保護者へ説明し、変更点への同意を同日確認。PDF交付について承諾を確認の上、指定先へ送信。相談支援事業者への交付は翌日担当者が確認予定。このように未了の仕事が読み取れる記録にします。これは想定例で、実在の利用者の情報ではありません。
点検を児発管一人の記憶に頼らせない
月ごとの点検では、期限の近い計画、同意未確認、交付未了を分けて一覧にします。事務担当者は履歴を整理し、児発管は説明内容や支援方針を確認するなど、専門的判断と事務作業の役割を整理します。確認権限と個人情報へのアクセス範囲も定めます。
はまなす行政書士事務所では、計画・同意・交付の記録がどこでつながっていないかを整理し、運営書類と確認手順の整備を支援します。支援内容の専門的判断は現場が担い、記録がその判断を正確に伝えられる形を目指します。
相談前に使える確認表
次の表は、事実と未確認事項を分けるための実務上の整理例です。法定の様式ではありません。
| 項目 | 確認すること | 手掛かりとなる資料 |
|---|---|---|
| 版の特定 | 説明した資料と保存版は同じか | 作成日・対象期間・変更履歴 |
| 説明 | 誰が何を説明したか | 面談メモ・変更点の説明記録 |
| 同意 | どの版への意思表示か | 署名済み資料・電子同意の履歴 |
| 交付 | 誰に何をいつ渡したか | 交付履歴・対象ファイル |
| 未了事項 | 次に誰が確認するか | 担当者・期限・確認結果 |
よくある疑問
署名済み計画の控えが見つかりません。再署名でよいですか。
紛失なのか、説明や同意が未実施なのかを先に確認します。再署名だけで当時の事実を証明したことにはならないため、判明した経緯と現在の確認を分けて残します。
交付日は必ず署名日と同じですか。
実際に渡した日を記録します。同日に行ったなら同日ですが、別日ならその事実を残します。手続の適否は基準・自治体運用に照らして確認し、帳尻合わせのため日付をそろえません。
参考資料
[1] 指定通所支援の運営基準・第27条、第83条(e-Gov)
[2] こども家庭庁・運営基準の解釈通知(令和6年改正資料)
制度上の説明と、記録・確認表等の実務上の提案は区別して記載しています。具体的な対応は最新法令・通知・自治体運用・個別事情を確認してください。想定例と生成画像は、実在の相談者・受任実績を示すものではありません。
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