「集中力がない」を、支援につながる記録に変える

支援室で親と職員が子どもの遊び方をそっと観察のイメージイラスト

書類作成の記事一覧へ | 02/10

「集中力がない」と感じたら、いつ、何が起きたかを書きましょう。うまくいった場面も並べると、支援の手がかりが見えてきます。

電車なら、10分遊べるのに

5歳のみおさんの引継ぎメモには、「集中力がない」とありました。たしかに、カードの活動では席を離れます。

ところが、電車遊びでは線路を組み替えながら10分ほど遊んでいます。同じ子どもなのに、姿が違う。職員は、席を離れた直前に何があったかを振り返りました。

隣の部屋で大きな音がしていました。静かな場所へ移すと、みおさんは二枚のカードから電車を選びます。「集中力」という言葉の中に、音、興味、場所という三つの手がかりが隠れていたのです。

見たことと、考えたことを分ける

記録は、四つに分けると読みやすくなります。最初に事実を書き、その後で考えを添えます。家族から聞いた話には、誰から聞いたかを書きましょう。

書くこと記載見本
見たこと隣室で大きな音がした直後に席を離れた。静かな場所では、電車のカードを選んだ。
本人・家族の言葉や反応本人はカードを職員へ渡した。保護者は「家でも電車遊びが長く続く」と話した。
職員の見立て音と活動への興味が、参加のしやすさに関係している可能性がある。
次に確かめること音の少ない場所で、好きな題材と別の題材への反応を確認する。

見立てに「可能性がある」と添えると、どこまで確かめられたかが伝わります。日付と場面も入れておくと、次の面談で見直しやすくなります。

よくある言葉を、場面の記録に直す

「落ち着きがない」を書き直す

順番を待つ時間が約3分続くと、椅子から立ち、入口へ向かった。順番の写真を見せると椅子に戻った。

「指示が入りにくい」を書き直す

「片づけて手を洗おう」と続けて伝えたときは動き始めなかった。「箱に入れよう」と箱を示すと、積木を二つ入れた。

こう書くと、次の職員は「順番を見えるようにする」「一つずつ伝える」と動けます。観察していない回数は無理に数字にせず、「約」「複数回」など、分かっている範囲で記録します。

得意なことを、計画の入口にする

みおさんは、好きな物を選べます。カードを渡して伝えられます。場所を変えると活動へ戻れます。この三つを使えば、支援の幅が広がります。

計画につなげる文例

好きな遊びを実物や写真で提示し、本人が選んだ活動から始める。音の少ない場所を用意し、休憩も選べるようにする。離席したときは、音や体調、本人の反応を確認する。

まず場所を整え、次に題材を工夫するなど、少しずつ確かめます。一度に全部変えるより、何が役立ったかを読み取りやすくなります。本人が負担を感じる状況を、観察のためにわざわざ作る必要はありません。

書き終えたら、この三つを読む

  • その場面が、読み手の頭に浮かぶ。
  • 得意なことと、役立った工夫が書かれている。
  • 次に何を確かめるかが分かる。

よくある質問|初回面談で、まだ情報が少ないときは?

把握できたことと、これから確認することを分けます。「初回利用で、遊びの選び方と休憩の伝え方を確認する」と場面と担当を決めると、情報を補いながら支援できます。

アセスメントで把握すること
基準第27条は、能力、環境、日常生活全般、本人・保護者の希望等の把握と、面接によるアセスメントを定めています。四つの欄は当事務所の整理例です。[資料]

本人の意思を確かめること
動作や表情も手がかりにし、観察した反応と職員の解釈を区別します。国の手引きも、意思の尊重と最善の利益を考える視点を示しています。[資料]

事例・氏名・回数は架空の作成見本です。文例は本人の状態と希望に合わせて調整してください。資料確認:2026年10月4日。文章・表示改訂:2026年10月5日。

参考にした公的資料

厚生労働省「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」第27条

こども家庭庁「障害児支援におけるこどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮の手引き」(令和6年8月)

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